ワンルームマンションの売却をする際に売却価格を正確に査定することは、取引を進めていく上でとても重要です。適切な価格設定で売却をすることで、スムーズな取引の成立につながるでしょう。
しかし、ワンルームマンションの適切な査定価格はどのように算出されるのか、どのような流れで査定が行われるのかなどの点について理解できていないという方も多いでしょう。
そこで、この記事では、ワンルームマンションの売却価格の査定方法について詳しく紹介します。売却に適したタイミング、査定や売却の流れ、売却にかかる費用なども詳しく解説していくので、不動産売却を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
ワンルームマンションの売却に適したタイミング
まずは、投資用ワンルームマンションの場合と居住用マンションの場合に分けて、売却に適したタイミングをそれぞれ解説していきます。売却価格を少しでも高めるためには、売却のタイミングも重要になるので、ぜひご覧ください。
投資用ワンルームマンションの場合
投資用ワンルームマンションを売却するのに適したタイミングとしては、「物件価値が上昇している時期」が挙げられます。物件価値は市場の需要と供給のバランスや経済状況によって変動するため、価値が上昇しているときに売却すれば利益を最大化することが可能です。
物件価値が上昇しているかどうかを判断するための指標としては、賃貸需要が高まっている、地価が上がっている、競合物件が少ないなどのポイントがあります。
また、収支がマイナスになっている、ローン返済が滞っているタイミングも、売却に適しています。投資用物件の売却を検討する際には、賃貸収入や経費などの収支のバランスを考慮することも大切です。
通常、マンションは築年数が長くなるごとに管理費や修繕費などの経費が高くなっていきます。そのため、収支がマイナスになっている場合は、どんどんマイナスが大きくなっていく可能性があります。投資用ワンルームマンションの売却をする場合は、赤字が大きくなる前に売却をするのも一つの手といえるでしょう。
居住用マンションの場合
居住用マンションの場合は、「オーナーが売りたい時期」が適切な売却のタイミングといえます。家族構成の変化やライフスタイルの変化など、自身や家族の生活ステージに合わせて売却を検討しましょう。新しい住まいが必要になるタイミングで売却をすれば、スムーズな引越しや生活環境の変化に対応することが可能です。
売却タイミングの指標がほしい、少しでも高く売却をしたいという方は、賃貸需要が高まっている時期に売却を検討してみてください。市場の需要が高まる時期に売却をすることで、より良い条件で売却できる可能性が高まります。
周辺のインフラ整備や開発計画の進捗などが物件の価値に影響を与えることもあるので、周辺環境が良くなっているタイミングで売却をすれば、より高い価格で取引が成立するでしょう。
ワンルームマンションを売却するタイミングについては、「ワンルームマンションを売却するタイミングや流れを分かりやすく解説」の記事で、より詳しく説明しています。
ワンルームマンションの売却価格の査定方法
ワンルームマンションの売却価格の査定方法は、一括査定、机上査定、訪問査定の3つの方法があります。以下でそれぞれの方法を解説していきます。
一括査定(オンライン査定)
一括査定は、複数の不動産会社に一度に査定依頼を出す方法です。インターネットを通じて、複数の不動産会社に物件情報を提供し、その情報に基づいて査定価格を提示してもらいます。この方法が、手軽に査定ができて、複数の不動産会社の査定価格を簡単に比較できるのがメリットです。
物件の状態や特徴が正確に伝わらない場合があるため、あくまで目安として考えるようにしましょう。
机上査定
机上査定は、不動産会社が提供する査定方法の一つで、物件情報を基にして遠隔で査定を行う方法です。物件の広さ、所在地、築年数、周辺環境などの情報を提供し、その情報に基づいて専門家が査定価格を算出します。訪問査定に比べて手軽ではありますが、現地の状態や特徴が把握されないため、査定額の正確性には限りがあります。
訪問査定
訪問査定は、不動産会社の担当者が直接物件を訪れ、現地の状態を確認しながら査定を行う方法です。物件の内外の状態や周辺環境などの情報を詳しく把握した上で、より正確な査定額を算出してもらえます。ただし、訪問に時間がかかる、複数の不動産会社から訪問査定を受けると手間や時間を要するという点に注意が必要です。
オーナーチェンジ物件の場合は賃借人が入居している為、訪問査定はできないのが一般的です。
ワンルームマンションの査定方法についてより詳しく知りたい方は、「1ルームマンションの査定方法を紹介|査定価格の計算方法とは」の記事をご参照ください。
ワンルームマンションの査定価格の算出方法
ワンルームマンションの査定価格の算出方法としては、主に「収益還元法」「原価法」「取引事例法」の3つが挙げられます。以下でそれぞれの方法を解説していきます。
収益還元法
収益還元法は、不動産の価値をその収益性に基づいて評価する方法です。賃貸マンションとしての収益を考慮し、将来の収益を現在価値に還元して査定額を算出します。具体的には、物件の賃料収入や管理費、空室リスク、修繕積立金などの収益や経費を考慮して、将来のキャッシュフローを評価します。
原価法
原価法は、不動産を建設するためにかかるコストや地価を基にして査定額を算出する方法です。具体的な建築コストや土地価格、諸経費などを評価し、これに適切な利益率を加えることで査定価格を導きます。ただし、建設コストや地価の変動、市場需要などの要因によって正確性に限界があるという点に注意が必要です。
取引事例法
取引事例法は、同様の物件や類似する物件の過去の売買取引価格を参考にして査定額を推定する方法です。市場で実際に行われた取引のデータを分析し、同じエリアや条件の物件の価格を基にして、対象物件の価値を評価します。この方法は、現実の市場価格に基づいて査定を行うため、相場感を反映しやすいのが特徴です。
収益性が求められる投資用ワンルームマンションの査定の場合は、収益還元法が用いられることが多い傾向です。収益還元法の計算方法については、「収益物件の査定方法を種類ごとに紹介|査定時の注意点は?」の記事で詳しく解説しています。
ワンルームマンションにおける訪問査定の流れ
ワンルームマンションの売却価格の査定方法や査定価格の算出方法について解説しましたが、ここからは実際にワンルームマンションの訪問査定をしてもらう際の流れを解説していきます。
一括査定や机上査定は気軽に依頼ができるのがメリットですが、本格的に売却を検討している方は、実際に現地で調査した情報を基に正確な査定額を提示してもらえる訪問査定を選ぶと良いです。査定をする際には、複数の不動産会社に依頼をして、見積もりを比較しながら検討するようにしましょう。
- 査定依頼
- 現地調査
- 査定書の受取
それぞれ詳しく解説していきます。
①査定依頼
まずは、不動産会社に査定を依頼しましょう。このときに重要なのが「どの不動産会社に依頼をするか」です。不動産会社と一言でいっても、さまざまな会社があり、会社ごとに得意分野なども異なります。ワンルームマンションの売却を検討している方は、ワンルームマンションの売却に強く実績が豊富な不動産会社を選ぶことが大切です。
不動産会社に査定を依頼したら必ずそのまま契約をしなければいけないということはありません。複数の不動産会社に査定をしてもらい、どこの不動産会社が良いのかを見極めるようにしましょう。
不動産会社の選び方については、「不動産売却はどこがいい?大手・地元の比較と業者選びのポイントを紹介」の記事をご参照ください。
②現地調査
不動産会社に査定依頼をしたら、専門の担当者が物件を実際に訪れて現地調査を行ってくれます。この際、マンションの内外の状態や設備、周辺環境などを詳しく確認します。
マンションの修繕やリフォームをしたことがある場合などは、その詳細も伝えるようにしましょう。物件の特徴や状態を正確に把握することで、より正確な査定額が算出されます。
③査定書の受取
現地調査が終了すると、不動産会社から査定結果をまとめた査定書が提供されます。この査定書には、物件の評価ポイントや査定額が記載されているのでよく確認し、必要に応じて不動産会社の担当者と相談を行いましょう。
査定額は、先述した収益還元法、原価法、取引事例法などの査定方法に基づいて計算されます。査定額に納得ができたら、売却の手続きに進みます。
ワンルームマンションの売却にかかる費用
ワンルームマンションの売却をする際に、売却価格にばかり注目をしてしまう人は少なくありません。しかし、マンションの売却には費用もかかるので、注意が必要です。ここでは、ワンルームマンションの売却にかかる主な費用を解説していきます。
- 不動産仲介手数料
- 売買契約書の印紙代
- 住宅ローン返済の手数料
- 抵当権抹消登録費用
- 引越し費用・クリーニング代
これらの費用は、地域や状況によって異なる場合があります。売却を検討する際には、専門家や不動産会社と相談しながら費用に関する詳細な情報を収集して、事前に費用を計算しておくと安心です。
不動産仲介手数料
不動産会社に売却の仲介を依頼した場合、成約時に不動産仲介手数料が発生します。不動産仲介手数料は売却価格を基に計算される上に、不動産会社によって手数料が異なる場合もあるため、一概に「〇〇円が手数料としてかかる」と明言することはできません。
ただし、国土交通省で上限が定められているので、上限価格を把握することは可能です。売却価格ごとの仲介手数料の上限は下記の通りです。
売却価格に応じた不動産仲介手数料
取引物件価格(税抜) | 仲介手数料の上限 |
---|---|
400万円超え | 取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税 |
200万円~400万円以下 | 取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税 |
200万円以下 | 取引物件価格(税抜)×5%+消費税 |
不動産会社に査定をしてもらった際の売却価格を元に計算をすれば、大体の仲介手数料を算出できるでしょう。
不動産仲介手数料の計算方法については「不動産投資の媒介契約にかかる手数料は?計算方法や値引き交渉のコツを紹介 」の記事で詳しく解説しています。
売買契約書の印紙代
ワンルームマンションの売買契約書の作成には、印紙代が必要です。契約書の内容や売却価格に応じて印紙代は異なりますが、売却価格ごとの印紙代は下記の通りになります。
売却価格ごとの印紙代
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超え 50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え 1000万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1000万円を超え 5000万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5000万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円万円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50万円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
情報引用元:国税庁 土地売買契約書
「不動産の譲渡に関する契約書のうち、記載金額が10万円を超えるもので、平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されるもの」は軽減措置の対象となります。この条件に当てはまる方は、軽減税率の欄の印紙代を参考にしてください。
住宅ローン返済の手数料
売却する物件にローンの残債がある方は、売却代金で一括返済をする必要があります。一括返済をする際には、金融機関に対して手数料を支払わなければいけません。
手数料は金融機関ごとに異なるので、利用する金融機関に問い合わせて確認しておきましょう。居住用マンションで住宅ローンを利用している方は、インターネットバンキングから申し込みをすれば手数料が無料になるケースもあります。
抵当権抹消登録費用
ワンルームマンションを売却してローンの返済が完了した場合、ローンを組んだときに設定をした抵当権を不動産登記から抹消する必要があります。抵当権の抹消にかかる費用は、大まかに下記の2通りです。
抵当権抹消の費用
手続き方法 | 費用 |
---|---|
自分で法務局に行って手続きをする場合 | 1,000円~2,000円程度 |
司法書士に手続きを依頼する場合 | 2~3万円 |
抵当権を不動産登記から抹消する手続きは、少々大変ではありますが自分で行うことも可能です。費用を抑えたい方は自分で行うのも良いですが、時間の猶予がない方や専門的な知識がなく自分で行うのは難しいという方は、司法書士に依頼をしたほうが良いでしょう。
引越し費用・クリーニング代
居住用マンションに自分で住んでいた場合は、新しい場所に引越しをするための費用がかかります。また、引越しの際に物件のクリーニング費用がかかる場合もあります。引越し費用やクリーニング費用がどのくらいかかるのかも、あらかじめ想定しておくようにしましょう。
ワンルームマンションの売却後にかかる税金
ワンルームマンションを売却をして収益を得た場合には、税金の支払いが必要になります。売却を検討している方は、売却後にかかる税金についても事前に把握しておくことが大切です。ワンルームマンションの売却後にかかる主な税金は、所得税と住民税の2つです。
所得税
所得税(譲渡所得税)は、ワンルームマンションを売却した際の売却益に対して所得税が課税される可能性があります。売却益とは、売却価格から取得価額(購入価格や購入時に支払った諸費用など)を差し引いた金額のことです。
居住用不動産(自己居住のために使用した場合)については、一定の条件を満たす場合に所得税の非課税控除が適用されることがあります。
住民税
住民税も所得税と同様に、売却益に対して住民税も課税される可能性があります。住民税は、各自治体ごとに異なる税率が適用されるので、詳細な内容は自治体に確認してみましょう。また売却益に対して住民税の課税控除が適用されることもあります。
売却後の税金については、税法改正などによって変更される可能性もあるため、最新の情報を確認することが大切です。売却を検討する際には、専門家と相談しながら税金に関する詳細な計算方法などを確認することがおすすめです。
ワンルームマンションの売却の流れ
ワンルームマンションの売却にかかる費用を把握したところで、最後に売却の流れについて紹介します。ワンルームマンションの売却の一般的な流れは下記の通りです。
- 媒介契約の締結
不動産会社と媒介契約(不動産会社に売却の仲介を依頼する契約)を締結。売却価格や手数料などを取り決める。 - 売却活動開始
不動産会社が売却活動を開始。物件の宣伝・広告や購入希望者の紹介などが行われる。 - 売買契約の成立
売主と購入希望者との間で売買契約が成立したら契約書を記載。(売却価格、引渡日、支払い方法、売主の情報、物件の状態など) - 引渡・精算
契約書で合意された引渡日に物件の引渡し。物件の状態の確認、鍵の受け渡し、売却代金の支払い、費用の精算などが行われる。 - オーナー変更の通知
物件の売却が完了したら居住者にオーナー変更の通知。(投資用マンションのみ) - 確定申告
収支を計算して税務署に確定申告書を提出。(2月16日~3月15日まで)
スムーズな売却手続きができるように、不動産会社と協力をしながら進めていきましょう。不動産会社によっては売却活動に力を入れてくれない可能性もあるので、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。
ワンルームマンションの売却実績が豊富な弊社にお任せ
ワンルームマンションの売却の査定方法としては、「一括査定」「机上査定」「訪問査定」の3つがあります。大まかな費用を知りたい場合は一括査定や机上査定でも問題はありませんが、売却を視野に入れた査定なら、現地の状態を確認しながら査定を行う訪問査定を依頼するようにしましょう。
ワンルームマンションの売却を検討している方は、ワンルームマンションの売却実績が豊富なアデプトマネジメントにぜひご相談ください。
弊社は不動産の賃貸管理業やコンサルティング業など幅広く手掛けているため、さまざまな販売ルートを持っています。売却に関する不安や悩みを抱えている方は、コンサルティングへ相談することも可能です。長期的に信頼できるパートナーをお探しの方は、ぜひお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。