「不動産売却で税金が発生するのは分かっているけど、いつまでに支払えばいいの?」と不安に思っていませんか?
この記事では、不動産売却時にかかる税金の種類とその支払時期、さらに税金が払えない場合の対処法まで、具体例を交えながら分かりやすく解説します。この記事を読めば、税金に関する不安を解消し、安心して不動産売却を進めることができます。
不動産売却でかかる税金の種類
不動産売却によって利益が出た場合、所得税と住民税が課税されます。また、不動産の売買契約を締結する際には印紙税も課税されます。
所得税
不動産売却によって得た利益は「譲渡所得」と呼ばれ、所得税の対象となります。譲渡所得は、売却価格から取得費や売却費用を差し引いて計算します。
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税は、以下の計算式で算出されます。
譲渡所得税 = (売却価格 – 取得費 – 売却費用)× 税率
売却価格:不動産を売却した価格
取得費:不動産の購入費や建築費、購入時や建築時の手数料など
売却費用:仲介手数料、印紙税、測量費など
税率:保有期間に応じて異なります(国税庁:所得税の税率)
ただし、一定の要件を満たす場合には、譲渡所得から控除できる特例があります。
- 居住用財産の3,000万円特別控除
マイホームを売却した場合に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例 - 買い替え特例
マイホームを売却して、一定期間内に新しいマイホームを購入した場合に、譲渡所得の課税を繰り延べできる特例
不動産売却時の譲渡所得税について知りたい方は「不動産売却時の譲渡所得税はいくら?計算方法や税率を解説」の記事をご参照ください。
住民税
不動産売却によって得た譲渡所得には、所得税と合わせて住民税も課税されます。住民税は、前年の所得に対して課税されるため、不動産を売却した翌年に納付することになります。
住民税の計算方法
住民税は、以下の計算式で算出されます。
住民税 = (課税所得 × 税率) – 税額控除
課税所得:所得金額から各種控除を差し引いた金額
税率:一律10%
不動産売却したときの住民税については「不動産売却したときの住民税はいくら?節税するための対策」の記事をご参照ください。
印紙税
不動産売買契約書を作成する際には、印紙税法に基づき、契約金額に応じた金額の収入印紙を契約書に貼付する必要があります。
契約金額 | 印紙税額 |
---|---|
1,000万円以下 | 1万円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 2万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 6万円 |
1億円超~5億円以下 | 10万円 |
※上記はあくまで一例です。
税金の支払時期
不動産売却によって発生する税金は、種類によって支払時期が異なります。いつ、どの税金を支払う必要があるのか、事前にしっかりと把握しておきましょう。
所得税の支払時期
不動産売却益に対して課税される所得税は、以下の2つのケースによって支払時期が異なります。
確定申告の場合
不動産売却で利益が出た場合、原則として翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、その際に所得税を納付します。支払方法は、銀行や郵便局の窓口、またはオンラインバンキングなどで行うことができます。クレジットカード納付も可能です。
確定申告を期限内に提出しないと、延滞税や加算税などのペナルティが課される可能性がありますので、注意が必要です。
譲渡所得の特別控除の適用を受ける場合
一定の要件を満たす住宅を売却した場合に適用できる「譲渡所得の特別控除」を利用する場合、確定申告は不要です。
確定申告をしない場合には、住民税の申告は別途必要となります。
住民税の支払時期
不動産売却益に対して課税される住民税は、その年の所得に対して課税され、翌年の6月から支払いが始まります。支払方法は、普通徴収と特別徴収の二つがあります。
- 普通徴収
納税通知書に基づき、納税者が自ら金融機関やコンビニエンスストアなどで納付する方法です。年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて納付します。 - 特別徴収
給与から天引きされる方法です。サラリーマンや公務員の方などが対象となります。
譲渡所得の特別控除を利用し確定申告を行わなかった場合でも、住民税の申告は必要です。5月頃に送付される「住民税申告書」に必要事項を記入し、お住まいの市区町村の窓口に提出します。
印紙税の支払時期
不動産売買契約書には、印紙税法で定められた金額の収入印紙を貼付する必要があります。印紙税は、契約書を作成する際に支払うことになります。通常は、売主と買主で折半して負担することが多いです。
印紙税の納付は、契約書に収入印紙を貼付し、その上に消印をすることで完了します。消印は、印紙と書類の両方にまたがるように押印する必要があります。
収入印紙を貼付せずに契約書を作成した場合、過怠税が課される可能性がありますので、注意が必要です。
収入印紙の金額は、契約金額によって異なります。詳しくは、国税庁のウェブサイトをご確認ください。
投資用マンションの売却時にかかる税金については「投資用マンションの売却時にかかる税金と確定申告の方法まとめ」の記事をご参照ください。
税金が払えない場合は?
不動産売却によって多額の税金が発生した場合、売却益があっても手元資金が不足し、税金の支払いが難しいケースも考えられます。税金は必ず納付しなければならないものですので、支払いが難しい場合は、税務署に相談し、適切な対応を取りましょう。
税務署への相談
税金の支払いが困難な場合は、まずは売却した年の翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行うと同時に、納税地の税務署に相談しましょう。自己破産や財産の差し押さえを避けるためにも、税務署には正直に状況を説明し、相談することが大切です。相談の内容としては、主に以下の2つの方法があります。
納税の猶予制度
一括で納税することが難しい場合、「納税の猶予制度」を利用できる可能性があります。これは、災害や盗難、事業の休廃業、病気など、やむを得ない事情により納税が困難な場合に、納税の期限を延長したり、分割で納付したりできる制度です。ただし、この制度を利用するには、税務署の審査を受け、承認を得る必要があります。また、猶予期間中は延滞税が発生することに注意が必要です。
延滞税
納税の猶予制度を利用せず、納期限までに税金を納付しなかった場合は、「延滞税」が加算されます。延滞税は、納付が遅れた期間に応じて計算され、本税に対して高い利率が設定されています。延滞税を避けるためにも、税金の支払いが難しい場合は、早めに税務署に相談し、適切な対応策を検討することが重要です。
資金調達の検討
税金の支払いのために、資金調達が必要になる場合もあります。主な資金調達方法としては、親族からの借り入れと銀行からのローンの2種類が一般的です。それぞれメリット・デメリットを紹介します。
資金調達の方法
借入方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
親族からの借入 | 低金利、もしくは無利息で借りられる場合がある | 人間関係に影響が出る可能性がある |
銀行からのローン | 返済計画が立てやすい | 審査が厳しく、金利が高い場合がある |
不動産売却による税金は、売却益に対して課税されるため、売却益が出なかった場合でも税金がかからないわけではありません。また、住宅ローンが残っている場合でも、税金の支払いは免除されません。税金について不明点がある場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
不動産売却で発生する税金の支払時期まとめ
不動産売却によって発生する税金は、種類や納付方法によって支払時期が異なります。所得税は確定申告もしくは年末調整で納付、住民税は普通徴収で納付します。印紙税は不動産の売買契約時に支払う必要があるため注意が必要です。売却益が出なかった場合や住宅ローンが残っている場合でも、税金が発生するケースがあります。不安な場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。