不動産投資、法人化しない方が良いケースも?理由も合わせて解説

不動産投資、法人化しない方が良いケースも?

不動産投資を始めるにあたって、法人化すべきか迷っていませんか?法人化にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。本記事では、不動産投資を法人化しない理由を様々な観点から解説し、法人化しない方が良いケースや判断基準を具体的に示します

初期費用やランニングコスト、節税効果、事業規模、融資、事務作業など、多角的に比較検討することで、ご自身の状況に最適な選択ができるようになります。

不動産査定はアデプトマネジメントにお任せ不動産査定、実績豊富な不動産買取。年間200件以上の買取相談実績【最短即日査定】詳細はこちら

不動産投資の法人化とは?メリット・デメリットを簡単におさらい

不動産投資における法人化とは、個人で行っていた不動産投資事業を法人(株式会社など)に移行することを指します。つまり、個人ではなく会社が不動産の所有者となり、賃貸経営を行う形になります。法人化にはメリット・デメリットがあり、ご自身の状況や投資戦略に合わせて慎重に検討する必要があります。

法人化のメリット

法人化には様々なメリットがあり、大きく分けて節税効果、事業の継続性、社会的信用力の向上などが挙げられます。

節税効果

法人化することで、様々な税制上の優遇措置を受けることができます。例えば、個人の所得税と比べて法人税率が低い場合、納税額を圧縮できる可能性があります。また、経費計上できる範囲が広がることもメリットです。給与所得控除を活用した節税や、損益通算による節税効果も期待できます。

ただし、法人化による節税効果は、事業規模や収益状況、個人の所得水準などによって大きく異なるため、事前にシミュレーションを行うことが重要です。

事業の継続性

個人事業では、事業主が死亡または病気になった場合、事業の継続が困難になる可能性があります。しかし、法人化することで、事業主の個人的な事情に左右されずに事業を継続することができます。これは、長期的な視点で不動産投資を行う上で大きなメリットとなります。

社会的信用力の向上

法人化することで、対外的な信用力が高まる傾向があります。金融機関からの融資を受けやすくなるだけでなく、取引先との信頼関係構築にも役立ちます。また、事業としての組織体制が明確になるため、従業員の採用や育成もしやすくなります。

法人化のデメリット

法人化にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。主なデメリットとして、設立費用やランニングコストの増加、設立・運営の手間などが挙げられます。

設立費用やランニングコストの増加

法人設立には、登録免許税や司法書士への報酬など、一定の費用が発生します。また、法人化した後は、法人税や住民税、事業税などの税金に加え、社会保険料や会計処理費用などのランニングコストも発生します。これらの費用増加は、事業の収益性を圧迫する可能性があります。

設立・運営の手間

法人設立には、定款の作成や登記手続きなど、複雑な手続きが必要です。また、法人化した後は、毎年の決算処理や税務申告、社会保険手続きなど、事務作業の負担が増加します。これらの手間は、本業を持つサラリーマンにとっては大きな負担となる可能性があります。また、会計処理を専門家に依頼する場合、顧問料などの費用も発生します。

法人化するメリット・デメリットを表にまとめると以下のようになります。

メリット
  • 節税効果
    (法人税率、経費計上範囲の拡大、給与所得控除など)
  • 事業の継続性
    (事業主の個人的な事情に左右されない)
  • 社会的信用力の向上
    (金融機関からの融資、取引先との信頼関係構築、従業員採用)
デメリット
  • 設立費用やランニングコストの増加
    (登録免許税、司法書士報酬、法人税、住民税、事業税、社会保険料、会計処理費用など)
  • 設立・運営の手間
    (定款作成、登記手続き、決算処理、税務申告、社会保険手続きなど)
一言メモ

法人化のメリット・デメリットを理解した上で、国税庁などの公的機関の情報も参考にしながら、ご自身の状況に合った判断をすることが重要です。

税金対策と法人化のメリット・デメリットについて知りたい方は「不動産投資で税金対策とは?税金対策で法人化のメリットデメリット」の記事をご参照ください。

不動産投資を法人化しない理由とは?

理由の画像

不動産投資において法人化は必ずしも必須ではなく、個人の状況によっては法人化しない方が有利なケースも存在します。ここでは、不動産投資を法人化しない主な理由とその詳細、メリット・デメリット、そしてどのような人が法人化しない選択をするべきかを解説します。

初期費用やランニングコストを抑えたい

法人化には設立費用や登録免許税、毎年のランニングコストとして法人住民税、事業税、消費税などが発生します。これらのコストは、小規模な不動産投資の場合、利益を圧迫する可能性があります。法人化しないことで、これらのコストを削減し、投資効率を高めることができます。

節税効果が限定的または不要な場合

法人化のメリットとしてよく挙げられるのが節税効果ですが、所得が一定水準以下の場合、法人税率の方が所得税率よりも高くなるケースがあります。また、所得が少なければ累進課税の影響も小さく、法人化による節税効果が限定的になる場合もあります。

さらに、相続税対策を目的とする場合でも、相続財産が基礎控除額以下であれば、法人化の必要性は低くなります。自身の所得水準や相続財産を考慮し、節税効果が期待できるか判断する必要があります。

事業規模が小さく、管理の手間を増やしたくない

法人を設立すると、会計処理や税務申告、社会保険手続きなど、管理業務が複雑化します。これらの業務を自身で行う場合は、相応の時間と労力を割く必要があります。税理士や社労士などの専門家に依頼する場合には、別途費用が発生します。

小規模な不動産投資の場合、これらの手間や費用が負担になる可能性があります。 法人化しないことで、これらの管理の手間を省き、本業に集中することができます。

融資のハードルを上げたくない

一般的に、法人への融資は個人への融資よりも審査が厳しく、金利も高くなる傾向があります。特に設立間もない法人は、実績がないため、融資を受けにくい場合があります。また、法人の決算書の内容によっては、融資額が制限されることもあります。個人であれば、属性や信用情報によっては、法人よりも有利な条件で融資を受けられる可能性があります。

ただし、法人化することで、事業としての信用力が高まり、将来的に有利な条件で融資を受けられる可能性も否定できません。長期的な視点で判断する必要があります。

確定申告などの事務作業を簡素化したい

不動産所得は、個人であれば確定申告で比較的簡単に申告できます。一方、法人の場合は、法人税申告書の作成が必要となり、申告手続きも複雑になります。また、青色申告を行うためには、複式簿記による記帳が必要となるなど、事務作業の負担が増加します。

小規模な不動産投資で、確定申告などの事務作業を簡素化したい場合は、法人化しない方が良いでしょう。

法人化しない理由とメリット・デメリット
法人化しない理由 メリット デメリット
初期費用・ランニングコストを抑えたい 設立費用、法人住民税、事業税などが不要 節税効果が得られない可能性がある
節税効果が限定的または不要な場合 確定申告が比較的容易 所得が増加した場合、税負担が大きくなる可能性がある
事業規模が小さく、管理の手間を増やしたくない 会計処理、税務申告、社会保険手続きなどが簡素 事業拡大時に対応が難しくなる可能性がある
融資のハードルを上げたくない 個人としての信用力で融資を受けられる可能性がある 事業としての信用力が低いため、融資額が制限される可能性がある
確定申告などの事務作業を簡素化したい 確定申告が比較的容易 法人化による節税メリットを受けられない
一言メモ

法人化のメリット・デメリット、個人の状況を総合的に判断し、自身にとって最適な選択をすることが重要です。詳しくは国税庁のウェブサイトなどを参照してください。

不動産投資の確定申告について知りたい方は「不動産投資の確定申告のやり方は?必要書類や手続きの流れを紹介」の記事をご参照ください。

不動産投資、法人化しない方が良いケース

法人化しない画像

不動産投資を法人化すると、税制メリットや社会的信用力の向上など様々なメリットが享受できます。しかし、必ずしも全ての人に法人化が最適解とは限りません。個人の属性や投資戦略によっては、法人化しない方がメリットが大きいケースも存在します。ここでは、法人化しない方が良いケースを具体的に解説します。

物件数が少なく、家賃収入が少ない場合

所有物件数が少なく、家賃収入も少ない場合、法人化による節税効果は限定的です。法人化には設立費用やランニングコスト(会計処理、税務申告など)が発生するため、これらのコストが節税効果を上回り、かえって負担が増える可能性があります。

また、不動産所得が少額であれば、確定申告も比較的容易です。小規模な不動産投資であれば、まずは個人事業主として運用し、事業規模の拡大に合わせて法人化を検討する方が合理的と言えるでしょう。

サラリーマンとしての給与所得が少ない場合

給与所得が少ないサラリーマンが不動産投資を行う場合、法人化による節税効果は限定的です。給与所得が高いほど、累進課税の影響を受け、税負担が大きくなります。法人化することで、所得を分散し、税負担を軽減できますが、給与所得が少ない場合は、そもそも税負担が大きくないため、節税メリットは小さくなります。

また、健康保険や厚生年金などの社会保険料は給与所得を元に計算されるため、法人化しても社会保険料の負担は変わりません。給与所得が少ないサラリーマンの場合は、個人事業主として不動産投資を行い、給与所得を増やすことに注力する方が効果的かもしれません。

サラリーマンが行う不動産投資の戦略について詳しく知りたい方は「年収別!最適な不動産投資戦略|あなたに合った投資プランを見つけよう」の記事をご参照ください。

不動産投資が長期的な売却益を目的とする場合

長期的な売却益のみを目的とした不動産投資の場合、法人化は必ずしも最適な選択ではありません。個人が不動産を売却した場合、譲渡所得には長期譲渡所得と短期譲渡所得があり、保有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得として税率が軽減されます。一方、法人が不動産を売却した場合、売却益は通常の法人税率が適用されます。

長期的な売却益を目的とする場合、保有期間が5年を超える可能性が高いため、個人で売却した方が税負担が軽くなる可能性があります。

一言メモ

長期的な売却益を目的とする場合は、売却時の税負担を慎重にシミュレーションし、個人と法人のどちらで売却するのが有利かを判断することが重要です。

その他、個人の属性や投資戦略によって法人化が不要なケース

上記以外にも、個人の属性や投資戦略によって法人化が不要なケースがあります。例えば、以下のようなケースが考えられます。

ケース 説明
相続対策が目的でない場合 法人化は相続対策としても有効ですが、相続対策が目的でない場合は、法人化の必要性は低くなります。
事業拡大の予定がない場合 将来的に事業拡大の予定がない場合、法人化のメリットは限定的です。
不動産投資以外の事業を営んでいない場合 他の事業を営んでいない場合、法人化による事業間の損益通算などのメリットは受けられません。
複雑な会計処理や税務申告に対応できない場合 法人化すると、会計処理や税務申告が複雑になります。これらに対応できない場合は、法人化しない方が良いでしょう。
一言メモ

法人化はメリットだけでなく、デメリットも存在します。法人化を検討する際は、メリットとデメリットを比較検討し、自身の状況に最適な選択をすることが重要です。

法人化の判断基準は?

判断基準の画像

不動産投資における法人化は、メリットとデメリットを慎重に比較検討し、自身の状況に合わせて判断する必要があります。判断基準となる主な要素は以下の通りです。

収益性

法人化の大きなメリットは節税効果ですが、法人設立や維持には費用がかかります。現在の家賃収入や今後の見込み収益と、法人化に伴う費用を比較し、法人化による節税効果が費用を上回るかどうかを検討する必要があります。

例えば、国税庁のホームページで所得税率を確認し、自身の所得水準における節税効果をシミュレーションしてみましょう。また、法人化後の税率や必要経費についても考慮に入れる必要があります。

リスク許容度

法人化すると、個人事業主の場合よりも社会的責任が大きくなり、経営リスクも高まります。不動産市況の悪化や空室リスクなど、想定されるリスクと、それに対する自身の対応力を客観的に評価する必要があります。

例えば、金融庁のウェブサイトなどで、不動産投資のリスクについて詳しく学ぶことができます。また、専門家への相談も有効な手段です。

長期的な投資計画

長期的な売却益のみを目的とする場合は法人化のメリットは限定的ですが、長期的に安定した家賃収入を得たい場合は、法人化による節税効果や事業の継続性がメリットとなります。

自身の投資期間や目標に合わせて、法人化の必要性を判断しましょう。例えば、10年、20年後の不動産市況や自身のライフプランを想定し、長期的な視点で検討することが重要です。

個人のライフプラン

個人の年齢、家族構成、キャリアプランなども法人化の判断に影響します。退職後の収入源として不動産投資を考えている場合、法人化することで安定した経営基盤を築ける可能性があります。また、相続対策としても法人化が有効な場合があります。

以下の表に、個人のライフプランと法人化の関連性をまとめました。

各ライフステージと法人化のメリット・デメリット
ライフステージ メリット デメリット
現役世代 節税効果、事業拡大の基盤 設立・維持コスト、管理の手間
退職後 安定収入源の確保、相続対策 事業継続の負担
一言メモ

これらの要素を総合的に考慮し、自身にとって最適な選択をすることが重要です。必要に応じて、税理士や不動産コンサルタントなどの専門家に相談することをおすすめします。

不動産投資で法人化しない理由と判断基準まとめ

不動産投資を法人化するかしないかは、個々の状況によって最適な選択が異なります。初期費用やランニングコストを抑えたい、節税効果が限定的、事業規模が小さい、融資のハードルを上げたくない、事務作業を簡素化したいといった理由で、法人化しない選択をするケースもあります。特に、物件数が少なく家賃収入が少ない場合、給与所得が少ない場合、長期的な売却益のみを目的とする場合などは、法人化のメリットが享受しづらい可能性があります。

最終的には、収益性、リスク許容度、長期的な投資計画、個人のライフプランなどを総合的に考慮し、自身にとって最適な選択をすることが重要です。この記事が、読者の皆様の不動産投資戦略における意思決定の一助となれば幸いです。

最短即日対応、スピーディな不動産買取をサポート

このコラムを書いた人

アデプトマネジメントのロゴ

アデプトマネジメント編集部

【宅地建物取引業】大阪府知事(2)第59728号
【賃貸住宅管理業】国土交通大臣(1)第002807号

アデプトマネジメントではお客様のお悩み解決の為に不動産に関わる有益な情報を発信しております。弊社代表の髙橋は約20年に渡り売買・賃貸仲介・管理・投資等の不動産業務に携わってきました。その経験を活かし、不動産業務全般のご相談に対応可能です。投資用マンションの売却査定もお任せください。

このコラムを監修した人

高橋(宅建士)
高橋(宅建士)
宅地建物取引士・防災士

大学卒業後、大手マンションディベロッパーに入社。
不動産を活用した資産運用コンサルティングを20年以上経験。

>Aiを活用した物件査定と収益査定が得意分野。
自分自身でも収益マンションを複数件所有。
顧客目線で出口戦略や賃貸管理のご提案させていただきます。