住宅ローンを組む際、金利タイプの選択は重要な決断の一つです。変動金利を選んだ場合、金利の変動により毎月の返済額が上下する可能性があります。そのため、定期的に金利の動向をチェックし、固定金利への変更を検討する必要があります。
しかし、いつが金利変更のベストタイミングなのか、変更に伴う手続きはどうすれば良いのかなど不安な点も多いはずです。本記事では、変動金利の見直し時期や金利タイプ変更のポイント・注意点を分かりやすく解説します。
変動金利の見直しは4月と10月
変動金利は金融機関が4月と10月に変動金利の適用金利を見直し、その後の半年間で見直された金利が適用されます。
例えば、4月にABCバンクが変動金利の適用金利を年2.5%に見直した場合、金利は4月から9月までの半年間適用されます。10月に再度見直しが行われ、例えば年3.0%に変更されれば、10月から翌年3月までの半年間は3.0%の金利が適用されることになります。
変動金利が上がるタイミングについては、「変動金利が上がるタイミングとは?メリット・デメリットや対策法」の記事でも紹介していますので、本記事とあわせてご覧ください。
住宅ローンには金利タイプごとに種類がある
住宅ローンには、変動金利と固定金利があります。
変動金利
変動金利は都市銀行の短期プライムレートなどに連動し、金利の変動に応じて返済額が変わります。当初の金利が低いため、借り入れ時の返済額が抑えられます。
固定金利
一方、固定金利は、契約時に金利が固定されるため、金利変動の影響を受けず、ずっと同じ返済額です。変動金利に比べ当初の返済額は高くなるものの、将来的な金利上昇リスクがありません。
変動金利・固定金利については、「変動金利の上がり幅とは?ルールのポイントやリスクを抑える方法」の記事でも紹介していますので、本記事とあわせてご覧ください。
変動金利から固定金利に変更するときのポイント
住宅ローンは長期にわたる大きな借り入れのため、金利の動向が家計に与える影響は計り知れません。変動金利は金利が下がれば返済額が軽くなる点にありますが、逆に金利が上昇すれば返済額が重くのしかかります。そうした不安から、安心して長期計画を立てられる固定金利に切り替えを検討する人も多いはずです。
変動金利から固定金利への変更を考えている方に、以下で変更するときのポイントをご紹介します。
変動金利と固定金利が同じくらいの場合
住宅ローンの変更を検討する際、現在の変動金利と新しい固定金利がほぼ同水準の場合は、デメリットの少ない今のタイミングで変更しておくのが安心です。
現状は大きな金利上昇リスクがないように見えても、いつ金利が上昇するのか予測することは困難です。 また、住宅ローンの金利は、変動金利よりも固定金利が先に上がり始めるため、変動金利が上がってきてから固定金利へ変更する方法は現実的ではありません。
ご自身の年収や住宅ローン残高・資産運用の方針なども総合的に勘案する必要があります。適切なアドバイスを得ながら、慎重な判断をしてください。
固定金利の方が高い場合
固定金利の方が変動金利よりも高い場合は、基本的には変動金利のままでいた方がお得です。ただし、直近の20年間ほどは変動金利の基準は下がっておらず、ほぼ横ばいの状態です。
そのため、毎月の住宅ローンの返済額に対し、毎月25%以上の金額を貯蓄できているかで判断すると良いでしょう。
変動金利には、金利が上昇しても直前の返済額の125%までしか増加しない『125%ルール』という仕組みが存在します。毎月の増加分が25%以内であれば、金利が上がっても返済が滞ることはないでしょう。
しかし、将来的な金利上昇リスクを考えると、現状より高い固定金利に変更するのも選択肢の一つです。一方で、固定金利に変更すると手数料がかかることも忘れてはいけません。手数料を差し引いても、長期的に見てメリットがあるかどうかを確認する必要があります。
固定金利の方が低い場合
契約中の変動金利よりも固定金利の方が低い場合は変更をおすすめします。利率の低い固定金利に変更すると、金利が固定される安心感と返済負担の軽減が得られます。ただし、変更時には以下の点に注意が必要です。
- 新規の借り入れ審査がある
- 手数料がかかる
固定金利が低ければ変更するメリットは大きいものの、一時的な手続き負担と費用負担が発生するため、総合的に判断する必要があります。
変動金利から固定金利に変更するときのポイントまとめ
金利のバランス | 内容 |
---|---|
変動金利と固定金利が同じくらいの場合 | 変更しておくのが安心 |
固定金利の方が高い場合 | 変動金利のままでいた方がお得 |
固定金利の方が低い場合 | 変更した方が良い |
変動金利から固定金利に変更する際の注意点
変動金利は金利の上下動によって返済額が変動するリスクがあります。そのため、安定した家計運営のために、固定金利への変更を検討する人も多いでしょう。
しかし、変更するときにはさまざまな注意点があり、うっかり見落とすと思わぬ損失を被る可能性もあります。このような状況を避けるため、事前に確認しておくべきポイントをしっかりと押さえておきましょう。
金利が上がってから変更しても遅い場合がある
最初は変動金利で契約しておき、金利が上がるタイミングで固定金利に変更すれば良いと考える方は多いでしょう。
しかし、変動金利と固定金利を同じ時期で比較すると、固定金利の方が高いです。そのため、変動金利が上がったタイミングでは、すでに固定金利も上がっているでしょう。金利が上がってから固定金利へ変更すると、返済額が大きく増えることがあるため注意が必要です。
変更する場合は、早めに固定金利への切り替えを検討しましょう。金利の動向を常に注視し、上昇が予想される場合は事前に対応するべきです。
手数料がかかることがある
一般的に、変動金利から固定金利に変更する際は、手数料がかかります。そのため、変動金利から固定金利に何度も変更すると手数料分で損をしてしまう可能性もあるでしょう。 変動金利から固定金利に変更する際は、金利だけではなく手数料も含めて事前にシミュレーションを行ってください。手数料を含めてもメリットがあれば変更を検討すると良いでしょう。
住宅ローンの金利を変更する方法
住宅ローンの金利は、経済情勢や金融政策の変化に合わせて上下します。そうした状況に合わせて、賢明なタイミングで金利タイプを変更すると、長期的に見れば多額の返済コストを抑えられる可能性があります。以下で、住宅ローンの金利を変更する方法を見ていきましょう。
同じ金融機関で金利タイプを変更する
住宅ローンの金利タイプを変更する場合、同じ金融機関内での変更も可能です。契約している金融機関ということもあり、他の金融機関で変更するよりも手続きが簡単なのがメリットです。
ただし変動金利から固定金利へ変更する場合、新規で申し込むよりも金利が高めに設定されていることがあるため、必ずしも有利な金利で契約できるとは限りません。
金融機関の方針によっては、金利タイプの変更に制限がある場合や変更時期が限られていることもあります。金融機関により金利タイプ変更のルールが異なるため、事前に確認してください。
異なる金融機関のローンに借り換える
異なる金融機関に住宅ローンを借り換えることは、金利を変更する一つの方法です。借り換えとは、新たな金融機関で新しい住宅ローンを組み、現在返済中の住宅ローンを一括で返済することを指します。借り換えを行った後は変更した住宅ローンを返済していきます。
借り換え時は新規の申し込みと変わらず、事前審査と本審査を経て契約を交わし、融資が行われる流れです。 借り換えの場合は、新規契約と同じ低金利が見込めますが、契約にかかる諸費用の支払いや手続きの手間などがあります。
ローンの借り換えについては、「不動産投資ローンの借り換えはいつがお得?タイミングや流れを解説」の記事で詳しく紹介しています。
ローンの金利を借り換えするタイミング
住宅ローンの金利を借り換える最適なタイミングを判断するのは簡単ではありません。金利の動向を常に注視し、自分の住宅ローン契約内容を理解しておくことが重要です。
以下では、住宅ローンの借り換えのタイミングを解説します。
変動金利で返済額が気になったタイミング
変動金利タイプの住宅ローンは、5年ごとに月々の返済額が見直されます。 半年ごとに実施される変動金利の変更には意識は向かなくても、毎月の支出額は気になるものです。新たな返済額が適応されたら、思っていたよりも負担が大きいこともあります。
金利の動向と自身の家計を踏まえた上で、返済額が気になったタイミングは、固定金利への借り換えを検討するタイミングといえるでしょう。
条件の良い住宅ローンを見つけたタイミング
金融機関による住宅ローンの金利は常に変動しているため、現在のローン契約よりも有利な条件のローンを見つけた場合は、金利の借り換えを検討しましょう。年1%の金利差であっても、住宅ローンの総返済額を大きく減らせる可能性があります。
ただし、借り換え時には一定の手数料がかかるため、費用対効果を確認する必要があります。
借り換え先での住宅ローンの選び方
借り換え先で住宅ローンを選ぶ際には、慎重な条件比較が重要です。住宅ローンは長期にわたり返済を続けるため、借り入れ時の金利だけでなく、将来的な金利変動リスクや手数料・付帯サービスなども総合的に検討する必要があります。また、自分の生活スタイルや将来設計に合わない条件では、後々面倒な思いをするかもしれません。
以下では、借り換え先で住宅ローンを選ぶためのポイントを解説します。
事務取扱手数料を確認する
借り換え先の住宅ローンを選ぶ際は、事務取扱手数料の有無や金額の確認が重要です。事務取扱手数料とは、ローン契約の手続きにかかる費用のことです。金融機関によって事務取扱手数料の徴収の有無や金額が異なります。
事務取扱手数料には、以下のように定率型と定額型があります。
事務取扱手数料 | 定率型 | 定額型 |
---|---|---|
内容 | 借り入れ金額に対して一定の割合を手数料として支払う | 借り入れ額にかかわらず、一定の手数料を支払う |
特徴 | 借り入れ金額が多ければ多いほど手数料は高くなる | いくら融資を受けても融資事務手数料が一定額になる |
借り入れ額が高額な方は、定額型に魅力を感じるかもしれません。しかし、同一の金融機関で定率型と定額型の住宅ローンがあり定率型の金利が低い場合は、金利を取るか事務取扱手数料を取るか悩むでしょう。もし、悩んだ場合は住宅ローンのシミュレーションを使用して、どちらのプランが有利になるのかを確認してください。
借り入れ金利を確認する
借り換え先の住宅ローンを選ぶ際、最も重要なポイントは借り入れ金利です。借り入れ金利が低ければ低いほど、総返済額を抑えられるためです。一般的に、変動金利は固定金利よりも低い水準で設定されていますが、将来金利が上昇すれば返済額も増えるリスクがあります。
借り換え時には、現在の変動金利と固定金利の水準を確認し、今後の金利動向を勘案した上で、ご自身の希望する金利タイプを選ぶことが重要です。
団信を確認する
団信(団体信用生命保険)は、住宅ローンを借りている人が万が一の場合に備えるための保険です。借り換え先の金融機関によっては、団信の加入が必須となっている場合があります。そのため、団信は自身の不安を軽減できる商品を選んでください。
団信の種類は金融機関によって異なるため、借り換え先で住宅ローンを選ぶ際は、団信の内容も確認した総合的な判断が重要です。
金利の変更や借り換えはご相談ください
今回は、変動金利の住宅ローンの見直し時期や金利タイプの変更のポイント・注意点を解説しました。変動金利の住宅ローンは、金利の変動に伴い返済額が変わってくるため、金利上昇時にはローン返済負担が大きくなります。そのため、今後も変動金利を続けるか、固定金利に変更するかを検討する必要があります。
金利を変更するには、同じ金融機関で金利タイプを変更する方法と他の金融機関のローンに借り換える方法があります。また、金利タイプを変更する際は、ポイントや注意点を押さえて金利の動向を常に注視しましょう。金利変動のリスクを抑えるためには、適切なタイミングでの金利の変更や借り換えの検討が重要です。
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