収益物件の査定方法を種類ごとに紹介|査定時の注意点は?

収益物件の査定方法を種類ごとに紹介

不動産投資をしていて、収益物件を査定してもらいたいという人は少なくないでしょう。そんな方のために、この記事では収益物件の査定方法や査定で注目されるポイントについて解説していきます。査定をしてもらう際の注意点についても紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。

収益物件の査定方法とは

収益物件は、マンションやアパート、一戸建て住宅など家賃収入を得るための不動産です。不動産投資で収益物件の売却や購入を検討する場合、不動産会社に査定を依頼することが多いと思います。

しかし、収益物件の査定方法にはいくつかの種類があるのです。ここでは、収益物件の査定方法について解説していきます。

  • 収益還元法
  • 取引事例比較法
  • 原価法

これらの査定方法は、それぞれ計算の仕方に違いがあるので、見ていきましょう。

収益還元法

収益還元法とは、物件の収益力に着目して不動産価格を算出する査定方法で、アパートやマンションなどの個人の住まいだけではなく、オフィスビルやテナントなどにも用いられます。その不動産が将来、どれだけの収益を挙げられるのかが査定のポイントです。アパートやマンションといった不動産の場合は、入居者から得られる家賃収入が主な収益なので、家賃が高ければそれだけ収益も大きくなるでしょう。

収益還元法には、直接還元法とDCF法の2種類があるので、下記で解説していきます。

直接還元法

直接還元法による不動産価格は、「年間賃料収入 ÷ 還元利回り」で求められます。この場合の賃料収入は、管理費などの必要な経費を差し引いた金額です。賃貸経営にかかる経費は大体、家賃収入の2割から3割程度が相場といわれているので、計算をする際には、この相場をもとにすると良いでしょう。

また、現時点での家賃収入がそのまま得られるとは限らないため、将来的な賃料収入、築年数などを考慮して当てはめる必要があります。還元利回りは、周辺の類似物件の利回りなどを参考に設定するのが一般的です。

DCF法

DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法は、将来受け取るお金を現在の価値に換算してから不動産価格を導き出す査定方法です。将来得られる収益と売却価格から現在の価値に割引くことで算出できます。直接還元法よりも計算は複雑ですが、その分高い精度の評価を行うことができます。

取引事例比較法

取引事例比較法は、対象物件の周辺で類似の取引事例を集めて比較して査定する方法です。築年数や間取りが似ている、駅までの距離がほとんど同じなどの似た条件の取引事例を集めて、集めた事例の中から適切な事例を選択して、不動産価格を導き出します。

全く同じ条件ということはないため、事情に応じて補正なども行いつつ、近い条件で査定していきます。取引事例比較法は実際に取引された価格が元になるので、査定方法の中ではもっとも分かりやすいといえるでしょう。

原価法

原価法は、土地ではなく建物に用いる手法です。再調達価格を計算してから築年数分の減価調整を行って、収益物件の評価額を求めます。再調達価格は、現在建っている建物を取り壊して再び建てる場合の価格で、「再調達原価 ×(1 – 減価修正率)」という計算式で求めることが可能です。減価修正率は、新築時と比べてどのぐらい価値が下がったかを表す数字になります。

収益物件の査定額を知るには?

収益物件の査定額を知る方法としては、不動産会社に問い合わせる、不動産情報サイトで調べる、複数の業者に査定依頼ができる一括査定サイトを利用する、といった方法が挙げられます。

不動産情報サイトや一括査定サイトは、簡単に査定額を知ることができる一方で、査定額があまり正確ではないというデメリットがあります。収益物件の売却を考えてはいるがまだ悩んでいるという方は、これらの方法が向いているでしょう。

本格的に売却を考えている方は、不動産会社に問い合わせるのがおすすめです。1番正確な査定額を把握できますし、不動産会社を見極める判断材料になります。売却を検討している場合には無料で査定可能という不動産会社なども存在するため、気軽に相談しやすいでしょう。

投資用不動産の査定方法や手順は?売却時のポイントと合わせて解説」の記事で、不動産の査定の流れについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

収益物件の査定で注目されるポイント

物件の売却などで査定をしてもらう際には、どのようなポイントが注目されるのでしょうか。ここでは、収益物件の査定で注目されるポイントを4つ紹介していきます。

  • 入居率
  • 築年数
  • 設備
  • 立地・周辺環境

これらは収益物件の価値を決める非常に重要な要素で、不動産価格も左右するので、それぞれ見ていきましょう。

入居率

収益物件の場合、入居率は必ず注目されるポイントになります。収益物件のオーナーにとってもっとも困るのが、空き室が出てしまうことです。空き室が出ると収入がゼロになるばかりか、収入がないまま経費を支払い続けなければいけないので、賃貸経営にとっては大きなマイナスになります。

入居率が高い物件ほど空き室になるリスクが少ないため、入居率が高い物件はその価値を高く評価されるのです。反対に、入居率が低く空き室が多い物件は、空室リスクが高いことから評価額が下がってしまいます。

築年数

一般的に、物件は新築から時間が経過するほど評価額が下がります。そのため、賃貸物件の場合は、築年数が浅いもののほうが好まれる傾向にあります。築年数が古いと、経年劣化によって設備などが老朽化している可能性が高いです。

また、設備や間取り、デザインなどが現在のニーズに合っていないこともあるでしょう。築年数が浅い物件は、最近のニーズやトレンドを反映して建てられているので、入居者の満足度も高くなります。

設備

マンションやアパートなどの収益物件では、設備についても注目されています。例えば、トイレや浴室などの水回りに最新の機能が搭載されている、宅配ボックスが設置されているなど、設備が充実している物件は人気が高いです。特に宅配ボックスは、インターネットショッピングが普及したことで近年特に需要が高くなっている傾向にあります。

立地・周辺環境

収益物件の査定では、立地や周辺環境も大切な要素です。立地はその物件がどのような場所にあるかということで、最寄り駅までの距離、交通機関にアクセスしやすいかなどがポイントになります。駅から離れていてバスの本数も少ないなど、利便性が低い場所だと評価は下がってしまう傾向です。

また、周りにスーパーマーケットなど買い物できる施設があるか、病院や公園などが充実しているかといった周辺環境も評価の対象になります。

収益物件の査定額を少しでも高めるコツ

収益物件を売却する際は、できるだけ高く査定してもらいたいですよね。査定額を少しでも高めるコツとしては、老朽化している設備を査定前に新しく替えておくなどの方法が挙げられます。日頃の定期的な清掃やメンテナンスをしっかりと行って、建物の劣化を防ぐのも効果的です。

また、高い価格で売却できる時期を見極めるのも重要なポイントといえます。物件の売却に最適なタイミングについては、「【2022年】投資用マンションを高く売却するタイミングと注意点を徹底解説」の記事を参考にしてみてください。

収益物件の査定をしてもらう際の注意点

収益物件の査定をしてもらう際には、注意しておきたい点がいくつかあるので、順番に見ていきましょう。

  • 書類や資料を用意しておく
  • 査定額を細かくチェックしておく
  • 自分で正確な査定を出すのは難しい

それぞれ解説していきます。

書類や資料を用意しておく

収益物件の査定の際には、下記のような書類が必要です。

  • 登記簿謄本
  • 公図
  • 土地の測量図(建物の図面)
  • 登記識別情報(登記済権利書)
  • 身分証明書
  • 印鑑証明書

また、必ず必要というわけではありませんが、用意しておくと査定額がプラスになる可能性のある書類もあります。

  • 購入時の売買契約書
  • 建築設計図書
  • 設備などの点検報告書
  • 住宅性能評価書
  • 修繕履歴が分かる書類

不動産情報サイトや一括査定サイトでの査定の際は、これらの書類なしで査定してもらうことも可能ですが、不動産会社に依頼するときには用意しておいたほうが良いです。査定の際には必要がなくても売却時に必要になるので、事前に用意しておくと売却の際に楽になるでしょう。

不動産の売却時に必要な書類については、「不動産売却の必要書類の取得方法や用途を解説!」の記事をご参照ください。

査定額を細かくチェックしておく

収益物件の査定をしてもらったら、不動産査定書を受け取ります。査定額にばかり注目しがちですが、不動産査定書の内容についても細かくチェックしておくことが重要です。不動産査定書には、物件の概要に加えて、近隣のエリアの成約事例や査定担当者の所見、取引の予想価格などが記載されています。また、実際に取引を行う場合の諸費用なども記載されているので、諸費用がいくらになるのかを確認しておくようにしましょう。

自分で正確な査定を出すのは難しい

インターネットの情報サイトなどを参考に自分で査定額を計算する方もいますが、細かい条件によって査定額が変わるため、自分で正確な査定額を出すのはなかなか難しいです。さらに、不動産の市場やニーズは日々変化しているので、売買のタイミングによって価格が大きく変動することもあります。

正確な査定額を知りたい場合には、やはり不動産会社など不動産事情に精通しているプロに依頼するのがおすすめです。査定のプロが、市場の動向の変化などを加味しながら査定を行ってくれます。

まとめ

収益物件の査定方法には、収益還元法や比較事例評価法、原価法などがあります。収益物件の査定額は不動産の情報サイトなどでも大まかに知ることはできますが、本格的に売却を考えている人は、不動産会社に依頼して正確な査定をしてもらうのが安心です。

アデプトマネジメントでは不動産売買や不動産の賃貸管理業などを行っており、収益物件の売買実績も豊富です。賃貸の管理業やコンサルティング業なども営んでいるため、市場の最新の動向を踏まえたアドバイスをすることが可能です。収益物件の売却や査定を検討している方は、ぜひお問い合わせフォームからご相談ください。

この記事の編集者

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アデプトマネジメント編集部

【宅地建物取引業】大阪府知事(2)第59728号
【賃貸住宅管理業】国土交通大臣(1)第002807号

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