(2019.3.20 NEWSポスト記事 抜粋)
シェアハウス「かぼちゃの馬車」を巡るスルガ銀行の不正融資や、レオパレスの施工不良アパート問題など、昨年から相次いで投資用不動産業界を揺るがす不正が明るみになったことで、すでに物件オーナーになっている多くの個人投資家が危機的状況に陥っている。だが、「“一部の人たち”には千載一遇のチャンスが巡ってきた」と話すのは、不動産ジャーナリストの榊淳司氏だ。
2018年にはかぼちゃの馬車&スルガ銀行の事件、そして2019年に入って、レオパレスの問題がかまびすしい。このどちらもが個人レベルの不動産投資にまつわる問題である。
実のところ、2017年頃から金融庁が銀行に対して「個人の不動産投資に対する融資は、しっかりと審査しろ」というプレッシャーをかけていた。つまりは「デタラメに貸すな」ということである。
(中略)
その結果どうなったのか? 個人の不動産投資に対する銀行融資は極端に審査が厳しくなり、メガバンクからはほぼ融資を引き出せない状態になっている。スルガ銀行にならって積極的に不動産担保融資を行っていた一部の地方銀行や信用金庫も、警戒色を露わにするようになっている。つまり、金融庁などの監督官庁に突っ込まれても、きちんと説明できる融資しか行わなくなっているのだ。
この「金融引き締め」効果は、2018年の後半から市場に及んできた。簡単に言うと、個人の不動産投資の対象となる「利回りもの」と呼ばれる一棟マンションやアパート、小規模ビルなどの価格が下がり始めたのだ。
個人で不動産投資を行っている人々は、価格が下落した(利回りが上昇した)そういう物件を買いたいのだが、融資が下りないので買えない状況に追い込まれている。逆に、手持ち物件を売却しようとしても売れなくなっているのだ。
こういった個人投資家向けの物件情報が、全国紙の広告で目立つようになってきた。普段は不動産投資を考えない人々から買い手を募ろうという動きである。東京や大阪の都心エリアなら、郵便ポストにそういった投資向け物件の広告チラシが盛んに投函されるようになっている。
(中略)
そもそも、ここ6年ほどで都心を中心とした一部エリアで日本の不動産価格が異様に高騰したのは「住む」、「使う」という需要が高まったからではない。金利がゼロ近くに下がり、マネーサプライが異次元に高まったからである。
つまり、実需に拠らざる価格高騰。言ってみればバブルである。そのいびつな価格高騰が、かぼちゃの馬車やレオパレスの事件となって表層化してきたのだ。今後もこの手のバブルの仇花のような事件は頻発する可能性がある。
そう考えると、下落が始まった利回りものはさらに価格が下がる可能性が高い。売り急ぐ投資家からは時に投げ売りも出てくるだろう。
(中略)
今までせいぜい5%程度の利回りしか望めなかった物件が、この数年以内に10%か、さらにそれを上回るレベルにまで価格が下がる可能性がある。ライセンサーと現金保有者には、まさに千載一遇の不動産投資チャンスが巡ってくると言っても過言ではない。
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つまり簡潔にまとめると、
【融資を受けにくい ⇒ 購入されにくいので売主は値段を下げる ⇒ 現金保有者など一部の投資家は買いのチャンス】
といったところでしょうか。
現在、不動産投資について様々な問題が取り沙汰される中、新たに投資用不動産の購入を考えておられる方は、以前に増して慎重になっていると思います。
逆に、すでにマンション経営をされているオーナー様にとっては、投資家の買い手市場になると売却価格を下げざるを得ないという悪循環にはいってしまう恐れがあります。
今後の展望について、すべて記事を鵜呑みにはできませんが、出口戦略についてしっかり考え、備えておく必要があります。
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