不動産売却で消費税はかかる?個人・法人の違いを徹底解説

不動産売却で消費税はかかる?個人・法人の違いを徹底解説

不動産売却時に消費税はかかる?実は、売主が個人か法人か、売却する不動産の種類によって大きく異なります。この記事では、不動産売却における消費税の基本から、個人・法人の違い、土地・建物の売却まで、分かりやすく徹底解説します。

これを読めば、消費税の有無や金額を事前に把握し、売却後の税金トラブルを回避できます。売却益を最大化するためのポイントも紹介しているので、不動産売却を検討している方にとって必見の情報です。

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不動産売却と消費税の基本

不動産売却時には、場合によっては消費税が発生します。消費税の有無や計算方法は、売主が個人か法人か、売却する不動産の種類などによって異なります。売却前に消費税について正しく理解しておくことは、予期せぬ出費やトラブルを防ぐために非常に重要です。

消費税がかかる場合とかからない場合

不動産の売却において、消費税がかかるかどうかは、売主が個人か法人かによって大きく異なります。また、売却対象が居住用か事業用かによっても取り扱いが変わります。主な違いは以下の通りです。

売主 不動産の種類 消費税
個人 居住用 原則として非課税
事業用 課税対象となる場合が多い
法人 居住用・事業用問わず 原則として課税対象

個人の場合

個人が居住用不動産を売却する場合、「居住用財産の特例」が適用され、消費税は非課税となります。ただし、この特例を受けるには一定の要件を満たす必要があります。例えば、売却する不動産が自己の居住の用に供していたこと、建物の床面積が240㎡以下であることなどが挙げられます。

一言メモ

個人が事業用不動産を売却する場合は、原則として消費税の課税対象となります。ただし、売買価格が1,000万円以下の場合は、消費税を課税しない選択も可能です(簡易課税制度)。

法人の場合

法人が不動産を売却する場合は、居住用・事業用問わず、原則として消費税の課税対象となります。これは、法人が事業として不動産を売却するためです。消費税の計算方法は後述します。

消費税の計算方法

消費税の計算方法は、原則として以下の通りです。

課税標準額 × 消費税率

課税標準額とは、売買価格から消費税を除いた金額のことです。消費税率は、現状10%です(令和元年10月1日以降)。例えば、売買価格が1,100万円(税込)の場合、課税標準額は1,000万円となり、消費税は100万円となります。

一言メモ

前述の通り、個人が事業用不動産を売却する場合には簡易課税制度を選択できる場合があります。簡易課税制度を選択した場合の消費税の計算方法は異なりますので、国税庁のウェブサイトなどで詳細をご確認ください。

不動産の種類と消費税

土地と建物

不動産売却における消費税は、売却する不動産の種類によっても異なります。土地、建物、土地と建物のセット売却それぞれの場合について詳しく見ていきましょう。

土地の売却

土地の売却については、原則として消費税はかかりません。これは、土地が消費税法上「非課税取引」に該当するためです。ただし、例外として、土地の上に建物を建築することを前提とした土地の売却や、造成工事などが行われた土地の売却の場合は、消費税の課税対象となる場合があります。

土地の売却価格に消費税が含まれているかどうかは、売買契約書をよく確認することが重要です。売却を検討している土地が消費税の課税対象となるかどうかわからない場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

以下の表に土地売却に関する消費税の課税状況をまとめました。

土地の種類 消費税 備考
更地 非課税 造成工事等が行われていない場合
造成地 課税(※) 造成工事等が行われてから5年以内である場合
5年を超えている場合は非課税
建物建築条件付き土地 課税 土地と建物のセット売買とみなされるため

(※) 課税対象となるのは造成工事にかかる費用部分です。
詳しくは国税庁のウェブサイトをご確認ください。

建物の売却

建物の売却については、売主が個人か法人かによって消費税の扱いが異なります。個人が居住用として使用していた建物を売却する場合、原則として消費税はかかりません。これは、居住用財産の売却が消費税法上「非課税取引」に該当するためです。

一言メモ

個人が事業用として使用していた建物を売却する場合や、法人が建物を売却する場合は、消費税の課税対象となります。

土地と建物のセット売却

土地と建物をセットで売却する場合、土地の部分は非課税、建物の部分は売主が個人か法人かによって課税・非課税が決定されます。つまり、土地と建物のセット売却の場合、建物部分のみに消費税がかかる可能性があるということです。

一言メモ

個人が居住用として使用していた土地と建物をセットで売却する場合は、建物部分も消費税はかかりません。法人が土地と建物をセットで売却する場合は、建物部分に消費税がかかります。

個人で不動産を売却する場合の消費税

個人で不動産を売却する場合の消費税

個人が不動産を売却する場合、状況によって消費税の扱いが異なります。大きく分けて「居住用財産」と「事業用財産」の2種類があり、それぞれで消費税の課税の有無が変わってきます。また、特定の取引は消費税が非課税となるケースもあります。

居住用財産の特例

個人が所有する居住用財産(マイホーム)を売却する場合には、一定の要件を満たせば消費税は非課税となります。これは、生活の基盤となる住宅の売買にかかる税負担を軽減するための特例です。この特例を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 売却する不動産が、自己の居住の用に供していること
  2. 敷地の広さが500㎡以下であること(マンションの場合は専有面積が250㎡以下)
  3. 事業用として使用していないこと

これらの要件をすべて満たしていない場合は、居住用財産であっても消費税の課税対象となります。例えば、敷地の広さが500㎡を超える豪邸や、一部を賃貸にしている住宅などは、消費税の課税対象となる可能性があります。

事業用財産の売却

事業用財産とは、事業のために使用している不動産のことです。例えば、アパートや駐車場、店舗などが該当します。事業用財産を売却する場合には、原則として消費税の課税対象となります。消費税の計算方法は、売却価格に消費税率を乗じて算出します。

一言メモ

簡易課税制度を選択している場合には、計算方法が異なります。簡易課税制度とは、中小事業者などが消費税の計算を簡略化できる制度です。この制度を選択している場合は、売却価格に一定の率を乗じて消費税額を算出します。

課税されない取引の具体例

個人が不動産を売却する場合、以下の取引は消費税が課税されません。

取引の種類 内容
相続による取得 相続によって取得した不動産を売却する場合
贈与による取得 贈与によって取得した不動産を売却する場合
財産分与による取得 離婚に伴う財産分与によって取得した不動産を売却する場合
交換による取得 他の不動産との交換によって取得した不動産を売却する場合(ただし、交換差金がある場合は課税対象となる可能性があります)

これらの取引は、個人が生活の基盤を維持するために必要な取引とされており、税負担を軽減するために非課税とされています。ただし、上記の取引であっても、その後事業用として使用していた不動産を売却する場合は、消費税の課税対象となる可能性があります。

相続した不動産を売却するときの税金情報は「相続した不動産を売却するときに知っておくべき税金情報」の記事をご参照ください。

法人で不動産を売却する場合の消費税

法人で不動産を売却する場合の消費税

法人が不動産を売却する場合、消費税の課税対象となる取引か、非課税となる取引かを見極める必要があります。また、計算方法や納付手続きも個人とは異なるため、注意が必要です。

法人における消費税の計算方法

法人における不動産売却の消費税計算方法は、原則として以下のようになります。

課税売上げ × 消費税率

ここで、課税売上げとは、不動産の売却価格から消費税を除いた金額です。消費税率は、原則として10%です。ただし、軽減税率の対象となる取引の場合は8%となります。軽減税率の対象となるのは、住宅の用地となる土地の譲渡など、特定の要件を満たす場合に限られます。

また、建物と土地を併せて売却する場合、それぞれの資産ごとに消費税の課税・非課税を判断する必要があります。

一言メモ

土地は原則として非課税ですが、建物は課税対象となります。そのため、売却価格を建物部分と土地部分に適切に按分する必要があります。

消費税の納付

消費税の納付は、原則として確定申告時に行います。法人には、消費税の申告と納付が義務付けられています。申告期限は、事業年度終了後2ヶ月以内です。例えば、3月決算の法人の場合、5月末までに申告と納付を行う必要があります。

消費税の納付を怠ると、延滞税や加算税などのペナルティが課される可能性がありますので、注意が必要です。また、税務調査が入る可能性も高まります。適切な申告と納付を行うために、税理士などの専門家への相談も検討しましょう。

簡易課税制度

一定の要件を満たす中小企業などは、簡易課税制度を選択することができます。簡易課税制度とは、売上に係る消費税額を計算する際に、みなし仕入率を用いる制度です。

事業の種類 みなし仕入率
第1種事業(卸売業など) 50%
第2種事業(小売業など) 60%
第3種事業(サービス業など) 30%
不動産業 50%

不動産業の場合、みなし仕入率は50%です。つまり、売上の50%が仕入とみなされ、その部分については消費税が控除されます。簡易課税制度を選択することで、消費税の計算が簡素化されるメリットがあります。ただし、実際に支払った仕入税額控除額の方が大きい場合は、簡易課税制度を選択しない方が有利な場合もあります。そのため、どちらの制度が有利かを慎重に検討する必要があります。

一言メモ

消費税は複雑な制度であるため、不明点があれば税理士などの専門家に相談することをお勧めします。また、最新の税制改正情報を確認することも重要です。

不動産売却で消費税はかかる?個人・法人の違いまとめ

不動産売却で消費税はかかる?個人・法人の違いまとめ

不動産売却における消費税は、個人か法人か、売却対象が居住用か事業用かなど、様々な条件によって異なります。個人が居住用財産を売却する場合は消費税はかかりませんが、事業用財産の場合は課税対象となります。法人は原則として消費税の納税義務があり、売却益だけでなく消費税も考慮した資金計画が必要です。また、土地や建物の種類によっても消費税の扱いが変わるため、売却前に税理士や不動産会社に相談し、消費税還付などの制度も活用しながら、スムーズな売却を実現しましょう。

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このコラムを書いた人

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アデプトマネジメント編集部

【宅地建物取引業】大阪府知事(2)第59728号
【賃貸住宅管理業】国土交通大臣(1)第002807号

アデプトマネジメントではお客様のお悩み解決の為に不動産に関わる有益な情報を発信しております。弊社代表の髙橋は約20年に渡り売買・賃貸仲介・管理・投資等の不動産業務に携わってきました。その経験を活かし、不動産業務全般のご相談に対応可能です。投資用マンションの売却査定もお任せください。

このコラムを監修した人

高橋(宅建士)
高橋(宅建士)
宅地建物取引士・防災士

大学卒業後、大手マンションディベロッパーに入社。
不動産を活用した資産運用コンサルティングを20年以上経験。

>Aiを活用した物件査定と収益査定が得意分野。
自分自身でも収益マンションを複数件所有。
顧客目線で出口戦略や賃貸管理のご提案させていただきます。