オーナーチェンジ物件にはどんな危険が潜んでいる?

オーナーチェンジ物件にはどんな危険が潜んでいる?

オーナーチェンジ物件は、すでに住民が住んでいる賃貸物件を売買で手に入れた場合に、新しく入居者を募集しなくても良いため、売買契約が成立した月から収入を見込めるというメリットがあります。しかし、オーナーチェンジ物件には危険も潜んでいるのです。

この記事では、オーナーチェンジ物件が危険とされる理由や危険を回避する方法などを解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

オーナーチェンジ物件とは

オーナーチェンジ物件とは、入居者がすでにいる賃貸物件を売買する不動産売買方法で、物件だけでなく入居者との賃貸契約も譲り受けることができるのです。つまり、外から見るとオーナーが変わるだけの売買契約といえます。

空き家が多くなっている日本の現状で考えると、入居者を募らなくて良いオーナーチェンジ契約はもちろんメリットも多くありますが、不利益を被る事例も少なくありません。失敗しない不動産投資になるように、事前にしっかりと注意するポイントをチェックしましょう。

前オーナーから引き継がれる3つの権利

オーナーチェンジをすることで、建物の所有権以外にも下記の3つの権利が引き継がれます。

  • 入居者に賃貸料を支払ってもらう権利(貸借権)
  • 契約終了時の建物を返還してもらう権利(期間満了等による使用貸借の終了)
  • 契約終了時に入居者に原状回復してもらう権利(貸借人の原状回復義務)

上記3つの民法で定められた賃貸契約自体が現オーナーに引き継がれますので、これらの契約は入居者と一から契約を結び直す必要がありません

前オーナーから引き継がれる3つの義務

権利が引き継がれる一方で、旧オーナーが入居者と結んだ賃貸契約はそのまま現オーナーが義務を負う責任があります。

  • 建物を利用させる義務(貸借権)
  • 修繕の義務(建物の老朽化などで入居者の生活に支障がある場合の修繕)
  • 退去時に敷金や保証金を返還する義務(賃借人に対して担保として支払った金銭の返還)

これらの契約は、オーナーが変わったからといって解約・変更ができるものではないので、注意してください。

オーナーチェンジ物件が危険とされる理由

物件を手に入れてすぐ賃貸料が入ってくるオーナーチェンジ物件は、賃貸不動産投資初心者の方には大きなメリットがあります。しかし一方で、さまざまな懸念すべき事項があるのも現実です。

投資目的で購入したのに、実際オーナーになったらトラブルに巻き込まれて、結局利益は出せなかったということも十分に考えられます。ここでは、オーナーチェンジ物件で起こりうるトラブルについて見ていきましょう。

  • 入居者がサクラ
  • 修繕工事が必要
  • 退去後に家賃収入が減少
  • オーナーに不利な契約条件
  • 家賃滞納が回収不可

順番に解説していきます。

入居者がサクラ

オーナーチェンジ物件の最大のメリットは、入居者がすでにいて賃貸料がすぐに入ってくるという点です。入居者がすでにいれば、新たに入居者を募集するコストがかからないため、不動産購入の安心材料となります。

しかし、中にはサクラを使って入居者を装って売りに出す場合があるのです。その場合、売買契約が成立した途端に退去されてしまい、賃貸料がすぐに入ってくるというメリットが意味をなさなくなるでしょう。

こうしたリスクを防ぐためには、入居者の賃貸契約や賃貸料の入金履歴などを詳しく調べておく必要があります。

修繕工事が必要

外観は非常に綺麗に見えても、建物内部がどのような状態になっているのかを把握するのは専門家でなくては難しいです。綺麗に見えても、実際は大規模な修繕工事が必要という物件も珍しくありません。

排管の交換、外壁や屋根の塗装、耐震工事など、建物に必要な工事はさまざまです。大規模な修繕を行うのを避けるために手放したいというケースもあるので、可能であれば、今までの修繕の記録などをチェックしておくと良いでしょう。

退去後に家賃収入が激減

入居者の家賃収入が入ってくることを前提にオーナーチェンジ物件を購入したにも関わらず、現在の入居者が退去した後になかなか新たな入居者が見つからないという場合もあります。

一流メーカーの生産工場が近所にあり、その会社の社員が多く入居していたものの、工場の閉鎖とともに退去されてしまったという例もありました。工場の閉鎖後は当然募集をかけてもなかなか入居者が集まらず、家賃収入は激減したようです。

オーナーチェンジ物件に限った話ではありませんが、不動産投資を行う際は、物件の周囲の事情も把握しておくようにしましょう。

オーナーに不利な契約条件

最近では敷金礼金ゼロという物件も多く見られますが、こういった契約の場合は、退去時の修繕費用などをオーナーが負担しなければいけません。退去時のクリーニング費用ゼロといった条件でも同様です。

先ほども解説した通り、オーナーチェンジをしたという理由で契約内容の破棄や変更をすることはできないため、各入居者の賃貸契約書を事前に調べておくようにしましょう。

家賃滞納が回収不可

オーナーチェンジ物件では、次の契約更新まで新たな賃貸借契約を結べないので、前オーナーとの契約が引き継がれます。そのため、家賃を滞納している入居者がいる場合は注意しなければいけないことがあります。

例えば、賃貸借契約に記載されている連帯保証人がすでに亡くなっているなど、連帯保証人に保証能力がないと、家賃滞納分を回収するのは難しいでしょう。

また、近年では保証会社が保証人の代わりをすることも多くなっていますが、保証会社が連帯保証人になっていると、オーナーが代わった場合に保証契約を引き継いでもらえない可能性があります。家賃滞納のリスクが高くなってしまうため、購入時に連帯保証人に連絡をする、保証会社にオーナーが変更した場合の対処を聞くなど、対策をしておきましょう。

マンション・不動産投資に関するリスクに関しては、「マンション投資・不動産投資のリスクとは?失敗理由やメリットについて」の記事でも紹介しておりますので、参考にしてみてください。

オーナーチェンジ物件の危険を回避する方法

さまざまなオーナーチェンジ物件のリスクについて解説しましたが、それらのリスクはどのように回避すれば良いのでしょうか。ここでは、オーナーチェンジ物件の危険を回避する方法を5つ紹介していきます。

  • 契約内容を事前にチェックしておく
  • 現地調査で問題がないかを確認する
  • 大規模な修繕が必要かを調べる
  • 物件が売却されている理由を調査する
  • レントロールに不自然な点がないか見ておく

それぞれの方法を見ていきましょう。

契約内容を事前にチェックしておく

不動産売買契約に関するトラブルを未然に防ぐ方法の1つとして、賃貸借契約書の確認をすると前述しましたが、特に注視すべき情報としては、下記の3つが挙げられます。

  • 入居者情報

サクラではないか、家賃の支払いは滞ってないか、騒音など周囲に迷惑をかけていないかなど

  • 各種費用負担

敷金はどれくらい担保されているのか、退去後のクリーニングの費用はどちらが出すのかなど

  • 更新料

更新料金はいくらなのか、更新後の家賃の変更が可能なのかなど

こうした契約は、前オーナーが把握していなかったり、忘れていたりする可能性もあるので、自分の目で確認する必要があるでしょう。また、前オーナーが売却時に不利になると思って意図的に話さない場合もあるため、必ず自分でチェックしてください。

現地調査で問題がないかを確認する

オーナーチェンジ物件ではすでに入居者がいるので、内見できない可能性が高いです。部屋の内部について知りたい人は、内部の様子を写真などで見せてもらうなどの対応をしてもらいましょう。

また、建物を実際に見に行くときは日中であることがほとんどですが、夜間の周囲の環境など、時間や天気でも印象は変わります。夜や天気が悪い日などにも様子を見に行けると良いでしょう。

また、共用スペース、駐輪場、ゴミ捨て場を見れば、管理状況や入居者の質を判断しやすいです。建物だけでなく周辺環境も見ておくようにしてください。

大規模な修繕が必要か確認しておく

ほとんどの賃貸物件では、修繕費用は大家であるオーナーが負担します。外壁の塗り替えや修繕、エレベーターの点検、設備の交換など、マンションやアパートの修繕箇所はかなり多いです。上下水道や電気などの共有部分も、大家であるオーナー負担になるでしょう。

こういった修繕が、近いうちに必要なのかどうかを事前に確認しておく必要があります。不動産投資をしっかりと行っている人は、基本的に修繕履歴を残しているため、確認しておきましょう。前オーナーが修繕履歴を残していない場合は、雑に管理している証拠になるので、購入するのは避けたほうが良いです。

物件が売却される理由を調査する

「家賃収入があるのにも関わらず、なぜ物件を手放そうと考えているのか」という売却理由を知ることで、その物件の問題点やデメリットが把握できる可能性もあります。病気にかかってしまった、遠方に引越しが決まったなどの理由で管理が難しくなったのであれば、心配はいらないでしょう。

しかし、トラブルを度々起こしている入居者がいる、収益性が低いなど、入居者や物件に問題点がある場合はリスクが高いので注意が必要です。

レントロールに不自然な点がないか見ておく

物件の収益力を一覧で表した資料をレントロールといいます。物件購入の際の大きな指標となるので、事前に確認しておくようにしましょう。

空室がどれだけの期間続いているのか、共用部分の水道光熱費などの管理費がどれだけかかっているのかなど、一見しただけで投資対象になるかどうか目算が立つでしょう。

その中で不自然な点や疑問に思った点は、確認しておくようにしてください。そこから問題点が見つかる可能性もあります。問題の改善にどのくらいのコストがかかるのかなども考えながら、判断してみると良いです。

オーナーチェンジ物件に関するよくある質問

最後に、オーナーチェンジ物件に関するよくある質問を見ていきましょう。

  • オーナーチェンジ物件は自分で住める?
  • 入居者を退去させることはできる?

それぞれ解説していきます。

オーナーチェンジ物件は自分で住める?

オーナーチェンジ物件は、自分で住むことも可能です。むしろ自分で住めば、最初は家賃収入が入る、将来的に節税が期待できるなどのメリットがあります。また、オーナーチェンジ物件は物件価格が安めに設定されているのも魅力といえるでしょう。

しかし、入居者が入っていてなかなか退去をしてくれない場合は、立ち退きをお願いしないといけないかもしれないなどのリスクもあります。

オーナーチェンジ物件に自分で住みたい方は、「オーナーチェンジ物件に自分で住む方法とは!メリットデメリットも紹介」の記事も参考にしてみてください。

入居者を退去させることはできる?

手に入れたオーナーチェンジ物件に住みたい、入居者に問題があるなどの理由で、入居者を退去させたいと思う人もいるでしょう。自然に退去するまで待つのも良いですが、契約内容次第では入居者の退去まで数年かかる可能性も考えられます。

どうしても早く退去をしてほしい場合は、立ち退き料などを支払って強制的に退去させることも可能です。しかし、強制退去はトラブルにもつながりやすいため、あまりおすすめはできません。立ち退き料は数十万円単位になることからも、自然に退去をしてくれたほうがリスクは少ないです。

まとめ

オーナーチェンジ物件にはさまざまなメリットがありますが、失敗するとリスクもある不動産売買方法です。オーナーチェンジ物件が危険とされる理由としては、入居者がサクラの可能性がある、退去後に家賃収入が減少するリスクがあるなどが挙げられます。

そういったリスクを回避するためには、契約内容やレントロールの確認をすることなどが重要です。しかし、不動産投資に関する知識があまりなくて、確認すべき事項がいまいち分からないという人もいるのではないでしょうか。

オーナーチェンジ物件のリスクが不安という方は、ぜひアデプトマネジメントにご相談ください。アデプトマネジメントは、不動産の買取・仲介だけでなく、コンサルタントも行っております。オーナーチェンジ物件の購入をお考えの方は、ぜひお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

このコラムを書いた人

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アデプトマネジメント編集部

【宅地建物取引業】大阪府知事(2)第59728号
【賃貸住宅管理業】国土交通大臣(1)第002807号

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