投資用不動産はいつでも売却すれば良いわけではなく、投資の種類や物件の状況などを踏まえながら適切なタイミングを判断する必要があります。売却のタイミングによって得をするか損をするか大きく変わることも珍しくありません。
今回は、物件別・条件別の不動産投資物件を売却するタイミングについて詳しく解説していきます。売却の流れや売却時の注意点について解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
投資用不動産は今のタイミングで売却しても良い?
投資用不動産を売却しようか悩んでいる方が抱えている疑問で特に多いのが、「今のタイミングで売却しても良いのか」という内容ではないでしょうか。投資用不動産はどのようなときに売却しても同じ金額が得られる、というわけではありません。大きな儲けになって得をするタイミングもあれば、思うような形で売れず損をするタイミングもあります。
では、現在は、不動産売却をするのに向いているタイミングといえるのでしょうか。実は、近年物件の市場価値は高まっており、2013年以降、物件の価値は右肩上がりになっています。
不動産投資の失敗は損失の金額も大きくなりやすいので、特に注意が必要です。機を見誤らないよう、売却のタイミングはさまざまな状況を踏まえ、総合的に判断しましょう。
【物件別】不動産投資で売却すべきタイミング
ここまでに解説した通り、不動産投資物件の売却で利益を得るためには、しっかりタイミングを考える必要があります。ここからは、不動産投資の物件別に、その特徴や売却すべきタイミングを見ていきましょう。
- 一棟投資
- 区分投資・ワンルームマンション投資
- 戸建て投資
- 借地権投資
- 底地投資
一棟投資
一棟投資とは、アパートやマンションといった集合住宅を購入して行う不動産投資のことです。長期的に収入を得やすいというメリットがありますが、建物の規模が大きく購入に費用がかかる上に管理の手間なども発生するため、大きな利益を獲得しやすいとまではいえません。売却をするなら、物件の価値が大きく下がらないうちに行うのが良いでしょう。
マンション売却のタイミングについてさらに詳しく知りたい方は、「マンション売却はタイミングが重要。賢く売るならいつがいい?」の記事もご参照ください。
区分投資・ワンルームマンション投資
区分投資・ワンルームマンション投資は、ワンルームマンションを部屋単位で購入して行う不動産投資です。比較的初期費用が小さい、管理の手間が少ないなどの理由から、投資家から人気を集めています。
区分投資では、純利益と利回りによって価格が大きく変動するだけでなく、利回りが金利に密接に関わっています。そのため、金利が低い期間内が売却のタイミングといえるでしょう。
戸建て投資
戸建て投資はその名の通り、一戸建てを購入し投資を行う方法です。規模の大きな投資に比べると初期費用や管理の手間などが小さい傾向です。ただし、トータルで黒字になるまでに時間がかかる傾向にあり、築年数がかさむと経年劣化などによって価値の下落や修繕の発生といったマイナス要素が出てくるので、バランスの良いタイミングの見極めが重要です。
借地権投資
借地権投資は、借地に自分で物件を建て、その物件を使用して投資を行う方法です。借地権投資の物件売却も、利回りや建物の状態を確認しながら判断すべきですが、借地を利用している関係上、地主の許可が欠かせません。地主の許可が降りないうちに売却を進めてしまうとトラブルに発展する可能性があるため、上手に段取りを組みながらタイミングを見計らうことが大切です。
底地投資
底地投資とは、借地を使って地代収入を得る投資方法です。建物を利用しての投資と異なり、空室リスクや修繕リスクなどが少なく、安定した収入を得られるメリットがあります。ただし、借地権が設定されており自由度が低いことから、売却しにくいというデメリットもあるので、注意してください。土地の需要などを考えながら、売却できそうなタイミングを逃さないことが重要といえます。
不動産投資の物件別の売却すべきタイミングまとめ
物件別 | 売却のタイミング |
---|---|
一棟投資 | 物件の価値が大きく下がらないうちに行う |
区分投資 ワンルームマンション投資 |
金利が低い期間内が売却のタイミング |
戸建て投資 | バランスの良い売却のタイミングの見極める |
借地権投資 | 上手に段取りを組みながらタイミングを見計らう |
底地投資 | 土地の需要などを考えながら、売却できそうなタイミングを逃さない |
【条件別】不動産投資で売却すべきタイミング
不動産投資で売却すべきタイミングは、不動産の状況によっても異なります。前の項目で解説した物件の種類だけでなく、建物がどのような状態なのか細かく調べて売却の時期を考えなければいけません。ここからは、不動産の条件別に、主な売却すべきタイミングを紹介します。
所有期間が5年を越えた
不動産投資で売却のタイミングの1つとして意識したいのが、所有期間です。具体的には、所有期間が5年を超えたときが1つの目安となります。
不動産を売却などで譲渡した際に発生する譲渡所得税の税率は、所有期間が5年以下だと39.63%、5年超だと20.315%です。
所有期間 | 譲渡所得税率 |
---|---|
5年以下 | 39.63% |
5年超 | 20.315% |
つまり、所有期間が5年を超えてから売却をすると、税率にして20%近くの節税ができます。不動産投資物件の売却額は高額になる場合もあり、細かな税率の違いが納付する税額に大きく影響する可能性も少なくありません。
不動産は価格が大きいので税率1%違うだけで大きな節税になります。お得に売却したいなら、税金のことは常に頭に入れておきましょう。
ローンを完済した
不動産購入時のローンを完済したタイミングも、売却しやすいでしょう。ローンが完済していれば、売却できた場合にローンに支払う費用が必要ないので、キャッシュで手元に入る金額が増えます。ローンが全て終わったら一区切りとして、売却を検討しても良いかもしれません。
築20年を迎える
建物は築年数20年が区切りといわれています。築20年が経つ頃になると、建物のあちこちに修繕やメンテナンスが必要な箇所が目立ってくるのが理由の1つです。建物に不具合が発生しやすくなる前に売却することで、売却費用が大幅に減少するのを防ぐ狙いがあります。
また、建物は基本的に築年数を重ねるほどその価値が下がっていきますが、築20年を超えると下落はほぼ止まり、横ばいの状態になる傾向にあります。つまり、築20年を迎える前、少しでも価値の高いうちに売却したほうが良いという考え方もあります。
減価償却が終わる
減価償却とは、経年により資産の価値が減っていくという考え方です。そして、不動産投資においては、この減価償却の考え方で導き出される減った価値を投資の経費として計上できます。つまり、減価償却によって節税が叶うというわけです。
構造別の減価償却期間(目安)
構造別 | 耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
軽量鉄骨造 | 19年 |
鉄骨造 | 34年 |
RC(鉄筋コンクリート造) | 47年 |
しかし、減価償却の経費計上は、計算上の資産価値がゼロになった時点で終了になります。そうなると、減価償却分としてこれまで計上できていた経費がなくなり、税額が上がる可能性もあります。そのため、減価償却が終わる前に売却を進めるのも1つの手です。
不動産投資物件を売却する流れ
不動産売却の流れは以下の通りです。
- 売却理由や希望条件、売却期限を整理する
- 情報収集・査定を出す
- 媒介契約を結ぶ
- 売却活動をする
- 決済・引き渡し
- 確定申告をする
不動産売却を行う場合、まずは売却の計画作成からスタートします。希望する売却価格だけでなく、売却が希望通り進まない際の対処法なども合わせて、できる限り詳しく計画しましょう。
計画を立てたら、物件に関する書類・資料の整理などを行った後に、売却の仲介役となる不動産会社を探します。不動産会社が決まったら、具体的な売却活動を始めていくという流れです。
その時々の状況を踏まえて柔軟に対応しつつ、購入希望者を探しましょう。購入希望者が現れたら必要な手続きを取って、売買契約へと進みます。契約が締結できた後は、これまで自分が物件に関して取引していた各業者などへの連絡です。最後に物件の引き渡しを行い、売却は完了します。
不動産売却の流れは、「不動産売却は流れを抑えてスムーズに。ステップごとに徹底解説!」の記事で詳しく解説しています。
不動産投資物件を売却する際の注意点
不動産投資物件の売却ではまとまったお金が動くため、判断を誤ってしまうと大きな後悔につながる可能性もあります。ここからは、不動産投資物件を売却する際に失敗しないように、意識しておきたい注意点を見ていきましょう。
- 安易に修繕やリフォームをしない
- 査定価格だけに注目しない
- 信頼できる不動産会社を探す
- 売却後には確定申告を行う
安易に修繕やリフォームをしない
なかなか売却ができないときに「修繕やリフォームで建物を綺麗に直せば価値が上がって売れやすくなるかも」と考え、高額な費用を費やす人もいます。しかし、安易に修繕・リフォームを行うのは危険です。
なぜなら、修繕・リフォームしたからといって、かけた金額分高く売れるとは限らないからです。修繕・リフォーム費用をペイできるような価格で不動産が売却できれば問題ありませんが、費用をかけたのに売却価格がそこまで値上がらなければ結局損をしてしまいます。
査定価格だけに注目しない
売却する側としては、不動産を売るならできる限り高く売りたいと考えるのが本音でしょう。しかし、査定価格の高さだけに注目して売却を任せる不動産会社を選ぶのは考えものです。
高額な査定は、専任契約を結ぶために敢えて高く付けている可能性もあります。その場合、契約を結んだ後に査定通りの高額では売却が進まず、査定より低い価格での売却を提案されてしまう場合もあるのです。
不動産会社がその地域の分析を十分しておらず、相場に見合わない高額な査定をしてしまい、契約後に売却が難航するケースもあります。いずれにしても、相場を超えた高額な査定には何か裏が存在する可能性もあるため、慎重な判断が必要です。
信頼できる不動産会社を探す
前の項目でも説明した通り、不動産会社の中には、契約を勝ち取るためにあまり誠実でない方法を用いるところもあります。不動産投資物件の売却を成功させるには、不動産会社との綿密なコミュニケーションも大切です。
不信感を覚えるような不動産会社相手では、大事な物件を任せられませんよね。さまざまな情報を精査し、また自分との相性なども考えながら、信頼のおける不動産会社を探してみてください。
売却後には確定申告を行う
不動産の売却後には、確定申告も忘れてはいけません。不動産売却によって譲渡所得が生じた場合、確定申告は不可欠です。譲渡所得で損失が発生している場合も、総合的に節税につながる可能性があるため申告したほうが良いでしょう。
確定申告の時期は売却した翌年の2月中旬~3月中旬ですが、申告書の他、不動産の購入・売却時の売買契約書や経費に計上するものの領収書など、さまざまな書類が必要になるため、余裕を持って準備してください。
マンション売却後の確定申告については「不動産売却後の大きな壁は確定申告!確定申告の方法や書類の種類を詳しく解説」の記事で解説しています。
不動産投資物件の売却でお悩みなら弊社におまかせ!
投資用不動産は、売却するタイミングによって費用が大きく異なります。そのため、売却するタイミングを見極めることが大切です。物件別、条件別によって売るべきタイミングは異なるので、しっかりと検討しましょう。
また、物件の売却価格は不動産選びによっても左右します。売却のパートナーとして信頼できる不動産会社を探すようにしてください。不動産投資物件の売却にお悩みの方は、アデプトマネジメントにご相談ください。
大阪を拠点に、投資用不動産の買取・査定・売買・賃貸管理など、全国で幅広く事業を展開しております。豊富な経験とノウハウで、顧客により添った丁寧な対応をしているので、ぜひお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。