マンション経営を行う際に、サブリース契約を検討する方もいますよね。サブリース契約は、空室・滞納リスクを軽減できるなどのさまざまなメリットがあることで人気がありますが、一方で失敗をしてしまう人も少なくありません。
この記事では、サブリース契約で失敗したくない、どんな失敗をすることがあるのか知っておきたいという人のために、サブリース形式のマンション経営での失敗例を解説していきます。サブリース契約を結ぶ前に確認すべき点なども紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
サブリースってそもそも何?
サブリースとは、持っている賃貸物件を不動産会社やサブリース会社に預ける契約のことです。賃貸物件をサブリース会社が預かり、転貸しという形でサブリース会社が入居者を募集して管理・運営を行い、オーナーに家賃を支払います。
入居者の募集や賃料回収などの手間がなくなるなど、オーナーにとってはさまざまなメリットがあるため、一見すると魅力的な契約に感じられます。
サブリース会社の運営状況や入居者の質などによっては、リスクも存在するため、オーナーは十分な調査を行い、リスクマネジメントを行うことが必要です。
サブリース形式のマンション経営での失敗例
サブリース形式のマンション経営では、失敗をしたりトラブルが起きたりリスクも少なくありません。ここでは、少しでもトラブルが起こるリスクを軽減するために、どのような失敗例があるのかを詳しく見ていきましょう。
- 賃料の見直しで思っていたよりも収益が減った
- 入居者の質が落ちてトラブルが増えた
- 売却をしたくてもなかなかできなかった
- サブリース契約が中途解約された
- サブリース会社が倒産してしまった
自分でマンション経営をする際に失敗しないように、参考にしてみてください。
①賃料の見直しで思っていたよりも収益が減った
サブリース契約では、賃料の保証がされているため、もし空室があったとしても、オーナーが損をすることは基本的にありません。しかし、この保証されている賃料は、2~3年ごとに見直しをされる場合が多いです。
特に、人気のないエリアにある物件などは、保証をすることでサブリース会社が損をし続けてしまうため、保証金額の値下げなどが検討されます。収支がどのくらいのバランスになるかを計算して、しっかりと検討してから契約をしたという方でも、見直しの際に思っていたよりも賃料が下がってしまったなどの理由で、想定よりも収益が減る可能性があるのです。
収支のバランスを考える際には、賃料の見直しはどのくらいの間隔で行われるのか、どのくらい変化がありそうかなども考えておくようにしましょう。
②入居者の質が落ちてトラブルが増えた
サブリース契約を結んでいる場合、オーナーは直接的な貸主ではないので、入居者を自分で選ぶことができません。そのため、場合によってはサブリース会社があまり質の良くない入居者を受け入れてしまう可能性もあるのです。
一般的には、入居者の質が落ちるのはサブリース会社側からしても良くないのですが、あまり良くないサブリース会社だと、空室が埋まらないなどの問題で受け入れてしまう場合があります。入居者の質が落ちると、家賃滞納や部屋の荒らし、近隣トラブルなどが起こるリスクが高くなるので注意が必要です。
サブリース契約をする際には、きちんと入居者の選定も行ってくれるサブリース会社を選ぶようにしましょう。契約前にどの様に入居者募集するのか、どういう判断基準なのかを確認しましょう。
③売却をしたくてもなかなかできなかった
サブリース契約を結んでいる物件を売却する際は、基本的に売却する相手にもサブリース契約に同意してもらう形になります。これは、サブリース会社との契約で、オーナーチェンジをする際はサブリース契約をそのまま継続するように定められているところが多いからです。
そのため、サブリース契約を結ぶ気がない、サブリース契約を結んでも良いが条件が合わないという人には売ることができません。通常の売却よりも売れにくくなるのは目に見えて分かるでしょう。
サブリース契約をする際には、解約条件をしっかりと確認しましょう。簡単に解約できない契約書になっている場合は再考する必要があります。
④サブリース契約が中途解約された
サブリース契約を結んでいる場合、サブリース会社が借主となるため、借地借家法によって守られています。そのため、オーナーが解約をしたいと思っても、正当な理由がないと成立することはありません。
一方で、サブリース会社からの解約・契約更新の拒否をするのは難しくないのです。サブリース会社から中途解約されるリスクも頭に入れておいたほうが良いでしょう。
⑤サブリース会社が倒産してしまった
サブリース会社が倒産すると、賃料の保証がなくなるだけでなく、入居者からの家賃も入らなくなるため、収益が得られなくなります。再び収益を得られるようにするためには、サブリース会社の賃貸管理を外して、入居者から自分に家賃が入るようにしなければいけません。
しかし、サブリース会社が応じてくれないのであれば、弁護士や別の不動産会社に相談する必要が出てくるでしょう。
こういった事態を避けるためには、倒産した場合にどのように対処してくれるのかといった内容を契約書で明確化しておくと良いです。また、自分でサブリース会社を選ぶ際にも、運営はうまくいっているのか、本当に信頼できるのかなどをしっかりと確認しておくようにしてください。
マンションのサブリース契約によって実際に起こったトラブルについて知りたい方は下記の記事をご参照ください。
マンション経営でサブリース契約を結ぶ前に確認すべき点
これまでに解説した通り、サブリース契約はさまざまなメリットがある一方で、失敗するリスクも少なくありません。失敗のリスクを避けるためには、契約書をしっかりと確認しておく必要があります。
では、マンション経営でサブリース契約を結ぶ際には、どのような点に注目すべきなのでしょうか。ここでは、マンション経営でサブリース契約を結ぶ前に確認すべき点を詳しく解説していきます。
- サブリース契約である必要があるか
- 適切な保証料になっているか
- 賃料の見直しはどのくらいの間隔で行われるのか
- 空室になったときの免責期間はどのくらいか
- 途中解約に必要な条件は何か
- 収支のシミュレーションはできているか
- 出口戦略は考えているか
- 契約するサブリース会社は信頼できるか
順番に見ていきましょう!
①サブリース契約である必要があるか
サブリース契約が必要かどうかは、物件や経営者の状況によって異なります。例えば、物件の場所や条件が魅力的で入居率が高い場合や、経営者が自ら管理を行っても収益を確保できる場合は、サブリース契約を結ぶ必要はあまりないでしょう。
例えば、条件の良い物件であれば、誰かが退去してもすぐに入居者が見つかって、空室期間も賃料を保証してもらえるというメリットがあまり大きくありません。このように、サブリース契約によって得られるメリットが少ない場合は、サブリース契約以外の方法も検討してみてください。
オーナーは、物件や自身の状況を分析し、サブリース契約が本当に必要かどうかを慎重に検討することが重要です。
②適切な保証料になっているか
サブリース契約では、入居者からの賃料の代わりに、サブリース会社から支払われる保証料が主な収入源となります。しかし、サブリース会社が収益が得られないのであれば、そもそもサブリース契約という制度は用意しません。
サブリース会社は、賃料に対して8割から9割程度の額をオーナーへの保証料とすることで、残りの金額を収益としているのです。しかし、中にはこの割合よりも低い保証料を提案される場合もあります。
契約を結ぶ際には、保証料が適切かどうかを確認しておきましょう。周囲の同じような条件のマンションはどのくらいの家賃なのかを調べて、保証料が大幅に低い場合は理由を尋ねてみてください。理由に納得できないようであれば、他のサブリース会社の利用を検討したほうが良いでしょう。
③賃料の見直しはどのくらいの間隔で行われるのか
失敗例でも解説したように、サブリース会社から保証されている賃料は、2~3年で見直しをされることが多いです。しかし、これはあくまで一般的な例なので、契約をする際には「何年おきに見直しをされるのか」という正確な見直し期間を把握しておきましょう。
その際に、過去の物件ではどのくらい賃料が減少した例があるのかなども確認しておくと、今後の収支のシミュレーションをしやすくなります。
④空室になったときの免責期間はどのくらいか
契約内容によっては、入居者が退去して空室になった場合、一定期間サブリース会社が賃料を保証しなくても良いという免責期間が設けられていることがあります。この免責期間が長ければ長いほど、オーナーが得られる収入は少なくなってしまうため、免責期間はどのくらいあるのかを必ず確認しておくようにしましょう。
もし契約書に記載されていない場合は、必ず契約を結ぶ前にサブリース会社に確認しておくようにしてください。書面でしっかりと明記してもらった方が安心でしょう。
⑤途中解約に必要な条件は何か
先ほども解説した通り、サブリース契約の途中解約はオーナー側から行うのが難しいです。そのため、途中解約に必要な条件を契約のときにあらかじめ確認しておくようにしましょう。
契約の段階では解約のことまで考えている人は少ないですし、契約をするときに解約時のことを聞くのは少し気まずいという人もいますよね。
しかし、今後トラブルに巻き込まれた際などに後悔しないように、解約はどのタイミングで伝えるべきなのか、解約手数料・違約金は発生するのかなど、解約に関する情報もしっかりと確認しておきましょう。
⑥収支のシミュレーションはできているか
マンション経営ではさまざまな費用がかかるので、事前に収支のシミュレーションをせずにマンションを購入すると、経営していくうちに収支がマイナスになってしまっていたということになる可能性も少なくありません。
マンション経営をする際には、毎月どのくらいの収入があるのか、賃料見直しでどのくらい収入が減るのかなどを予想しておくとともに、税金やローンの返済金利などの出費の金額も把握しておくようにしましょう。
シミュレーションをする際には、希望的観測で収入を高めに見積もってしまったり、費用を低めに考えてしまう人もいますが、それではシミュレーションの意味がありません。第三者的な冷静な視点で少し厳しめに考えるようにしましょう。
マンション投資における収支については、下記の記事をご参照ください。
⑦出口戦略は考えているか
失敗例でも解説した通り、サブリース契約をしているマンションは、なかなか売却が決まらないというリスクがあります。そのため、契約の段階で売るつもりがなかったとしても、将来的に売却することを想定して出口戦略を考えておいたほうが良いでしょう。
売却はどのような流れで行うのか、売却にはどのような方法があるのかなども把握した上で、出口戦略も検討しておくようにしてください。
⑧契約するサブリース会社は信頼できるか
サブリース契約を結ぶ場合、サブリース会社は、入居者の募集や管理、賃貸契約の締結、トラブルの解決など、マンション経営の大部分を担当するポジションです。そのため、信頼できるところを選ばないと、トラブルに巻き込まれるリスクも高くなってしまいます。
業界経験や実績、業績、評判、対応など、さまざまな観点からサブリース会社をチェックしてみてください。また、契約書の内容や、契約内容を詳しく紹介してくれるなども重要です。サブリースで失敗しないためには、信頼して任せられるサブリース会社を選ぶのがもっとも大切といえます。
マンションのサブリースで失敗してしまった、実際にトラブルに巻き込まれてしまったという方は、下記記事をご参照ください。
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サブリース契約を結ぶと、一定の安定した収益が期待できる一方で、賃料の見直しや入居者のトラブル、売却問題など、さまざまなリスクも伴います。そのため、事前に契約内容や入居者の管理、出口戦略などをしっかりと考慮し、信頼できるサブリース会社と契約することが重要です。
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