オーナーチェンジ物件とは、マンションなどのオーナー、つまり大家さんだけが変更される物件を指します。そして、オーナーチェンジ物件には、自分で住むことも可能です。自分で住む家をオーナーチェンジ物件にする際、すぐに家賃収入が得られるなどのメリットがある一方、入居者が退去しないと住めないといったようなデメリットもあります。
また、オーナーチェンジ物件を購入する場合、購入後トラブルにならないためのチェックポイントなども存在します。チェックポイントの確認を怠ると、損をするだけでなく裁判沙汰にもなりかねません。
そこで今回は、オーナーチェンジ物件に自分で住む方法やメリット、デメリット、絶対に確認すべきチェックポイントについて紹介していきます。オーナーチェンジ物件の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
オーナーチェンジ物件とは
オーナーチェンジ物件とは、貸しているマンションなどのオーナーのみが変わる物件を指します。
なんらかの理由で入居者のいるマンションなどが売りに出されていて、そのマンションを購入した場合、あなたはオーナーチェンジ物件を購入したということになるのです。オーナーチェンジ物件はマンションだけでなく、アパートや一戸建ての住宅などもオーナーチェンジ物件に該当します。
個人使用の家を購入するわけではないので、一般的な中古住宅の購入とは違う点も多いということは注意しておきましょう。
オーナーチェンジ物件に自分で住むメリット
オーナーチェンジ物件に自分で住むメリットは3つあります。一般的な中古住宅では得られないようなメリットがあり、うまく活用することで安くお得に自分の家を購入することも可能です。
- 最初は家賃収入が得られる
- 将来的に節税特例を利用できる
- 物件価格が安めに設定されている
ここでは、それぞれのメリットについて見ていきましょう。
最初は家賃収入が得られる
オーナーチェンジ物件は、購入した月から家賃収入が得られる点がメリットです。すでに入居者がいるので、初月から収入が確定しています。
通常、中古の戸建を購入した場合は、収入になるお金は発生しません。しかし、オーナーチェンジ物件であれば、入居者が退去するまでの家賃を得られるため、そのお金を自分の引越し費用や物件の購入ローンにあてられます。家の修繕があれば、その費用に回すという方法も可能です。
家賃収入があるので、退去まで自分は安いアパートに住んでおくなどの判断もできますし、家賃収入の利用方法はさまざまです。
将来的に節税特例を利用できる
オーナーチェンジ物件に自分で住むのであれば、購入した家を売却する場合、大きな節税効果が望めます。
具体的な節税特例は、居住用財産に限る「3,000万円控除」です。条件は複数ありますが、その中に「その土地を賃貸していない」という項目があります。つまり、賃貸用の不動産は3,000万円控除を受けられないということです。
このメリットはかなり大きく、例えば、購入したオーナーチェンジ物件を1,000万円で売却した場合、売却益が発生したときにかかる税金は0円になるのです。売却する際はかなりお得になるといえるでしょう。
将来的に物件を売却することを考えているなら、ぜひ「不動産売却は流れを抑えてスムーズに。ステップごとに徹底解説!」の記事もご参照ください。
物件価格が安めに設定されている
オーナーチェンジ物件は、物件価格が安めに設定されているものも多くあります。理由としては賃貸物件としてはおすすめできない立地でも、自分で住む分には問題ない場合が多いからです。
例えば、駅から遠く周りに店がないような立地の物件は、借りる側からすればあまり魅力的ではありません。しかし、自分で住むのであれば物件価格が安ければ、気にならないという人もいるはずです。
このように、賃貸用としては魅力のない物件がオーナーチェンジ物件では安く売りに出されていることがあります。うまく活用すれば、安い価格でマイホームを手に入れられるでしょう。
オーナーチェンジ物件に自分で住むデメリット
メリットの多いオーナーチェンジ物件ですが、当然デメリットも存在します。デメリットは次の5つです。
- すぐには住めない
- 低金利の住宅ローンが利用できない
- 内見ができない
- 立ち退き料が必要になる
- 敷金返還義務も引き継がれる
考え方次第ではデメリットに感じないものもあるので、メリットデメリットの両方を理解しておくようにしましょう。
すぐには住めない
オーナーチェンジ物件には、入居者がすでに暮らしているので、購入後すぐに住むことはできません。入居者が退去して初めて、自分が住めるようになるのです。
入居者がすぐに引越してくれる可能性もありますが、契約内容によっては入居者の退去まで数年かかる場合もあります。また、退去に関して入居者とトラブルになる可能性もあるでしょう。
退去後も家の修繕や引越しなどの期間もあるため、すぐに住みたい方は、オーナーチェンジ物件はおすすめできません。
低金利の住宅ローンが利用できない
オーナーチェンジ物件は賃貸物件となるため、住宅ローンが利用できません。住宅ローンは一般人向けに金利を安く設定されているので、低金利のローンを組めないのはデメリットといえます。
賃貸用の物件購入では不動産投資ローンが適用されます。金利の違いは大きく、住宅ローンの金利相場が0.3%〜0.7%に対し、不動産投資ローンの相場は、1%〜4%にものぼるのです。
購入したオーナーチェンジ物件の返済までに時間がかかればかかるほど、費用は高くなってしまいます。
内見ができない
オーナーチェンジ物件は外装などは確認できますが、入居者が住んでいるために内見ができないという点もデメリットです。
また、マンションやアパートであれば、共有部分などもあらかじめ確認できます。内見ができないということは、家の損傷などを見落とす可能性が高いというリスクが考えられるため、注意が必要です。
後日、大きな損傷が見つかったとしても、売却主が修理してくれる可能性は限りなく低くなります。そのため、オーナーチェンジ物件を購入する際は、ある程度リスクがあることを理解しておきましょう。
立ち退き料が必要になる
購入したオーナーチェンジ物件にすぐに住みたいのであれば、立ち退き料が必要になります。つまり、本来支払う必要のない立ち退き料を支払って、オーナーチェンジ物件に住むことになるのです。
立ち退き料の相場はないものの、強制的に退去をお願いしているので、最低でも引越し費用は全額負担しなければなりません。仮に家族連れだった場合の引越し費用は、30万から40万円ほどです。
引越し費用だけでなく、想定される賃料も含まれる場合があります。そうなった場合、立ち退き料だけで100万以上の費用が発生してしまう可能性があるのです。
敷金返還義務も引き継がれる
オーナーチェンジ物件の前オーナーが敷金を受け取っていた場合、敷金返済義務も新オーナーに引き継がれます。本来受け取っていた敷金は、返済用として受け取るはずですが、割引という形を取っている人もいます。
そのため、退去が決まれば敷金を用意しなければなりません。自分は受け取っていなくても、家を貸している立場であれば返済義務が発生するので注意が必要です。
仮に前オーナーが敷金について何もいわなかった場合、確認しなかったあなたの責任となって、自腹で敷金を支払わなければなりません。トラブルを未然に防ぐためにも、契約内容は詳しく聞いておきましょう。
オーナーチェンジ物件で入居者に退去してもらう方法は?
オーナーチェンジ物件に自分で住む場合、問題となるのは入居者がいつ退去するのかどうかです。せっかくオーナーチェンジ物件を安く購入したのに、いつまでも住み続けられると購入した意味がありません。
できるだけ早く、そしてスムーズに退去してもらいたいと思う方がほとんどではないでしょうか。では、オーナーチェンジ物件で、入居者に退去してもらう方法を2つご紹介します。
自然に退去するのを待つ
もっとも理想的な退去方法が、自然に退去するのを待つ方法です。自然に退去してくれるのであれば、立ち退き料も必要ありません。
貸している側、借りている側どちらにとってもメリットが多い方法ですが、借りている側からすれば、オーナーが変わったからといって退去する理由はありません。
そのため、契約の更新を待ち、契約を更新しないという選択が一般的です。後述しますが、賃貸契約の種類は2種類あるので、その点をきちんと確認して自然退去してもらうようにしましょう。
強制的に退去させる
どうしても退去してくれそうになければ、強制的に退去させるという方法もあります。
しかし、この方法はトラブルになりやすいです。
立ち退き料などが発生するのでお金もかかりますし、現在の法律上、立ち退き料だけ支払えば退去させられるというわけではありません。
説得できれば立ち退き料を支払うことで退去してくれるかもしれませんが、裁判所を利用しなければいけなくなった場合は、正当な理由なども必要になるため、労力もお金も多くかかる退去方法です。止むを得ない場合以外は、自然退去してもらう方法をおすすめします。
オーナーチェンジ物件に自分で住む際のチェックポイント
オーナーチェンジ物件に自分で住みたいのであれば、入居者とのトラブルを回避し、購入して良かったと思える物件を見つけなければなりません。ここでは、お得なオーナーチェンジ物件を見つけるためのチェックポイントについて見ていきましょう。
- 賃貸借契約の種類
- 購入前に売却理由
- 保証人や敷金の問題
オーナーチェンジ物件を買わなければ良かったと後悔しないためにも、チェックポイントをよく確認しておきましょう。
賃貸借契約の種類
オーナーチェンジ物件を購入する場合、どのような賃貸借契約を結んでいるのかを確認する必要があります。賃貸借契約は下記の2種類に分かれます。
- 普通借家契約
- 定期借家契約
普通借家契約は入居者が満足するまで住み続けられる、借主の権利が強い契約です。それに対して、定期借家契約は入居者が契約を更新できないので、退去する期間を事前に把握できます。
オーナーチェンジ物件に自分で住みたい場合は、定期借家契約をしている物件を探すようにしましょう。もし、普通借家契約をしていた場合、何年も退去を待たなければならない可能性が非常に高くなります。
購入前に売却理由
購入前に売却主に、なぜこの物件を売却するのかを聞くことも大切です。もしかすると致命的な売却理由があるかもしれません。
例えば、入居者とトラブルになっていたり、見えない場所が大きく破損しており修繕に莫大な費用がかかる場合などです。このような場合、購入すべきではありません。
そのため、売却理由をきちんと聞くことが大切です。しかし、不利益になる情報を素直に伝える人は少ない傾向にあります。
売却理由に少しでも不審な点があれば、即決せずにしっかりとリスクを考えた上で購入するか決めましょう。
「失敗したと思う人が多い、マンション売却。なぜ起きる。」の記事で、マンションを売却する人の理由や失敗例を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
保証人や敷金の問題
入居者の保証人や敷金の有無についてもしっかりとチェックしておく必要があります。もし、入居者が家賃を滞納した場合、保証人に請求しなければなりません。
また、デメリットでもお伝えしたとおり、敷金返還義務はオーナーが変わっても引き継がれます。前オーナーに敷金を預かっているかどうかを確認して、仮に預かっているなら敷金という形で渡してもらうようにしましょう。
これらのチェックを怠ると、家賃を滞納され回収できずに退去されたり、自腹で敷金を支払う事態になってしまうのです。
まとめ
オーナーチェンジ物件に自分で住むことは可能ですし、購入してすぐに家賃が発生するなど、オーナーチェンジ物件を選ぶメリットもあります。しかし、購入にあたって内見ができなかったり、低金利の住宅ローンが利用できないなどのデメリットもあるので注意が必要です。
オーナーチェンジ物件を購入する際は、賃貸借契約の種類、購入前に売却理由、保証人や敷金の問題などを確認して、どんな入居者が住んでいるのか、物件の修繕歴はどうなのかなど、できるだけ細かく聞くようにしましょう。
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