ワンルームマンション投資で失敗しないためには、収支計算のシミュレーションをしっかりと行い、さまざまなリスクも想定しながら綿密な計画を立てることが大切です。本記事では、失敗しないワンルームマンション投資についてや注意点などを解説します。
ワンルームマンション投資について、詳しいビジョンや計画を持たないまま見切り発車でスタートするのは危険です。収支の状況や起こり得るリスクなどを想定しておかないと、思うような収益が得られず、失敗に終わる可能性もあります。
この記事では、ワンルームマンション投資で失敗しないため、押さえておきたい収支の知識や懸念点、計算方法などを解説します。
失敗しないワンルームマンション投資とは?
ワンルームマンション投資は、近年不動産投資初心者などを中心に人気を得ている投資スタイルの一つです。ワンルームマンション1部屋を購入すればはじめられるお手軽感やシンプルさ、不動産投資のなかでは簡単な部類でとっつきやすいことなどが人気を得ている理由です。ただし、何もしなくても楽に成功できるというわけではありません。
ワンルームマンション投資にはリスクも複数あり、これを無視してしまうと失敗につながり、損してしまう可能性があります。ワンルームマンション投資で大切なのは失敗しないことであり、かける費用や収入も不動産投資としては小規模であるため、大きく儲けるのは難しいといえます。
ローリスクローリターンという特徴を大いに活かし、失敗を避けながら地道に収支プラスを目指すのが良いでしょう。
ワンルームマンション投資の収支
失敗しないワンルームマンション投資を叶えるためには、しっかり収支計画を立てておく必要があります。ワンルームマンション投資の収支では、「得られた家賃-諸経費」で計算される「実質利回り」が重要です。
ここでは、ワンルームマンション投資の収支を考えるうえで理解しておきたい収入・支出の種類について解説します。
ワンルームマンションの収入
まずは、ワンルームマンションの収入部分から見ていきましょう。主に考えられる収入の種類は次の通りです。
- 家賃
- 更新料
- 礼金
順番に見ていきましょう。
家賃
ワンルームマンション投資のメインの収入が家賃です。たとえば、月の家賃が10万円であれば年間で120万円の収入が見込めます。ただし、家賃は物件の状態や入居状況などにより、運用中に上下する可能性があるため、当初の家賃額をずっと得られるとは限らないことを念頭に置いておきましょう。
更新料
入居者が賃貸契約を更新する際、必ず更新料が支払われます。更新は2年に一回が一般的であり、金額は家賃の1ヶ月分と設定することが多いです。
礼金
礼金は物件の入居者が支払う初期費用の一つです。現在よりもっと賃貸物件が少ない時代では、店子(物件を借りる人)が大家に感謝の気持ちとしてお金を払っていた習慣があり、それが今も礼金として残っています。
金額の目安は大体家賃1ヶ月分ですが、物件の入居状況が芳しくない場合は選ばれやすいよう初期費用から礼金をカットすることがあります。
初期費用のなかには礼金に似た敷金もありますが、こちらは賃室の修繕などのためと用途が決まっている預り金であり、修繕の状況に応じて残った金額は退去時入居者に返却する必要があるため、収入にはカウントしません。
ワンルームマンションの支出
ここでは、ワンルームマンションの主な支出を解説します。具体的な金額については、物件によって幅があるため注意が必要です。
- ローン返済額
- 管理費・修繕積立金
- 火災保険料
- リフォーム・設備交換費用
- 固定資産税・都市計画税
順番に見ていきましょう。
ローン返済額
物件購入時にローンを利用している場合、ローン返済額が毎月支出されます。元本と合わせて利息も支出されるため、一緒に計算しましょう。
管理費・修繕積立金
物件を管理するための管理費も必ず出ていく費用の一つです。物件の管理業務を外部業者に委託するための管理委託手数料、物件の共用スペース維持や修繕・点検などに使用する修繕積立金の2種類に分かれます。
管理費は入居者から家賃とセットで支払ってもらうものであり、ワンルームマンションの部屋のオーナーが家賃と一緒に一旦預かり、それを物件の管理会社や管理組合に支払うという形になります。
火災保険料
物件の火災保険料も必要な支出です。火災保険への加入は義務ではありませんが、火災が発生した場合の損失は非常に大きいため、もしもに備えて加入しておくのがベストです。
ローンによっては火災保険への加入がマストとされているものもあるので、ローンを利用する前に利用条件を確認してみてください。
リフォーム・設備交換費用
ワンルームマンション投資では、リフォームや設備交換費用が発生することは少なくありません。また、ワンルームマンション投資は新築物件は向かないともいわれており、中古物件を購入するケースがよく見られます。
しかし、中古物件は新築と比べて劣化が進んでいる部分も多く、運用している間に修繕や設備の交換が必要になる可能性も高いです。そのため、修繕などに高額をかけすぎてしまうと支出が増えて収益が減ってしまいますが、リフォームや設備交換を渋りすぎると入居者に良いイメージをもたれにくくなり、安全性が維持できなくなるといった不都合も生じます。収支のバランスを見ながら、どの程度の金額を費やすか見極めが重要です。
固定資産税・都市計画税
不動産投資の支出計画で忘れてはいけないのが税金です。ワンルームマンション投資では、固定資産税・都市計画税が発生します。1年間で4期に分けて納付するので、納付時期も含めて把握しておきましょう。
ワンルームマンションの収入支出まとめ
収入/支出 | 項目 |
---|---|
収入 |
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支出 |
|
ワンルームマンションの収支計算のシミュレーション
ワンルームマンション投資において、どのような収入・支出が想定できるのかが把握できたら、次は収支計算のシミュレーションを行います。収支計算シミュレーションの必要性や具体的な計算方法をご紹介します。
収支計算のシミュレーションとは?
収支計算のシミュレーションとは、運用した場合の毎月の収支をシミュレーションすることをいいます。どのくらいの収支が見込めるのかを事前に掴んでおくことは、投資においてとても重要なポイントです。
仮に収支を全く想定しないまま投資をスタートしてしまうと、思っていたような収益が上がらないなどの運用に悩み、大きな失敗につながる可能性があります。
ワンルームマンション投資の収支の利回りの計算方法
ワンルームマンション投資の利回りの具体的な計算方法にはどういった方法があるのでしょうか。利回りの計算方法には以下の3種類があり、それぞれ計算の仕方が異なります。
- 想定利回り
- 表面利回り
- 実質利回り
想定利回り
想定利回りは、投資で得られる全収入(空室が全くない状態で得られる収入)から不動産の購入価格を除した方法です。計算式は「想定利回り=不動産投資による全収入÷物件価格×100」となります。収入から物件の購入価格を加味した利回りであり、ほかの必要経費などは想定していない割合なため、3種類の計算方法では最も高い数字が出ます。
表面利回り
表面利回りは、物件の現在の入居状況を踏まえたうえで計算する方法です。計算式は「表面利回り=現時点での不動産投資を考慮した全収入÷物件価格×100」となります。現状の収入を反映させた利回りなので、想定利回りよりリアルに近い数字が出せますが、支出として加味しているのは想定利回りと同じく物件の購入価格のみです。
実質利回り
実質利回りは、物件の現在の入居状況を踏まえた収入と、実際の必要経費を使って割り出す方法です。計算式は「実質利回り=(現時点での不動産投資を考慮した全収入-経費)÷物件価格×100」となります。収入も支出も現状を反映させられるので、利回りの種類のなかでは最も現実的な数字が出せます。
利回りの種類と計算式まとめ
利回りの種類 | 計算式 |
---|---|
想定利回り | 不動産投資による全収入÷物件価格×100 |
表面利回り | 現時点での不動産投資を考慮した全収入÷物件価格×100 |
実質利回り | (現時点での不動産投資を考慮した全収入-経費)÷物件価格×100 |
シミュレーションはさまざまな点を考慮して行う
収支のシミュレーションを行っておくことは、リスクヘッジの観点からも重要です。ただし、実際に起こる可能性のあるリスクは、計算式のなかだけにはとどまらず、計算に乗せた以外の経費が発生する可能性もあります。
また、家賃の下落や高騰など、収入を計算するベースの金額が変わることもあり得ます。そのため、シミュレーションはさまざまな点を考慮しながら行いましょう。
ワンルームマンション投資の収支に関する注意点
ワンルームマンション投資の収支に関して、覚えておきたい注意点があります。具体的には、不動産投資特有のリスク、ワンルームマンション投資に見られやすいリスクなどがあるため、致命的な損失につながらないよう対策を練っておくことが大切です。
- 空室で収入がゼロの可能性も
- 管理費・修繕積立金の上昇
- ローン金利の上昇
- 節税効果は薄い
順番に見ていきましょう。
空室で収入がゼロの可能性も
ワンルームマンション投資は、空室で収入がゼロになってしまう可能性があります。一棟使って投資を行うパターンなどと異なり、ワンルームマンションは1室のみです。そのため、空室100%になってしまい、収入が完全に途絶えてしまうということもあり得ます。
また、ワンルームマンションはシンプルで手ごろに投資できる一方、住む人を選ぶ間取りでもあります。特に単身者の方や、1人暮らし歴がまだ浅い若い世代のライフスタイルにマッチしやすい間取りです。
ワンルームマンションに入居したいという希望者がなかなか現れず、空室状態が長期にわたるということも少なくありません。
管理費・修繕積立金の上昇
管理費・修繕積立金の上昇も気を付けたい部分です。管理費は投資する物件を良い状態で保つため、必ず費やさなければいけない経費といえます。そのため、無理なコストカットを試みれば物件の質が下がり、入居者離れや価値のダウンなど、投資に悪影響を及ぼす可能性があります。
管理費・修繕積立金を際限なく使用するというのも良くありません。管理費・修繕積立金が膨らむほど利益は少なくなっていき、収支のバランスが崩れる可能性があるため、メリハリのある使い方が大切です。
ローン金利の上昇
ワンルームマンションに限らず不動産投資全体にもいえることですが、ローン金利の上昇リスクはしっかり想定しておきましょう。投資する不動産をローンで購入した場合、利息も合わせて返済することになります。
この利息を、そのときの市況で変動する変動金利で計算するのか、市況に関係なく利率を固める固定金利で計算するのかを選択します。購入時は変動金利のほうが利率が低いため、一般的には変動金利が選ばれます。
金利の種類
金利の種類 | 特徴 |
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固定金利 |
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変動金利 |
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ただし、変動金利は市況によって利率が下がることもあがることもあり、あがった状態が続けば返済に要する金額が増えるので、支出も増えていくでしょう。ある程度の変動はやむを得ないものとして、変動金利で大きなダメージを受けない支出計画を立てなければいけません。
節税効果は薄い
不動産投資は、節税対策に使えるというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、ワンルームマンション投資の場合は節税効果は薄いです。不動産投資の節税は、不動産投資のマイナス分を自分の全ての収入と合わせて、課税の基準となる額を小さくし、納税額を下げる仕組みで成り立ちます。
ワンルームマンションの場合は、不動産投資としてコンパクトな部類に入り、経費の大きなマイナスはそれほど発生しません。その結果、収支のバランスで黒字になることも多く、そうなってしまうとこれまで納めてきた所得税にさらに投資の黒字分の税金が加わり、結果納税額が増えてしまう可能性もあります。
収入・支出ともに小規模になりやすいワンルームマンションは、大きな節税は狙えないと考えたほうが良いかもしれません。
ワンルームマンションの収支を投資をプラスにするには
ワンルームマンション投資の収支をプラスにするためのポイントは主に4つあります。ワンルームマンションの弱点を知り、上手にカバーしていけば収支のバランスを維持して利益をあげることが可能です。
収益性が低いマンションには手を出さない
最も大切なのは、収益性が低いマンションには手を出さないということです。たとえば、新築のワンルームマンションといった場合は避けたほうが無難かもしれません。新築は、人気が出て入居者がすぐ現れそうだと考えるかもしれませんが、新築の物件は資産価値や家賃の価格がすぐ下落しやすいことがネックとして挙げられます。
初期費用が高額になりやすいこともデメリットです。新築当初ベースで収支を見込んでいると運用が苦しくなるかもしれません。ワンルームマンションは、基本的に不動産投資のなかでは利回りが低い傾向になるため、さらに利回りが悪くなってしまうと致命的です。
ローン金利よりも運用利回りをよくする
ローン金利に関するリスクについては先述しましたが、できる限り金利のお得な物件を選ぶなどの工夫はできる一方、金利は自分でどうこうできる部分ではないため、対策にも限界があります。そのため、ある程度のローン金利はやむを得ないと割り切り、運用利回りを良くするほうに意識を向けたほうが良いでしょう。
「空室期間が発生しないようにする」や「経費のコンパクト化を目指す」、「物件の価値を高める」など、運用利回りをアップさせるための方法はいくつもあります。そのうえでより金利を下げられるプランなどが見つかった場合は、借り換えを検討するのも一つの手です。
売買の好機を逃さない
ワンルームマンション投資を成功させるためのポイントの一つは、大きな損失を出さないことです。「運用が上手くいかず、このままだと失敗しそう」という場合は、大きなダメージを受ける前に売却を検討するのも方法といえます。
ワンルームマンション投資は不動産投資初心者にも人気がある一方、利回りの低さをネックに感じる方もいるため、いつでも良い価格で売却できるというわけではありません。売却は最後にまとまった収益を得る大切なタイミングであるため、できる限り収支のプラス部分が大きくなるように売買の好機を逃さないようにしましょう。
優良な不動産会社を選定する
ワンルームマンション投資をしっかりサポートしてくれる優良な不動産会社を選定することもポイントです。不動産投資を自分だけで行うのは簡単ではありません。ワンルームマンション投資から不動産投資をはじめる方は、不動産・投資の知識や経験がまだ浅いため、投資をスタートしてから遭遇するさまざまなシーンで、適切な対応を取り切れない可能性があります。そのような方の場合は不動産会社を活用することがおすすめです。
不動産会社であれば不動産のプロとして投資をサポートしてきた実績もあるため、ワンルームマンション投資の不安や疑問を解消し、有益なアドバイスをしてくれます。
不動産会社のなかには自社の利益ばかりを重視し、顧客のことを考えない悪質な会社も存在するため、細心の注意を払うことが大切です。
ワンルームマンション投資で成功した事例
投資について学ぶには、成功事例を知ることも大切です。ここでは、ワンルームマンション投資で成功した事例を見ていきましょう。
新築マンションを検討したものの中古マンション購入を決めた事例
ワンルームマンション投資をはじめるにあたり、きれいで入居者から人気が出そうな新築マンションを希望して探していたAさん。不動産会社に相談したところ、新築ワンルームマンションは利回りが低いことを教えられました。Aさんはそれを踏まえて計画を練り直し、新築ではなく中古のワンルームマンション購入に方向転換。アドバイスをくれた不動産会社に再び相談し、最も自分のシミュレーションを叶えられそうな中古マンションを見つけて購入しました。
その結果、不動産投資初心者ながら安定した支出状態を保てており、運用は順調に進んでいます。現在では、投資用のワンルームマンションを複数持ち着実に収益を増やす段階までステップアップしています。
この事例においては、投資をはじめる前にリスクを減らせたこと、誠実な不動産会社に出会えたこと、Aさんが得た知識を利用して計画を変更できる柔軟なタイプであったことが成功したポイントです。
利回りの低さを初期投資の工夫でカバーした事例
今後に備えた資産形成の1つとして、不動産投資をはじめようと考えたBさん。不動産投資ははじめてなので、失敗してもダメージの少ないワンルームマンション投資を選びましたが、特徴である利回りの低さが気になりました。できる限り利回りを高くしたいと模索したBさんは、物件の購入時に自己資金を多く費やし、ローンを使う金額を下げました。
また、投資をはじめたあとも積極的に繰り上げ返済を実施。これにより利息のトータルが抑えられたため、支出がグッと減り、結果的に収益が大きく得られました。
得た収益を利用しながら、今はさらにワンルームマンションを複数購入し、上手に運用しています。
ローン返済とセットで支出される利息を減らす工夫をしたことです。物件の購入額は大きいため、大部分にローンを使えば利息も高くなります。ローンを極力使用しないことで、経費を大きく削減できました。
マンション投資のことなら是非アデプトにご相談ください
マンション投資に関する基本的な知識や失敗しないためのポイントは理解できたものの、やはり実際にはじめるとなると上手く運用できるか不安だという人もいるでしょう。マンション投資について悩んだら、アデプトマネジメントに相談してみてください。アデプトマネジメントは、大阪を拠点に全国規模で事業を展開する不動産会社です。
不動産の買取・売却・仲介・賃貸管理・運用コンサルなど、幅広い業務を行っており、豊富な実績とノウハウを有しています。また、マンション投資のサポート実績も多いため、投資に不安や悩みを抱える人の気持ちに寄り添い、丁寧で有益なサービスを提供しながらじっくり運用をお手伝いできます。電話やお問い合わせフォームから、是非気軽にご連絡ください。
ワンルームマンション投資は、大きな成功を狙うより、失敗しない運用を目指すことが大切です。収入・支出が小規模になりやすいため、損失が発生してもダメージが少ないという利点を活かしながら、地道に確実な収益を重ねていきましょう。また、「はじめての不動産投資で失敗したくない」や「不動産投資の知識があまりないのでサポートを受けたい」など、ワンルームマンション投資を成功させたいという方は、アデプトマネジメントにぜひご相談ください。