不動産投資の諸費用内訳を徹底解説!

不動産投資で必要な諸費用とは?

不動産投資は物件価格だけでなく、多岐にわたる「諸費用」が発生します。これらを正確に把握しないまま計画を進めると、資金不足に陥り、投資が頓挫するリスクも。本記事では、不動産投資の購入時・保有時・売却時の各フェーズでかかる諸費用の種類、内訳を徹底解説します。

この記事を読めば、不動産投資の隠れたコストを全て理解し、安心して資金計画を立てられるようになります。

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不動産投資の諸費用内訳を知る重要性

不動産投資を検討する際、多くの人がまず注目するのは物件価格や家賃収入、そして表面利回りでしょう。しかし、それらと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが、物件価格以外に発生する「諸費用」の正確な把握です。

諸費用を軽視したり、その存在を知らなかったりすると、思わぬ資金不足に陥ったり、当初の収支計画が大きく狂ったりする原因となります。

諸費用を把握することの重要性は、主に以下の点に集約されます。

正確な資金計画の策定

不動産投資は、高額な資金を投じる長期的なプロジェクトです。物件購入代金だけでなく、購入時にかかる税金、手数料、保険料、そして保有中にかかる管理費や修繕積立金、固定資産税など、多岐にわたる費用が発生します。

これらの諸費用を事前に把握し、自己資金や融資額と照らし合わせることで、現実的で無理のない資金計画を立てることが可能になります。

実質利回りとキャッシュフローの正確な把握

不動産投資の収益性を測る指標として「利回り」が用いられますが、諸費用を考慮しない「表面利回り」だけでは、実際の収益性は見えてきません。

諸費用をすべて含めて計算する「実質利回り」こそが、投資の真の収益力を示す指標です。

リスク管理と節税対策の基礎

不動産投資には、空室リスク、家賃滞納リスク、災害リスクなど、様々なリスクが伴います。これらのリスクに備えるための保険料や、突発的な修繕費用なども諸費用の一部として考慮する必要があります。

また、諸費用の中には、不動産所得の計算上、経費として計上できるものも多くあります。これらの費用を適切に把握し、計上することで、所得税や住民税の節税効果も期待できます。

諸費用を把握しない場合のリスクと把握することのメリット
項目 諸費用を把握しない場合のリスク 諸費用を把握することのメリット
資金計画 自己資金不足、資金ショート、追加融資の必要性 無理のない資金計画の策定、確実な購入
収益性評価 表面利回りに惑わされ、実質利回り低下、キャッシュフロー悪化 実質利回りの正確な把握、安定したキャッシュフロー確保
リスク管理 予期せぬ出費への対応困難、投資計画の破綻 突発的な費用への備え、リスクの軽減
税金対策 経費計上漏れによる税負担の増加 適切な経費計上による節税効果
投資判断 誤った情報に基づく投資判断、後悔 現実的で精度の高い投資判断
一言メモ

不動産投資を成功させるためには、諸費用を軽視せずに全体像を理解し、綿密な資金計画を立てることが重要です。

不動産投資の節税対策について知りたい方は「不動産投資の経費はいくらまでが妥当?プロが教える節税対策」の記事をご参照ください。

不動産投資の購入時にかかる諸費用内訳

購入の画像

不動産投資を始める際、物件価格以外にも様々な費用が発生します。これらを「諸費用」と呼び、物件価格の約6%~10%程度が目安とされています。

購入時の諸費用を正確に把握することは、適切な資金計画を立てる上で不可欠です。

税金の種類と計算方法

不動産を購入する際には、国や地方自治体に納める各種税金が発生します。これらの税金は、物件の価格や種類、個人の状況によって金額が大きく変動するため、事前に確認しておくことが重要です。

不動産取得税

不動産取得税は、不動産を取得した際に一度だけ課される都道府県税です。取得後、数ヶ月から1年程度で納税通知書が送付されます。

また、特定の要件を満たす住宅用不動産や土地については、軽減措置が適用される場合があります。例えば、新築住宅や中古住宅の床面積、築年数などの条件を満たすことで、課税標準額からの控除や税率の軽減が受けられます。

登録免許税

登録免許税は、不動産の所有権移転登記や抵当権設定登記など、不動産登記を行う際に国に納める税金です。税額は、登記の種類によって異なります。

印紙税

印紙税は、不動産の売買契約書や金銭消費貸借契約書(ローン契約書)など、課税文書を作成する際に課される国税です。契約書に収入印紙を貼付し、消印することで納税します。

一言メモ

不動産投資では、売買契約書とローン契約書の両方に印紙税が発生するため、合計額を考慮に入れる必要があります。

消費税(建物部分)

不動産購入時の消費税は、建物部分にのみ課税され、土地には課税されません。また、売主が個人である場合は非課税ですが、売主が宅地建物取引業者などの事業者である場合は課税対象となります。

新築マンションや新築アパートを購入する場合、通常は消費税が課税されます。中古物件の場合でも、売主が不動産会社であれば消費税がかかる点に注意が必要です。

各種手数料と報酬

不動産取引を円滑に進めるためには、専門家への報酬や金融機関への手数料など、様々な費用が発生します。

不動産仲介手数料

不動産仲介手数料は、不動産会社に売買の仲介を依頼した場合に支払う報酬です。宅地建物取引業法により上限額が定められており、購入する不動産の価格によって計算式が異なります。

例えば、3,000万円の物件の場合、約105万円が上限となります。この手数料は、売買契約が成立した場合に発生し、売主と買主がそれぞれ仲介会社に支払うのが一般的です。

司法書士報酬

司法書士報酬は、不動産の所有権移転登記や抵当権設定登記などの手続きを司法書士に依頼した場合に支払う報酬です。登記手続きは専門的な知識が必要となるため、司法書士に依頼するのが一般的です。

報酬額は、依頼する内容や物件の価格、司法書士事務所によって異なりますが、数万円から十数万円程度が目安となります。

融資事務手数料・ローン保証料

不動産投資ローンを利用する場合、金融機関に対して融資事務手数料やローン保証料を支払う必要があります。

火災保険料・地震保険料

不動産投資物件を購入する際には、火災や自然災害に備えて火災保険や地震保険に加入することが一般的です。特にローンを利用する場合は、金融機関から加入を義務付けられることがほとんどです。

一言メモ

保険料は、物件の規模や構造、補償期間(長期契約ほど割引がある場合が多い)によって大きく変動します。購入時に数年分を一括で支払うケースも多いため、まとまった費用として計上しておく必要があります。

団体信用生命保険料

団体信用生命保険(団信)は、ローン契約者が死亡または高度障害になった場合に、保険金で残りのローンが完済される保険です。多くの金融機関では、団信の保険料はローンの金利に含まれており、別途支払う必要がないケースが一般的です。

しかし、一部の金融機関や特定の団信特約(三大疾病特約など)を付帯する場合は、別途保険料が発生することもありますので、契約内容をよく確認しましょう。

その他初期費用

上記以外にも、不動産購入時に発生する初期費用がいくつかあります。

手付金

手付金は、売買契約締結時に買主から売主へ支払われる金銭です。これは売買契約が成立した証として支払われるもので、通常は売買代金の一部に充当されます。

手付金の額に法的な定めはありませんが、売買代金の5%~10%程度が一般的です。

不動産取引における手付金等の保全措置について知りたい方は「不動産取引における手付金等の保全措置とは?」の記事をご参照ください。

固定資産税・都市計画税の清算金

固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点の不動産所有者に課税される税金です。しかし、不動産売買では年度の途中で所有者が変わることがほとんどです。

そのため、引渡日を境に売主と買主の間で日割り計算を行い、買主が売主に対して未経過分の税金を支払うのが慣例となっています。

不動産投資の保有時にかかる諸費用内訳

保有の画像

不動産投資は、物件を購入して終わりではありません。保有期間中も、税金や管理費、修繕費など様々な費用が継続的に発生します。これらのランニングコストを正確に把握することは、収益性を確保し、安定した賃貸経営を行う上で不可欠です。

ここでは、不動産投資の保有時に発生する諸費用について、その種類と内訳を詳しく解説します。

定期的に発生する税金

不動産を保有している限り、毎年、または不動産所得が発生するたびに納税義務が生じます。主な税金は以下の通りです。

固定資産税

固定資産税は、毎年1月1日時点の不動産所有者に対して課される地方税です。土地と建物それぞれに課税され、その年の4月頃に納税通知書が届きます。一般的には年4回に分けて納付しますが、一括納付も可能です。

税額は、市町村が定めた固定資産税評価額(3年に一度見直し)に基づいて計算されます。

都市計画税

都市計画税は、市街化区域内に所在する不動産に対して課される地方税です。都市計画事業や土地区画整理事業などの費用に充当される目的で徴収されます。固定資産税と合わせて納税通知書が送付されます。

税額は、固定資産税評価額を基に計算されます。

所得税・住民税(不動産所得に対して)

不動産投資で得た家賃収入から、必要経費(固定資産税、都市計画税、管理費、修繕費、減価償却費、ローン金利など)を差し引いたものが「不動産所得」となります。この不動産所得に対して、所得税と住民税が課税されます。

所得税は累進課税制度が採用されており、所得金額に応じて税率が変動します。住民税は原則として一律10%です。

物件の維持管理費

安定した賃貸経営のためには、物件の維持管理が欠かせません。これにかかる費用も重要なランニングコストです。

管理委託手数料

賃貸管理業務(入居者募集、賃料徴収、入居者対応、退去精算など)を不動産管理会社に委託する場合に発生する費用です。家賃収入の一定割合(一般的に3%~8%程度)が毎月差し引かれる形で支払われます。

自己管理を行う場合は不要ですが、入居者とのトラブル対応や空室対策など、多大な手間と時間がかかるため、多くの投資家が管理会社に委託しています。

管理費・修繕積立金(区分マンションの場合)

区分マンション投資の場合、共用部分の維持管理や大規模修繕に備えるための費用として、毎月「管理費」と「修繕積立金」を管理組合に支払います。

一言メモ

一棟アパートや一棟マンションの場合、区分マンションの管理費・修繕積立金に相当する費用をオーナー自身が負担・手配します。具体的には、共用部分の清掃、定期的な点検(消防設備、エレベーターなど)、植栽管理、共用部の電気代や水道代などが含まれます。

マンションの修繕積立金相場について知りたい方は「マンション修繕積立金相場を徹底解説!築年数・広さによる違いは?」の記事をご参照ください。

各種保険料(火災保険など)

不動産を保有する上で、万が一の事態に備える保険への加入は必須です。主な保険料は以下の通りです。

不動産を保有する上でかかる各種保険料
  • 火災保険
    火災、落雷、風災、水災など、自然災害による建物の損害を補償します。地震保険は別途加入が一般的です。
  • 地震保険
    地震、噴火、津波による損害を補償します。火災保険とセットで加入することが多いです。
  • 施設賠償責任保険
    物件内で発生した事故(例えば、共用部分での転倒事故など)により、入居者や第三者に損害を与えた場合の賠償責任を補償します。

その他のランニングコスト

上記の他に、突発的に発生する費用もあります。

賃貸募集費用

空室が発生し、新たな入居者を募集する際に不動産会社に支払う費用です。広告掲載料や、オーナー側が負担する仲介手数料(広告料)などがこれに該当します。

入居者が支払う仲介手数料とは別に、オーナーが負担するケースがあることを認識しておく必要があります。

修繕費用(突発的なもの)

リフォーム費用とは別に、予測不能なトラブルによって急遽発生する修繕費用も考慮に入れておく必要があります。例えば、給湯器の故障、エアコンの故障、水漏れ、配管のつまりなどが挙げられます。

一言メモ

これらの費用は突発的であるため、日頃から修繕費用の積み立てや、緊急時に対応できる業者との連携を確保しておくことが望ましいでしょう。

不動産投資の売却時にかかる諸費用内訳

売却の画像

不動産投資において、物件の売却は投資サイクルの最終段階であり、この時点でも様々な諸費用が発生します。購入時や保有時とは異なる性質を持つ費用が多く、特に利益が出た場合には税金が大きく影響するため、事前の理解が不可欠です。

売却時の諸費用を把握しておくことで、手残り資金の正確なシミュレーションが可能になり、適切な売却戦略を立てることができます。

売却時の税金

不動産を売却して利益が出た場合、その利益に対して税金が課されます。主な税金は譲渡所得税と住民税、そして契約書に貼付する印紙税です。

譲渡所得税・住民税

不動産を売却して得た利益(譲渡所得)に対して課される税金です。譲渡所得は、売却価格から物件の取得費(購入代金や購入手数料など)と譲渡費用(売却手数料や測量費など)を差し引いた金額で計算されます。

印紙税

不動産の売買契約書を作成する際に必要となる税金です。契約書に収入印紙を貼付することで納税します。

売却時の手数料

税金以外にも、不動産を売却する際には様々な手数料が発生します。これらの手数料は、売却を円滑に進めるために必要なサービスに対する対価です。

不動産仲介手数料

不動産会社に売却を依頼した場合に支払う報酬です。不動産会社が買主を見つけ、売買契約から引き渡しまでの手続きをサポートする対価として発生します。

仲介手数料は、売買契約が成立した場合にのみ発生する成功報酬です。

抵当権抹消登記費用

不動産投資でローンを利用していた場合、物件には金融機関の抵当権が設定されています。ローンを利用して購入した物件を売却する際には、この抵当権を抹消する必要があります。

抵当権抹消登記は司法書士に依頼するのが一般的であり、その際に登記費用が発生します。

不動産投資の諸費用内訳を徹底解説まとめ

不動産投資を成功させるためには、購入時、保有時、そして売却時に発生する多岐にわたる諸費用を正確に把握し、事前に資金計画へ組み込むことが極めて重要です。これらの費用を軽視すると、予期せぬ出費が収益を圧迫し、投資計画が破綻するリスクを高めます。

税金、手数料、維持管理費など、各フェーズでかかる費用を詳細に理解し、節税対策や適切な融資条件の検討を通じて費用を最適化することで、安定したキャッシュフローを確保し、不動産投資を成功へと導く基盤を築くことができます。

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このコラムを書いた人

アデプトマネジメントのロゴ

アデプトマネジメント編集部

【宅地建物取引業】大阪府知事(2)第59728号
【賃貸住宅管理業】国土交通大臣(1)第002807号

アデプトマネジメントではお客様のお悩み解決の為に不動産に関わる有益な情報を発信しております。弊社代表の髙橋は約20年に渡り売買・賃貸仲介・管理・投資等の不動産業務に携わってきました。その経験を活かし、不動産業務全般のご相談に対応可能です。投資用マンションの売却査定もお任せください。

このコラムを監修した人

吉田(宅建士)
吉田(宅建士)
宅建士

大学卒業後、不動産売買仲介の営業をしていました。 現在の私の主な業務は、売買部門において契約書作成等の事務仕事を担当しています。

オーナー様の不動産売買のサポートをさせていただいております。

趣味:映画鑑賞、旅行