不動産投資は、資産形成の一つとして注目を集めています。しかし、副業禁止の会社に勤めている方は、不動産投資が副業とされるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
不動産投資は、資産運用の一環として捉えられるため、副業とされない場合が多いです。しかし、職業や運用方法によって例外があります。
本記事では、不動産投資が会社で副業にならない理由と始める方法を解説します。
不動産投資は副業?
不動産投資は、一般的に資産運用の一環とみなされることが多く、副業扱いにしていない企業が多いです。
そのため、副業禁止の会社であっても不動産投資は許されるケースがほとんどでしょう。さらに近年では、副業を解禁する企業が増えてきており、不動産投資を隠さずオープンに行える環境が整ってきています。
企業や職種によってルールは異なるため、不動産投資を行う場合は、事前に就業規則を確認しましょう。
不動産投資が副業にならない理由
不動産投資が副業にならない理由は、下記の通りです。
- 相続などやむを得ない事情もあるため
- 資産運用とみなされるため
- 情報漏洩のリスクが低いため
- 本業に支障がでにくいため
順番に解説していきましょう。
相続などやむを得ない事情もあるため
不動産投資が副業にならない理由の一つに、親族からの相続や譲渡などのやむを得ない事情があります。これらのケースでは、自分の意思で不動産投資を始めたわけではないため、会社から副業とみなされにくいです。
例えば、親族が所有していた不動産を相続した場合、その不動産の管理や運用は副業というよりも、資産の維持・管理の一環とみなされることがほとんどです。
相続であっても不動産の運用を副業とみなす会社もあるかもしれません。トラブルを避けるためにも、事前に会社の就業規則を確認したり、上司に相談したりしておくことがおすすめです。
資産運用とみなされるため
不動産投資は、株式投資と同様に、資産運用の一つとして捉えられています。資産運用は、個人の財産形成に関わる活動であり、会社の業務とは直接関連しないため、副業とはみなされにくいです。
不動産投資を行う際は、投資物件の管理や運営に時間や労力を使いすぎて、本業に支障をきたさないように注意しましょう。
情報漏洩のリスクが低いため
不動産投資は、情報漏洩のリスクが低いため、副業にならないことが多いです。副業を禁止している企業のなかには、情報漏洩のリスクを懸念し、一律で副業を禁止しているケースがあります。特に、機密情報を多く扱う業種や職種では、副業に対して厳しい制限を設けている場合があります。
しかし、不動産投資は、企業の機密情報や顧客情報を扱うことがほとんどないため、副業にならないケースが多いです。
本業に支障がでにくいため
不動産投資は本業への影響が少ないため、副業と見なされないことが多いです。企業が副業を禁止する理由の一つに、副業に時間や労力を使いすぎることで本業に支障が出ることへの懸念が挙げられます。
例えば、本業終了後にアルバイトをしたり、深夜まで副業に時間を費やしたりすると、本業に集中できなくなる恐れがあります。疲労が蓄積することで、業務の質の低下やミスの増加にもつながりかねません。
一方、不動産投資は、基本的に不労所得に分類される投資活動です。
物件の選定や購入手続きには一定の時間を要しますが、その後の運用は管理会社に任せられるため、大きな時間的制約はありません。
不動産投資が禁止になるケース
不動産投資が禁止になるケースとしては、下記が挙げられます。
- 銀行や証券会社で働いている場合
- 公務員の場合
- 事業規模の不動産投資をしている場合
銀行や証券会社で働いている場合
銀行や証券会社で働いている場合、職務上の理由から不動産投資を含む投資活動全般に制限が設けられていることがあります。
例えば、銀行や証券会社の社員は、業務で未公開の重要情報(インサイダー情報)に触れる機会が多くあります。そのため、株式投資やFXなどの金融商品の取引については、原則として禁止されていたり、事前の届け出が必要だったりする場合が多いです。
不動産投資まで禁止されるかどうかは企業によって異なりますが、なかには投資活動全般を禁止しているケースもあるようです。
銀行や証券会社に勤務している方は、会社の就業規則を確認し、不動産投資が認められているのかどうかを確認する必要があります。
公務員の場合
公務員は、国家公務員法や地方公務員法により、原則として副業が禁止されています。しかし、人事院規則によると、一定の規模に達していない不動産投資は、副業に該当せず、公務員でも実施できる可能性があります。
一定の規模とは、下記の通りです。
- 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること
- 貸与することができる独立的に区画された数が10室以上であること
- 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること
- 駐車台数が10台以上であること
- 不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額が年額500万円以上である場合
不動産賃貸の管理業務に自分が携わってしまうと「職務の遂行に支障あり」とみなされてしまう可能性があるため、不動産管理業者への委託などが必要です。
事業規模の不動産投資をしている場合
不動産投資は、一般的に副業とされないことが多いですが、事業規模で行っている場合は注意が必要です。
大規模な不動産投資を展開した場合は、「事業扱い」とみなされる可能性があります。不動産投資であっても、事業規模で行っていると、会社から「本業」とみなされ、問題になるかもしれません。
具体的には、「5棟10室」以上の不動産を運用している場合がボーダーラインとなります。「5棟10室」というのは、確定申告の際に、不動産投資が副業収入なのか事業収入なのかを判断するための線引きとされています。
そのため、5棟10室以上の不動産投資をしている場合は、会社から事業規模で行っているとみなされ、認められない可能性があるでしょう。
副業で不動産投資を始める方法
- 不動産投資に関する勉強をする
- 投資金額と目的を明確しておく
- 投資物件をみつける
- ローンの申請・審査を行う
- 物件の購入
- 管理会社を選定する
- 運用を開始する
不動産投資で成功する人の特徴については、「不動産投資に成功する人、失敗する人の特徴は?成功する為のステップとは」の記事でも紹介していますので、本記事とあわせてご覧ください。
1.不動産投資に関する勉強をする
不動産投資を始めるためには、収益を生み出すための仕組みや必要な知識を学ぶ必要があります。
具体的には、下記のような内容を学びます。
- 不動産投資の基本概念(収益構造・リスクなど)
- 不動産市場の動向(価格の推移・予想など)
- 物件選定の基準(立地条件の評価方法・入居者ニーズの把握方法など)
- 収支計画の立て方(経費の見積もり方法・キャッシュフロー計算の方法など)
- 不動産関連の法律知識(不動産登記に関する法律・賃貸借契約に関する法律など)
- 不動産関連の税金知識(所得税の計算方法・固定資産税など)
これらの内容を体系的に学ぶことで、不動産投資に必要な知識を身につけられます。
不動産投資は経済環境や法制度の変化に左右されるため、常に最新の情報を入手し、学び続ける姿勢が重要です。
2.投資金額と目的を明確しておく
不動産投資を始める際は、自分の資金状況を把握し、無理のない範囲で投資金額を決めることが重要です。
自己資金から投資に回せる金額を算出し、ローンを組む場合はその返済額も考慮に入れましょう。また、不動産投資の目的を明確にすることも大切です。目的によって、投資戦略や物件選びの方針が変わってきます。
主な不動産投資の目的としては、下記が挙げられます。
- 収入の増加
賃貸収入により、安定的な収入を得ることを目的とする投資 - 相続税対策
不動産を所有することで、相続税の負担軽減を目的とする投資 - 老後のための資産形成
老後の生活資金の確保を目的とする長期的な投資
投資金額と目的が決まれば、それに基づいて具体的な投資計画を練りましょう。
3.投資物件をみつける
投資物件をみつけるためには、まずは不動産会社に相談するのが一般的です。不動産会社は、投資向けの物件情報を豊富に保有しているため、効率的に物件を探せます。
ただし、不動産会社にも得意分野や不得意分野があります。例えば、新築物件を探している場合と中古物件を探している場合では、相談する不動産会社が変わってくるでしょう。
また、1棟まるごと購入したいのか、一区分(1室)だけ購入したいのかによっても、不動産会社選びは異なります。不動産会社から良さそうな物件を紹介してもらったら、現地で実際に物件を見てみましょう。物件の写真や間取り図だけでは分からない点も多いため、自分の目で確かめることが大切です。
不動産投資で収益を上げるためには、時間を惜しまず、物件選びに手間をかけましょう。
4.ローンの申請・審査を行う
物件の購入資金が足りない場合は、金融機関からローンを借りることになります。
ローンの金額を決める際は、無理のない返済計画を立てることが重要です。物件の収支計画を立てる際に、ローンの返済額も考慮に入れ、キャッシュフローがプラスになるかどうかを確認しましょう。
また、想定よりも金利が上昇した場合や想定よりも空室が増えた場合でも、返済が滞らないかどうかをシミュレーションしておくと安心です。
5.物件の購入
ローンの審査が通り、物件購入に必要な資金を借りられたら、いよいよ物件の購入に進みます。不動産投資が初めての場合は、書類の準備や段取りに不安を感じる方もいるかもしれません。
しかし、不動産会社と密に連絡を取り合い準備を進めれば、スムーズに購入手続きを進められるでしょう。
6.管理会社を選定する
副業で不動産投資を始める場合、物件の管理は管理会社に任せるのが賢明です。物件購入後は、入居者の募集や家賃の回収、トラブル対応など、さまざまな業務が発生します。
特に、副業で不動産投資を行う場合、本業との両立を考えると、物件の管理に多くの時間を使うことは難しいでしょう。そのため、信頼できる管理会社を選定し、物件の管理を任せることが重要です。
管理会社に依頼できる主な業務としては、下記が挙げられます。
- 入居者の募集・審査
- 家賃の回収
- 入居者からの問い合わせ対応
- 建物の維持・管理
- 清掃や設備の点検 ・トラブル対応
これらの業務を管理会社に任せることで、物件オーナーは煩わしい作業から解放され、不動産投資に集中できます。
管理会社の選び方については、「不動産投資で失敗しない管理会社の選び方とは|管理項目から詳しく解説」の記事でも紹介していますので、本記事とあわせてご覧ください。
7.運用を開始する
物件の購入が完了し、管理会社の選定も終われば、いよいよ運用を開始します。運用開始の流れは、物件に入居者がいるかどうかで異なります。
入居者がいる場合
入居者がすでにいる場合は、特別な作業はなく運用開始できます。管理会社と連携しながら、家賃の回収やトラブル対応など、物件の管理を行っていきましょう。
入居者がいない場合(空室)
物件が空室の場合は、入居者の募集から始めます。入居者の募集は、管理会社に依頼することが一般的です。管理会社は、不動産ポータルサイトへの掲載や看板の設置など、効果的な募集活動を行ってくれるでしょう。
入居が決まれば、管理会社が賃貸借契約の締結や鍵の引渡しなど、入居に関する一連の手続きを行い不動産運用がスタートします。
副業で不動産投資を行う際のポイント
副業で不動産投資を行うポイントは、下記の通りです。
- 勤務先に事前確認する
- 所得が年間で20万円を超える場合には確定申告が必要
- 住民税を普通徴収に変更しておく
勤務先に事前確認する
不動産投資を副業として始める前に、勤務先の就業規則を確認しておくと安心です。
多くの企業では、不動産投資は副業とみなされないため、副業禁止の会社でも問題なく行えるケースが多いです。しかし、なかには不動産投資を副業とみなす企業があります。
トラブルを未然に防ぐためにも、事前に勤務先の就業規則をチェックし、不動産投資を行っても大丈夫かどうか確認しておきましょう。
所得が年間で20万円を超える場合には確定申告が必要
不動産投資による所得が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。
確定申告を行う際は、不動産所得の金額を正確に計算し、必要書類を揃えて期日までに申告しましょう。
はじめての方にとって、確定申告の手続きは複雑でハードルが高く感じるかもしれません。分からないことがあれば、税理士などの専門家に相談し、確定申告書の作成や納税方法についてサポートしてもらうことがおすすめです。
確定申告のやり方については、「不動産投資の確定申告のやり方は?必要書類や手続きの流れを紹介」の記事でも紹介していますので、本記事とあわせてご覧ください。
住民税を普通徴収に変更しておく
不動産投資による収入を会社に知られたくない場合は、住民税の徴収方法を給与天引きの「特別徴収」から自分で納税する「普通徴収」に変更しておきましょう。
特別徴収の場合、会社の経理担当者などに不動産投資による収入の存在や金額を知られてしまう可能性があります。
一方、普通徴収に変更すれば、納税通知書が自宅に送られるため、会社に不動産投資に関する収入を知られることはありません。
普通徴収に変更すると、住民税を自分で納める必要があるため、納付忘れに注意が必要です。
不動産投資と副業に関するまとめ
本記事では、不動産投資が会社で副業にならない理由と始める方法を解説しました。
不動産投資は、相続などのやむを得ない事情や資産運用とみなされることなどを理由に副業とみなされないことが多いです。ただし、銀行や証券会社の社員や公務員、事業規模で行う場合は注意が必要です。
副業で不動産投資を始めるには、勉強、投資金額と目的の明確化、物件選びなど大きく7つのステップがあります。本記事を参考に、不動産投資を成功させられるように計画的に準備を進めましょう。
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