検査済証がない物件でも売却は可能?知っておくべきリスクと成功の秘訣

検査済証がない物件の売却は可能?

「検査済証がない物件は売却できない」と諦めていませんか?結論から言えば、検査済証がなくても物件の売却は可能です。この記事では、検査済証がない物件の売却における具体的なリスクを明確にし、検査済証がない物件の売却を成功させる秘訣までを詳しく解説します。

あなたの物件売却を成功に導くための知識を、ぜひこの記事で手に入れてください。

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検査済証がない物件でも売却は可能?

「検査済証がない物件は売却できない」と誤解されている方も少なくありませんが、結論から言えば、検査済証がない物件でも売却は十分に可能です。

しかし、通常の検査済証がある物件と比較すると、いくつかの重要な注意点や、乗り越えるべきハードルが存在します。適切な準備と戦略をもって臨むことで、検査済証がない物件でも成功裏に売却を進めることができます。

検査済証がない物件の売却における基本知識

検査済証がない物件の売却を進める上で、まずはその基本を理解しておくことが重要です。検査済証の有無は、単に書類の有無だけでなく、物件の「適法性」や「資産価値」、さらには「市場での評価」に大きく影響を及ぼします。

検査済証がないということは、建築基準法に基づく完了検査を受けていない、または合格していない状態を指すため、買主にとっては懸念材料となります。この懸念は、買主の購入意思に直接的な影響を与える可能性があります。

検査済証がある物件とない物件の主な違い
項目 検査済証がある物件 検査済証がない物件
適法性の証明 建築基準法に適合していることが公的に証明されている 適法性が不明確な場合がある(違法建築の可能性も含む)
住宅ローン 一般的に融資が受けやすい 融資が困難になるケースが多い、または条件が厳しくなる場合がある
再建築 原則として再建築が可能 再建築ができない「再建築不可」となるリスクがある
売却価格 適正な市場価格で売却しやすい 市場価格より安くなる傾向がある
買主の心理 安心して購入しやすい 不安要素が多く、購入に慎重になる傾向がある
売却期間 比較的短期間での売却が期待できる 買主探しに時間がかかり、長期化する可能性がある
売主の責任 比較的トラブルが少ない 契約不適合責任を問われるなどのトラブルの可能性がある
一言メモ

これらの違いを理解した上で、物件の現状を正確に把握し、適切な売却戦略を立てることが、検査済証がない物件の売却を成功させるための第一歩となります。

検査済証とは何か?その重要性を解説

重要性の画像

不動産の売買において、「検査済証」という言葉を耳にする機会は多いでしょう。これは、建物が建築基準法に適合して建てられたことを証明する、いわば建物の「戸籍謄本」のような公的な書類です。

この章では、検査済証が具体的に何を意味し、なぜ不動産取引においてこれほどまでに重要視されるのかを詳しく解説します。

建築基準法における検査済証の役割

検査済証は、建築基準法に基づき発行される重要な書類です。検査済証があることで、その建物が設計図書通りに適切に施工され、耐震性、防火性、衛生面など、さまざまな観点から建築基準法の基準を満たしていることが証明されます。

これにより、その建物を安心して使用できるというお墨付きが得られるのです。

なぜ検査済証がない物件が存在するのか?

検査済証がない物件が存在する背景には、法制度の変遷、不適切な建築行為、あるいは単なる書類管理の問題など、様々な要因が絡み合っています。

ここでは、検査済証がない物件が存在する主な理由を詳しく解説します。

建築確認申請と完了検査の歴史的背景

検査済証は建築基準法に基づいて発行される書類ですが、この法律は過去に幾度となく改正され、特に1998年の改正では、完了検査の義務化が強化され、違反建築物の防止が図られました。

しかし、それ以前に建てられた物件については、当時の慣習や制度の隙間から、検査済証がない状態が引き継がれているのが現状です。

増改築による既存不適格や違法建築

検査済証がない物件が存在するもう一つの大きな理由として、建築後の増改築が挙げられます。

特に、建築確認申請を行わずに増改築を行った場合、その部分が既存の建物全体の適法性を損ない、結果として検査済証がない状態となることがあります。

一言メモ

元々検査済証があった物件でも、違法な増改築が行われることで、その後の売却時などに検査済証の効力が問題視されることがあります。

書類紛失や発行されなかったケース

検査済証がない最も単純な理由の一つが、書類の紛失です。長年にわたる保管の過程で、売主様自身が紛失してしまったり、過去の所有者が紛失してしまったりするケースが考えられます。

さらに、完了検査自体は行われたものの、何らかの理由で検査済証が発行されなかった、または交付されなかったというケースも存在します。

検査済証がない物件の売却で知っておくべきリスク

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検査済証がない物件の売却は可能であるものの、その特性上、買主と売主の双方に様々なリスクが伴います。

これらのリスクを事前に理解し、適切に対処することが、トラブルを避け、スムーズな売却を実現するための鍵となります。

買主側が直面するリスク

検査済証がない物件を購入する買主は、将来的な不利益や予期せぬ出費につながる可能性のあるリスクを負うことになります。

これらのリスクは、物件の購入意欲を低下させる大きな要因となります。

住宅ローンが組みにくい可能性

検査済証がない物件は、金融機関による担保評価が厳しくなる傾向があります。金融機関は、融資の対象となる不動産が建築基準法に適合しているか、また、万が一返済が滞った場合に担保として適切な価値があるかを重視します。

検査済証がない場合、物件の適法性が不明確と判断され、担保価値が低いとみなされることがあります。

一言メモ

買主がローンを組めなければ、購入自体が困難になるため、売主にとっても売却機会の損失に直結します。

不動産投資ローンの金利相場や金融機関ごとの特徴について知りたい方は「不動産投資ローンの金利相場は?金融機関ごとの特徴を解説」の記事をご参照ください。

再建築不可となる可能性

検査済証がない物件の中には、既存不適格建築物や、現行の建築基準法に違反する違法建築物が含まれている可能性があります。特に注意すべきは、「再建築不可」となるリスクです。

再建築不可の物件は、既存建物を解体してしまうと建物を新築できなくなるため、将来的な建て替えを検討している買主にとっては、非常に大きなリスクとなります。

再建築不可物件のリスクと対策について知りたい方は「不動産投資で「再建築不可」物件を避けるべきか?リスクと対策を解説」の記事をご参照ください。

買主の心理的ハードルが高い

検査済証がないという事実は、多くの買主にとって心理的な不安要素となります。

一般の買主は、物件の安全性や適法性に対して専門的な知識を持ち合わせているわけではないため、「検査済証がない=何か問題がある」という印象を抱きがちです。

一言メモ

これらの心理的ハードルは、たとえ物件自体に問題がなくても、購入をためらわせる大きな要因となり、売却の機会を逃すことにつながります。

買主側の主なリスクと具体的な影響
買主側の主なリスク 具体的な影響
住宅ローンが組みにくい 金融機関の融資拒否・減額、金利上昇、公的融資の利用制限
再建築不可となる可能性 建て替え不可、大規模リフォームの制限、資産価値の低下
心理的ハードルが高い 購入意欲の低下、売却機会の損失、不信感

売主側が負うリスクと責任

検査済証がない物件の売主は、買主が直面するリスクだけでなく、自身の法的責任や経済的な損失につながる可能性のあるリスクも考慮する必要があります。

契約不適合責任のリスク

売主は、売却した物件が契約の内容に適合しない場合に、買主に対して「契約不適合責任」を負います。

検査済証がないこと自体が直接的な契約不適合となるわけではありませんが、検査済証がないことによって隠れた瑕疵(例えば、建築基準法違反の増改築部分など)が後に発覚した場合、問題となる可能性があります。

一言メモ

売主は、物件の現状(検査済証がないこと、過去の増改築履歴など)を正確に把握し、重要事項説明書に明記するなど、買主に対して適切な情報開示を行うことで、これらのリスクを軽減する必要があります。

不動産投資における契約不適合責任(瑕疵担保責任)について知りたい方は「不動産投資における瑕疵担保責任とは?基礎知識や注意点を解説」の記事をご参照ください。

売却価格が下がる傾向

買主側のリスク(ローンが組みにくい、再建築不可の可能性、心理的ハードルなど)があるため、検査済証がない物件は、市場価値が低下し、売却価格が下がる傾向にあります。

売却期間が長期化する可能性

需要が限定され、買主が慎重になる傾向があるため、検査済証がない物件は、売却活動が長期化する可能性があります。

一言メモ

売却期間が長引くほど、売主は物件の維持費(固定資産税、管理費など)を負担し続けることになり、経済的な負担が増加します。

違法建築物と判断されるリスク

検査済証がない物件の中には、建築時に建築基準法に適合していなかったり、その後の増改築で「違法建築物」となってしまっているケースがあります。

また、売却活動中の不動産会社や買主側の建築士による調査で、違法建築が発覚するリスクがあります。

売主側の主なリスクと具体的な影響
売主側の主なリスク 具体的な影響
契約不適合責任のリスク 損害賠償請求、契約解除、法的トラブルの発生
売却価格が下がる傾向 売却益の減少、希望価格での売却困難
売却期間が長期化する可能性 維持費の継続負担、精神的負担の増加
違法建築物と判断されるリスク 行政指導、是正命令、売却中止、買主とのトラブル

検査済証がない物件の売却を成功させる秘訣

売却の画像

検査済証がない物件の売却は、確かに通常の物件よりもハードルが高いと感じられるかもしれません。しかし、適切な戦略と準備を行うことで、売却を成功させることは十分に可能です。

ここでは、そのための具体的な秘訣をご紹介します。

適正な価格設定と売却戦略

検査済証がない物件は、買主にとって住宅ローンの利用が難しい、将来的な再建築に懸念があるなどのリスクを伴います。そのため、これらのリスクを考慮した適正な価格設定が非常に重要です。

リフォームやリノベーションで魅力を高める

検査済証がない物件は、その適法性や安全性に疑問を持たれがちです。そこで、物件の物理的な魅力を高めることで、買主の心理的なハードルを下げる工夫が有効です。

検査済証の代替となる書類や調査報告書の活用

検査済証がない場合でも、物件の適法性や安全性を証明するための代替となる書類や専門家による調査報告書を積極的に活用することで、買主の不安を大きく軽減し、信頼を得ることができます。

建築確認済証や建築士による建物状況調査(ホームインスペクション)報告書などの書類を事前に準備し、買主に提示することで、情報開示の透明性を高め、物件に対する信頼性を向上させることができます。

一言メモ

これらの秘訣を実践することで、検査済証がない物件であっても、適切な買主を見つけ、円滑な売却を実現できる可能性が高まります。

検査済証がない物件の売却時のリスクと成功の秘訣まとめ

検査済証がない物件でも売却は可能です。しかし、住宅ローン審査の困難さや再建築不可のリスクなど、買主・売主双方に多くの注意点が存在します。これらのリスクは、物件の売却価格や期間に影響を及ぼす可能性があります。

成功の鍵は、まず物件の現状を正確に把握し、信頼できる不動産会社や建築士といった専門家と連携することです。そして、買主に対しては、リスクを丁寧に説明し、誠実な情報開示を行うことが不可欠です。適切な準備と戦略をもって臨むことで、検査済証がない物件でも売却を成功に導くことができるでしょう

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このコラムを書いた人

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アデプトマネジメント編集部

【宅地建物取引業】大阪府知事(2)第59728号
【賃貸住宅管理業】国土交通大臣(1)第002807号

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このコラムを監修した人

高橋(宅建士)
高橋(宅建士)
宅地建物取引士・防災士

大学卒業後、大手マンションディベロッパーに入社。
不動産を活用した資産運用コンサルティングを20年以上経験。

>Aiを活用した物件査定と収益査定が得意分野。
自分自身でも収益マンションを複数件所有。
顧客目線で出口戦略や賃貸管理のご提案させていただきます。