不動産投資は、市場の変化が激しい株式やFXなどと比べて手堅いミドルリスクの投資と言われています。
にも関わらず、マンション投資で失敗するケースは少なくありません。
「投資用マンションに興味があるけれど、失敗しないか不安……」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、不動産投資の「失敗例」と「成功の秘訣」を併せてご紹介します。
不動産投資の失敗とは?
不動産投資には、大きく分けて次の2種類があります。
- キャピタルゲイン型
- インカムゲイン型
それぞれの特徴と失敗の定義を押さえておきましょう。
キャピタルゲイン型
「キャピタルゲイン型」の不動産投資とは、価値の上昇が期待できる物件を買って、購入時よりも高く売ることで「売買差益」を得るための手法です。
例えば、購入した投資用マンションをリフォームして物件価値を上げ、高値で売却するといった方法になります。比較的短期間で結果が出るのが特徴です。
キャピタルゲイン型の場合、希望額では買手が見つからず、値下げして売却した結果、赤字(キャピタルロス)になるケースが失敗に当たります。
失敗が分かりやすい点も特徴と言えるでしょう。
インカムゲイン型
「インカムゲイン型」の不動産投資とは、一般的には物件を長期的に保有して、「家賃収入」というロングリターンを得るための手法です。
一定期間家賃収入を得た後に、売却を予定して、売却益とトータルで投資計画を立てる場合もあります。通常は、比較的長期間で投資の成否が決まるのが特徴です。
インカムゲイン型の場合、家賃収入を充ててローンを完済(または自己資金を回収)した後は、家賃収入から支出を差し引いた分が利益になります。
ただし、家賃収入が安定して得られないと、キャッシュフロー(収入−支出)が深刻な赤字に陥る可能性もあります。
赤字が膨らむと、損切りのために、予定より早く売却せざるを得ないケースもあるでしょう。
結果的に、投入した資金が回収できず、トータルの収支が赤字になると投資は失敗と言えます。
今回は、インカムゲイン型の不動産投資に的を絞って、失敗例や成功のポイントをご紹介しましょう。
尚、インカムゲイン型の場合は、失敗の理由が様々で複雑な面があります。
不動産投資融資の注意点と対策について「不動産投資融資の落とし穴を回避!失敗しないための注意点と対策」の記事で解説しているので、ぜひご覧下さい。
不動産投資の失敗例
不動産投資の失敗には色々なタイプがありますが、次の3パターンに当てはまるケースが多くなっています。
- 家賃収入が安定しないことによる失敗
- 想定外の出費が原因の失敗
- 物件価値の急落による失敗
投資用マンションを比較検討する際には、典型的な失敗のパターンを知っておくと役立つはずです。
失敗例 | 失敗の理由 |
---|---|
家賃収入が安定しない | 空室率の調査不足、立地やニーズの無視、衝動買い |
想定外の出費 | 利回りや価格のみで選び、修繕費や管理費を考慮しなかった |
物件価値の急落 | 経年劣化やニーズ変化を想定しなかった |
それぞれの失敗例について詳しく見ていきましょう。
家賃収入が安定しないことによる失敗
失敗例①
掘り出し物と言われて、郊外にある投資用マンションを購入したが、空室がなかなか埋まらずにキャッシュフローが悪化して失敗
失敗の理由
- 空室率の調査や想定が甘かった
- 立地条件やニーズを考慮しなかった
- セールストークにつられて衝動買いしてしまった
インカムゲイン型の不動産投資で最も多いのは、「家賃収入が安定しない」ことによる失敗です。
エリアや立地、設備など賃貸需要に関するポイントを調べてから購入しないと、入居者が入れ替わる度に、数か月〜1年ほど空室になることも珍しくありません。
特に地方の物件や築年数が古い物件は、空室が発生しやすい傾向にあります。
空室が埋まらないと、
- 家賃を大幅に下げざるを得ず収支が悪化する
- 赤字が膨らんで泣く泣く安値で売却せざるを得ない
といった失敗につながります。
区分マンション(1ルーム投資)の場合、空室の間は家賃収入はゼロです。
アパート1棟投資の場合でも、空室が多ければそれだけ家賃収入が減ってしまいます。
部屋が埋まっていても、家賃の滞納があれば、ローンの返済用に自己資金を持ち出さなければならないケースもあるでしょう。
物件選びで失敗しないためには「空室率」に注目することが重要です。
成功のポイント
このタイプの失敗を防ぐためには、次のポイントに気をつけると良いでしょう。
- 物件選びでは「空室率」や「賃貸ニーズ」を必ずチェックする
- セールストークにつられて衝動買いしない
物件を選ぶ際には、広告媒体に掲載されている利回りの数字や営業トークだけで決めずに、空室率や賃貸ニーズもきちんと調べましょう。
可能であれば、現地に足を運んで内覧してから購入するかどうか判断するのがベストです。
周辺の住環境やアクセスの良さ、エリア自体の注目度なども調査しておかないと、先々安定した家賃収入が得られずに失敗する可能性が高まります。
滞納対策に関しては、トラブルを速やかに解決できる管理会社をしっかり選んでおくのが得策と言えるでしょう。
想定外の出費が原因の失敗
失敗例②
高利回りと価格の安さに惹かれて築古の物件を購入したものの、すぐに大規模なリフォームが必要となり修繕費がかさんで失敗
失敗の理由
- 利回りや価格だけで物件を選んでしまった
- 修繕費や管理費などの支出を考慮していなかった
- キャッシュフローをシミュレーションしなかった
築年数が古い投資用マンションやアパートは、なかなか買手が見つからないので格安で売られていることが多々あります。
物件価格が安いので表面利回りが高くなるため、一見すると魅力的ですが注意しましょう。
特に旧耐震基準の(1981年6月以前に建てられた)物件や購入前に内覧ができない競売物件は、多額の修繕費やリフォーム代がかかる可能性があります。
築古物件は、そのままでは入居者が見つからず、家賃を下げたり、リノベーションしたりする必要があるので、支出も含めた実質的な利回りは低くなります。
収支の悪化により早急に売却したい場合でも、なかなか買手が見つからないので、投資初心者の方は避けるのが無難です。
成功のポイント
このタイプの失敗を防ぐためには、以下のポイントに注意すると良いでしょう。
- 利回りの高さや価格の安さに惑わされない
- 支出を考慮して資金計画を立てておく
極端に安くて利回りが高い中古物件には、必ず何らかのデメリットが隠れています。
くれぐれも衝動買いしないように気をつけましょう。
投資用マンションを選ぶ際には、表面利回りだけでなく、支出も含めた実質利回りに注目することが大切です。
キャッシュフローを悪化させる想定外の出費としては、修繕積立金の大幅な値上げも挙げられます。
物件選びでは利回りや価格に目を奪われがちですが、修繕費や管理費、積立金、税金といった支出面も含めて入念なシミュレーションをしてから投資すべきかどうか判断しましょう。
物件価値の急落による失敗
失敗例③
新築物件を購入し、希望通りの家賃で順調にスタートしたが、数年後には家賃を下げても入居者が決まらずに赤字経営に陥って失敗
失敗の理由
- 経年劣化による物件価値の下落を想定していなかった
- ニーズが安定しているエリアや立地の物件を選ばなかった
新築や築浅の場合でも、数年後には物件価値が急落する可能性があるため、家賃を大幅に値下げしないと入居者が決まらないケースがあり得ます。
中古物件でも、管理やメンテナンスを怠ると同様の事態になるので、収支が悪化するでしょう。
売却したいとおもっても、価値が下がった物件は希望額で売れない可能性が高くなります。
投資用マンションを購入する際には、物件価値の下落とニーズの変化というポイントを見落とさないようにしましょう。
成功のポイント
このタイプの失敗を防ぐためには、以下のポイントに気をつけると良いでしょう。
- 数年後、10年後、20年後……には物件価値がどれだけ下がるかリサーチする
- ニーズの変化も見据えて無理のない資金計画を立てておく
メンテナンスを欠かさなかったとしても、スタート時点の家賃が20年、30年後まで維持できるとは限りません。
予め物件価値の下落による家賃の値下げを想定して、資金計画を立てておきましょう。
一つの企業や学校、商業施設などに依存した物件は避けるのが賢明です。
万一それらが倒産や移転してしまった場合、賃貸ニーズが激減し、物件価値が急落する可能性があるからです。
成功のポイントは、
- 賃貸需要が安定している都心部の物件
- 主要駅から近くてアクセスが良い物件
- バス/トイレ別など人気が高い物件
以上のような物件を選ぶことです。
多少利回りが低くても、ニーズが普遍的な物件を選んでおけば、将来的な物件価値の下落や家賃の値下げを最小限に抑えることができるでしょう。
失敗する人の共通点
続いては、失敗例から見えてくる「失敗する人の共通点」をチェックしていきましょう。
不動産投資で失敗する人に共通するポイントは次の通りです。
- 勉強や情報収集をしていない
- 収支計画や出口戦略を立てていない
- リスクを把握していない
上記のポイントについて、もう少し掘り下げてみましょう。
勉強や情報収集をしていない
不動産投資で失敗する人に共通するのは、まず「勉強や情報収集をほとんどしていない」点です。
不動産投資には、物件の管理や集金、入居者の募集、トラブル解決といった業務を管理会社に委託すれば、何もしなくても毎月収入が得られるようなイメージがあります。
しかし、不動産投資に関する知識や経験が乏しいと、そもそも優良物件を見極めることができません。そのため、利回りや価格だけで物件を選んでしまったり、営業トークにつられて衝動買いしてしまったりするのです。
ただし、勉強のために不動産投資のセミナーに参加する場合は注意しましょう。セミナー後の個別相談の場で、言葉巧みに物件を紹介されて、相場よりも高い価格や金利で契約してしまうといった失敗がよくあるからです。
セミナーに参加する場合は、不動産投資のデメリットもきちんと解説しているような信頼できるものを選びましょう。
必要な知識を得るためには、投資用マンションに関する書籍を読むことも有効です。空室の傾向や家賃相場は、インターネットで検索すればリサーチできます。
物件価値の下落やニーズの変化についても、同様にネットで情報収集できるでしょう。
大事なポイントは、人任せにせず、自ら積極的に行動することです。
収支計画や出口戦略を立てていない
失敗する人の多くは、「十分な準備や計画がないまま物件を購入してしまう」傾向があります。
不動産投資で成功するためには、収支計画や売却のタイミングまで見据えた戦略が必要になります。
投資用マンションを選ぶ際には、表面利回りの計算だけでは不十分です。
修繕費や管理費、積立金、税金、ローンの返済といった支出をしっかり考慮して、キャッシュフローをシミュレーションしておきましょう。
尚、ローンの返済期間をあまりに短く設定すると、利息の総額を減らせる反面、想定外の出費が必要になった時に、返済に困るケースがあり得ます。
失敗を避けるためには、無理のない資金計画を立てておくことが大切です。
リスクを把握していない
失敗する人に共通するポイントとしては、「不動産投資のリスクに関する認識が足りない」ことが挙げられます。
不動産投資の主なリスクは、以下のようなものです。
- 空室リスク
- 家賃滞納のリスク
- 物件価値が下落するリスク
- 家賃が値下がりするリスク
- 修繕/リフォームが必要となるリスク
- 金利上昇(変動金利の場合)のリスク
- 天災/事件事故のリスク
以上のようなリスクを十分に理解して、投資すべき物件を選ぶことが成功につながります。
回避できないリスクについては、適切な対応策を講じておきましょう。
失敗しないためのポイント
失敗する人の共通点を踏まえて、不動産投資で「失敗しないためのポイント」をまとめると次の3点になります。
- リスク対策を講じておく
- 信頼できる不動産会社/管理会社を選ぶ
- 優良物件を見極める
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
リスク対策を講じておく
不動産投資には様々なリスクが伴いますが、対策をしっかりしておけば、損失を最小限に抑えることができます。
「空室」や「家賃滞納」、「物件価値の下落」、「家賃の値下がり」といったリスクに柔軟に対応するためには、返済で困らないように無理のない条件でローンを組んでおくことが有効です。
突発的な「修繕」や大規模な「リフォーム」が必要となる事態も想定して、自己資金を蓄えておくと急場が凌げるでしょう。
低金利時代の現在は変動金利タイプの不動産投資ローンが主流ですが、変動金利は金利の初期設定が低いものの、金利変動によるリスクを伴います。
「金利上昇」のリスクを回避したい場合は、固定金利または期間選択型固定金利のローンを選択すると良いでしょう。
「地震」による被害に対しては地震保険、「地震以外の災害」に備えるためには火災保険に加入しておくと安心です。
「事件事故」のリスクは、治安が良いエリアの物件、あるいはセキュリティーが万全な物件を選べば最小限に抑えられるでしょう。
信頼できる不動産会社/管理会社を選ぶ
自ら学ぶ姿勢は大事ですが、個人の情報力や経験だけでは限界があるのも事実です。
専業投資家・大家の場合は別ですが、物件選びや管理、トラブルへの対処といった面に関しては、不動産投資のプロによるアドバイスやサポートが欠かせません。
信頼できる不動産会社や管理会社をしっかり選ぶことができれば、それだけで成功に一歩近づいたと言えるでしょう。
逆に言うと、業者選びで失敗すれば、投資そのものも失敗する確率が高くなります。
投資用マンションの取り扱い実績が豊富な不動産会社なら、良い条件で融資が受けられるように金融機関との交渉を有利に進めることが可能です。
物件の管理や入居者の募集、トラブルの解決などを代行する管理会社の質は、投資の成功を左右します。
不動産投資は、まず信頼できる不動産会社を選ぶところから始めましょう。
優良物件を見極める
投資用マンションを比較検討する際には、自ら情報収集したり、収支計画を立たりするプロセスが重要になります。
物件の内覧や周辺環境の調査も、実際に足を運んで行うのがベストです。
そういった一つひとつの経験が優良物件を見極めるための貴重な糧になるでしょう。
さらに、投資の目的を明確にしておかないと自分の希望や資産状況に合った最適な物件を選ぶことができません。
投資の目標設定やビジョンをできるだけ具体化しておくことが物件選びで失敗しないためのポイントです。
投資用マンションのよくある失敗と成功するためのポイントのまとめ
不動産投資で失敗する人は「投資には必ずリスクが伴う」という認識が甘い傾向にあります。
- 不動産投資のリスクをしっかり学ぶ
- 信頼できる不動産会社を選ぶ
この2点をクリアしてから、物件選びをスタートするのが失敗を避ける最善策です。
株式やFXの場合でも、成功する人は独自のストラテジー(方法論)を持っています。
不動産投資においても、経験を積み重ねて、自分なりの判断基準を確立していくことが成功の秘訣と言えるでしょう。
ただ、時には投資判断で迷ったり、個人では解決するのが難しい問題に直面したりすることもあるはずです。
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