変動金利の短期プライムレートとは?長期プライムレートとの違い

変動金利の短期プライムレートとは?長期プライムレートとの違い

住宅ローンの借入を検討する際に直面する大きな課題が「金利の変動リスク」です。変動金利の選択は、景気動向次第で支払利息が大きく変わる可能性があります。

本記事では、変動金利の短期プライムレートの特徴や長期プライムレートとの違いを解説します。両者のメリットとデメリットを整理することで、適切な選択をサポートします。

変動金利とプライムレート

変動金利とプライムレート

変動金利とは

変動金利とは、不動産投資ローンの借入期間中に適用される金利が変動する金利タイプです。一般的に、借入後は半年に一度、適用金利の見直しが行われます。例えば、現在年利0.5%の変動金利で借入した場合、半年後に金利が年利0.8%に上昇すると、返済額は増加します。

一方、金利が年利0.2%に低下した場合、返済額は減少する仕組みです。変動金利は、金利上昇リスクを承知で、低い金利で借入したい人におすすめです。

不動産投資ローンには変動金利のほかに固定金利があります。それぞれのメリット・デメリットについては「不動産投資ローンの金利相場を紹介|低金利で融資を受けるには?」の記事でも紹介していますので、本記事と合わせてご覧ください。

プライムレートとは

プライムレートとは、銀行が信頼できる優良企業や個人に対して融資する際に適用する最良の条件での金利のことを指します。プライムレートは、リスクが低い顧客向けの優遇金利となっており、最優遇貸出金利とも呼ばれています。一般の借り手には、プライムレートにさらに金利が上乗せされた水準が適用されるしくみです。

プライムレートの変動に影響を与えているのが、日本銀行が決める政策金利です。日本銀行が政策金利を引き上げると、銀行の資金調達コストが上がるため、プライムレートも上昇する傾向にあります。逆に政策金利が引き下げられれば、プライムレートも低下します。

つまり、プライムレートは銀行の最優遇金利ですが、水準は日本銀行の金融政策によって影響を受けるのが特徴です。

一言メモ

企業や個人が借入を検討する際には、プライムレートの動向を踏まえる必要があります。

変動金利と短期プライムレートの関係

変動金利と短期プライムレートの関係

変動金利は短期プライムレートに連動しています。金利は4月と10月の半年ごとに短期プライムレートに応じて見直されるしくみです。

変動金利のローン概要書などには、「短期プライムレート連動長期貸出金利を基準に見直します」などとの説明が書かれているのを見たことがある方もいるかもしれません。

つまり、短期プライムレートが上がれば金利も上がり、下がれば金利も下がるというしくみです。変動金利のメリットは金利が下がった際に返済額が減少することですが、一方で金利が上昇すれば返済額が増えてしまう可能性もあるでしょう。

経済情勢や金融政策の変化に応じて、返済額が増減するため、家計の見通しが立てづらいという面もあります。

一言メモ

プライムレートの動向を注視し、変動金利のメリット・デメリットを理解した上で、賢明な判断を下す必要があります。

変動金利のメリット・デメリットは「変動金利が上がるタイミングとは?メリット・デメリットや対策法」の記事でも紹介していますので、本記事と合わせてご覧ください。

短期プライムレートと長期プライムレートの違い

プライムレートには、短期プライムレート以外に長期プライムレートがあります。金利の変動によって支払い額が大きく変わってくるため、2つの違いを理解することは、借入を検討する際に重要です。

例えば、住宅ローンなどの長期の借入では、金利が変動すると返済額に大きな影響を与えます。一方、短期の借入では変動の影響は比較的小さくなります。

以下で短期と長期のプライムレートの違いを見てみましょう。

短期プライムレート 長期プライムレート
連動 日銀の政策金利 国の政策や国債の発行など
貸出期間 1年未満の期間の貸出 1年以上の長期的な貸出
決定基準 日本銀行の政策金利による 長期資金の需給関係による

短期プライムレート

先述したように、変動金利の基準となる短期プライムレートは、通常半年ごとの金利が適用されます。短期プライムレートは「短プラ」とも呼ばれ、金融機関が優良企業向けに1年未満の期間の貸出を行います。金融機関同士が資金を貸し借りする際の金利などを参考に、日本銀行の政策金利に合わせて見直されるのが一般的です。

一言メモ

市況に応じた適正な金利が適用されるメリットがあります。

長期プライムレート

長期プライムレートは「長プラ」とも呼ばれ、金融機関が優良企業に対して1年以上の長期的な貸出を行います。長期プライムレートは、金融機関が発行する5年もの普通社債の発行利率などに市場金利の動向を踏まえて決定されるしくみです。 長期プライムレートは、短期プライムレートに比べて変動が激しく、国の政策や国債の発行などに連動しています。

一言メモ

長期プライムレートは債券市場の動向にも敏感に反応するため、短期プライムレートに先行して変動するケースもあります。

変動金利の短期プライムレートに関するよくある質問

変動金利の短期プライムレートに関するよくある質問

変動金利の短期プライムレートは金利の変動に左右されるため、毎月の返済額が変わってしまうのが心配な方も多いと思います。しかし、短期プライムレートを正しく理解していれば、不安は和らぐはずです。

最後に、変動金利の短期プライムレートに関するよくある質問をご紹介します。

短期プライムレートは誰が決める?

変動金利の短期プライムレートは、主要行の基準金利を基にして決められます。具体的には、無担保コールレートの動向が影響します。無担保コールレートは、1日で満期を迎える超短期の資金調達や資金供給を無担保で行う取引にかかる金利です。主要行は無担保コールレートの動きを参考に、自行の短期プライムレートを独自に決定しています。

つまり、短期プライムレートは、間接的には日銀の金融政策の影響を受けますが、直接的には市中金利の動向に連動して、各金融機関が独自に設定しているのが実情です。

一方、長期プライムレートは、みずほ銀行が独自に決定する金利指標です。かつては、長期信用銀行が発行する5年もの金融債の利率が基準になっていました。

一言メモ

現在ではみずほ銀行が自主的に決定・公表した金利が日本銀行のサイトに掲載されています。

短期プライムレートが上がる要因とは?

短期プライムレートが上がる主な要因は、日本銀行による金融政策の影響です。具体的には以下の2点が挙げられます。

政策 影響
政策金利の引き上げ 日本銀行が物価上昇を抑制するため、政策金利を引き上げると、銀行の調達コストが上がります。その結果、銀行は短期プライムレートを引き上げざるを得なくなります。
金融緩和の縮小 日本銀行が金融緩和の縮小に動けば、市場から資金が引き上げられるため、銀行の資金調達環境が厳しくなります。その影響で、短期プライムレートは上昇します。

加えて、景気動向市場金利の上昇も短期プライムレートの上昇要因となり得ます。景気が過熱すると物価上昇が懸念され、銀行が金利を引き上げる可能性があるためです。

さらに、経済情勢がインフレ傾向になると、日本銀行は物価上昇を抑制するための金融引き締め策に転じる可能性が高まるでしょう。

一言メモ

金融引き締め策が行われると政策金利の引き上げや金融緩和の縮小が行われ、結果的に短期プライムレートも上昇します。

短期プライムレートの推移は?

変動金利の短期プライムレートの推移は、過去10年以上にわたり横ばい状態が続いています。主要銀行をはじめ、各銀行の短期プライムレート最頻値は年1.475%となっており、2009年1月以降は水準が一切変わっていません。つまり、2009年から2024年までの16年間、短期プライムレートは事実上固定化されているのが実情です。

そのため、短期プライムレートに連動する変動金利の住宅ローンも、名目上は金利変動型となっていますが、実際にはほとんど金利の変動がありません。借り手からすれば、長期固定金利と同等の効果が期待できるため、変動金利の選択肢が実質的に機能していないと言えます。

一言メモ

このような状況は、日本銀行によるゼロ金利政策の影響が大きく、金融機関の貸出金利が長期間にわたり低水準で安定していることに起因します。

参考:長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降|日本銀行

短期プライムレートは今後どうなる?

短期プライムレートの動向は、日本銀行の金融政策や経済情勢に大きく影響されます。現在の金融緩和政策が継続されれば、短期プライムレートは低位で推移するでしょう。一方、物価上昇に伴い金融引き締め策が行われれば、短期プライムレートは上昇に転じる可能性があります。

このように、短期プライムレートの動向は日銀の政策次第にあるでしょう。

注意ポイント

変動金利型の住宅ローンなどでは、短期プライムレートの変化に注視する必要があります。

変動金利は長期プライムレートと連動してない?

変動金利が連動しているのは短期プライムレートのため、一般的には長期プライムレートとは連動していません。ただし、金融機関によっては長期プライムレート連動型の変動金利住宅ローンを提供しているところもあります。

変動金利と長期プライムレートが連動している住宅ローンは、短期プライムレートではなく、長期プライムレートの変動に応じて金利が変わります。

注意ポイント

このタイプは、短期プライムレートの急激な変動による影響を受けにくいメリットがある一方で、金利が低下する局面では金利低下のメリットが薄れる可能性があるでしょう。

また、従来の短期プライムレート連動型と比べると、今後の金利推移によっては、毎月の返済額に大きな影響を及ぼす可能性があります。金利タイプを選ぶ際は、自身のライフプランやリスク許容度を踏まえて、総合的に判断する必要があります。

短期プライムレートについては弊社にご相談ください!

短期プライムレートについては弊社にご相談ください!

本記事では、変動金利の短期プライムレートの特徴や長期のプライムレートとの違いを解説しました。変動金利は短期プライムレートを基準に見直されるため、長期プライムレートの影響は受けません。金利の動向が気になる方は、短期プライムレートの推移に注目する必要があります。

アデプトマネジメントは不動産売買から管理・コンサルティングまでを行っており、金融機関からの信頼も厚いため大きな力になることでしょう。不動産投資に関する的確なアドバイスも可能なため、ぜひ、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

この記事の編集者

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アデプトマネジメント編集部

【宅地建物取引業】大阪府知事(2)第59728号
【賃貸住宅管理業】国土交通大臣(1)第002807号

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