不動産売却の必要書類の取得方法や用途を解説!

不動産売却の必要書類の取得方法や用途を解説!

不動産売却の必要書類には様々な種類があります。なかには取得に時間がかかる書類もあるので、早めの準備が欠かせません。

不動産に関する情報を充分に提供しておくと買主が見つかりやすいのがメリットです。逆に、必要書類の不足から、後々損害賠償に発展するケースも有り得ます。

近々、不動産売却を検討している方は「いつ、どのような書類が必要になるのか?」手続きの流れも含めてしっかり確認しておきましょう。

不動産売却時の必要書類とは?

不動産売却時の必要書類とは?

不動産売却の必要書類には以下の2種類があります。

  • 「不動産会社に売却を依頼するとき(媒介契約時)」の必要書類
  • 「買主に不動産を引き渡すとき(売買契約時)」の必要書類

不動産会社に売却を依頼するとき」に提出する書類は、不動産会社と購入希望者に、建物や土地の現状を正確に伝えるために必要です。

物件の基礎情報だけでなく、特徴や状態まで分からないと、不動産会社は効果的な宣伝ができず、希望者も購入の決断が鈍ります。

必要書類は「必須なもの」と「あるとベターなもの」に分かれますが、できるだけ多くの資料を用意しておくのが得策です。

そのほうが売買が円滑に運び、無用なトラブルを回避できるでしょう。

一方、売買契約を交わし「買主に不動産を引き渡すとき」に必要となるのは、主に手続きや決済に関する書類です。

一言メモ

必要書類は早めの準備が大事ですが、中には取得から3か月以内という有効期限付きの書類もあります。不動産売却時には、必要書類の種類だけでなく、取得するタイミングも念頭に入れておきましょう。

また、不動産売却の流れを詳しく知りたい方は「不動産売却は流れを抑えてスムーズに。ステップごとに徹底解説!」の記事をご覧ください。

必要書類チェックリスト

必要書類チェックリスト

不動産会社に依頼する際、売却する物件によって必要な種類は異なります。

必要書類の内容や取得方法を確認する前に、まずは以下のチェックリストから、自分に必要な書類を確認しておきましょう。

不動産会社に依頼するときの必要書類

(※「○」…必須、「△」…あるとベター、「×」…不要)

書類名 マンション売却 戸建て売却 土地売却
登記簿謄本・登記事項証明書
売買契約書
重要事項説明書
賃貸借契約書 ×
管理委託契約書 ×
登記済権利書
土地測量図・境界確認書 ×
固定資産税納税通知書
図面・設備の仕様書 ×
建築確認済証・検査済証 × ×
建築設計図書・工事登録書 ×
マンションの管理規約 × ×
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書 ×

引き渡し時の必要書類

続いては「引き渡し時の必要書類」をまとめたチェックリストです
(※「○」…必須、「△」…あるとベター、「×」…不要)

書類名 マンション売却 戸建て売却 土地売却
本人確認書類
実印・印鑑証明
住民票
(※登記上の住所と現住所が違う場合のみ必須)
銀行口座通帳
(※口座振込を利用する場合は必須)
ローン残高証明書
物件のパンフレット ×

不動産会社に依頼するときに必要な書類

不動産会社に依頼するときに必要な書類

ここからは「不動産会社に売却を依頼するとき」の必要書類についてご紹介します。

すでに手元にある書類も多いはずですが、紛失してしまった場合には、再発行しなければなりません。登記済権利書と固定資産税納税通知書など もあるので、その場合は、代用書類を用意することになります。

必要書類を紛失した方は、再発行の方法や代用書類の入手方法も併せて確認しておきましょう。

「マンション」「戸建て」「土地」の不動産売却では、必要書類がそれぞれ違ってきます。この点にも気をつけながらチェックしてください。

登記簿謄本・登記事項証明書

登記簿謄本」は「マンション」「戸建て」「土地」全ての不動産売却に必須な書類です。売却を依頼する不動産会社に、物件の登記情報を正確に把握してもらうために必要となります。

登記簿謄本には、登記の履歴や権利に関する情報が記載されているため、購入希望者の貴重な情報源といえます。

現在は、登記簿謄本ではなく、登記事項証明書という書類で代用するケースも多くなっており、どちらも法務局に申請すれば入手できます。

これらの書類は、登記名義人本人でなくても申請可能なので、不動産会社に取得を依頼しても良いでしょう。

売却契約書

売却契約書は「マンション」「戸建て」「土地」全ての不動産売却に必須な書類です。

ここでいう「売却契約書」とは、不動産の購入時に作成した前の所有者との契約書を指します。

売却を依頼する不動産会社に物件の価値や特記事項を理解してもらうために必要となります。

売却したい不動産の契約や特約に関する情報がしっかり伝わらないと、適切な評価や価格設定ができません。

一言メモ

不動産売却をスムーズに行うためには、まず不動産会社と情報共有することが大事なポイントです。

物件を購入したときの重要事項説明書

物件を購入したときの重要事項説明書は「マンション」「戸建て」「土地」全ての不動産売却に必須な書類です。

不動産会社と購入希望者に売却する不動産の特徴や状態を説明するために必要となります。

重要事項説明書は、専門知識を有する宅地建物取引士が作成する書類です。

取得費用が嵩むため、手元にない場合は売主自身が記入した物件状況等報告書で代用することもできます。

これらの書類は、雨漏りの有無や過去に起こった事件事故、近隣とのトラブルなどに関する情報を提供するために必要です。

物件のマイナス面をきちんと伝えておかないと、売却後に契約不適合責任を問われ、損害賠償を請求されることもありえます。

無用なトラブルに巻き込まれないためには、重要事項を予め明記しておくことが大切です。

賃貸借契約書

賃貸借契約書」は「投資用不動産」を売却する際に必要な書類です。

賃貸借契約書は、次のオーナーが不動産を経営するために必要な入居者の契約期間や、家賃/敷金/礼金、物件情報などの情報を確認するために必要となります。

重要事項説明書と賃貸借契約の違いは、前者は不動産会社が借主に対して交付する書類ですが、後者は貸主と借主の間で締結する書類となっています。

紛失している場合は、賃貸管理会社などからコピーをもらっておきましょう。

管理委託契約書

管理委託契約書「投資用不動産」の売却の際にあるとベターな書類です。

マンション管理会社などと管理委託契約を結んでいる場合、「契約解除の際に違約金が発生する」「解約は3ヶ月前に書面による申し入れが必要となる」などのケースがあります。

管理委託契約書に記載された内容は複雑で、内容を確認するのは簡単なことではありません。

そのため、管理委託契約書を不動産会社に確認してもらうことで、管理委託契約の解約に関するトラブルを防止することができます。

登記済権利書

登記済権利書」は、「マンション」「戸建て」「土地」全ての不動産売却に必須な書類です。不動産会社に売却を依頼するとき、さらに売主から買主に登記名義人を変更するときに必要となります。

登記済権利書は、不動産の登記が済むと法務局から交付されます。不動産の所有者であることを示す非常に大切な書類です。

登記済権利書は再発行できませんが、紛失してしまった場合は以下の2つの方法で対応できます。

  • 「事前通知制度(法務局に申請)」を利用する
  • 「本人確認情報(司法書士に依頼)」という書類を作成する
一言メモ

2005年以降は、権利書(小冊子)ではなく、登記識別情報という12ケタの番号が記された書類が交付されており、この書類で代用されるのが通例です。

土地測量図・境界確認書

土地測量図」や「境界確認書」は、「戸建て」「土地」の不動産売却に必須な書類です。

不動産会社と購入希望者に土地の広さや形状、境界を確認してもらうために必要となります。

敷地や土地に関する正確な情報を伝えておかないと、購入後、近隣トラブルに発展することにもなりかねません。

土地測量図が手元にない場合は、法務局に申請すれば入手できます。ただし、そもそも測量や境界確認が行われていないケースも多々あります。

境界確認書は、境界に接する全ての不動産所有者の了解のもとで作成する必要があり、取得するまでに時間がかかります。

すぐに用意できない場合は、売却を依頼する不動産会社に相談して対応策を検討しておきましょう。

固定資産税納税通知書

固定資産税納税通知書」は、「マンション」「戸建て」「土地」全ての不動産売却に必須な書類です。

不動産会社に、売主と買主がそれぞれ負担する固定資産税を計算してもらうために必要となります。

固定資産税納税通知書は、1月1日時点の名義人に毎年5月頃通知されます。

不動産売却に際しては、固定資産税を売主と買主で按分(あんぶん)するのが通例です。買主の負担額を計算してもらう際に必要となるので、早めに準備しておきましょう。

固定資産税納税通知書は再発行できませんが、紛失した場合は、固定資産税評価証明書(市役所に申請)で代用可能です。

図面・設備の仕様書

図面」や「設備の仕様書」は「マンション」と「戸建て」の不動産売却に必須な書類です。不動産会社や購入希望者に物件の状態を正確に把握してもらうために必要となります。

間取りや戸建ての敷地(庭や駐車スペース)を示す図面は、不動産会社が購入希望者を募るために不可欠です。

同じく、設備の仕様が記載された書類も提供しておくと買主が早く見つかるでしょう。図面や設備の仕様書は、物件の取得時に渡される書類です。

一言メモ

紛失した場合は、マンションなら管理会社、戸建てならハウスメーカーに問い合わせてみましょう。

建築確認済証・検査済証

建築確認済証」と「検査済証」は、「戸建て」の不動産売却に必須な書類です。

建築基準法に則って設計されていること、さらに完成した建物も建築基準を満たしていることを証明するために必要となります。

売却する住宅が、新築購入したものであれば、これらの書類を必ずもらっているはずです。建築確認済証と検査済証は再発行できません。

紛失してしまった方、あるいは中古購入したため手元にない方は、建築計画概要書と建築確認台帳記載事項証明書で代用できます。どちらの書類も市役所に申請すれば取得可能です。

建築設計図書・工事登録書

建築設計図書」や「工事登録書」は、「マンション」「戸建て」の不動産売却にあるとベターです。

その物件がどのように設計され、過去にどういった工事が行われてきたか説明するために必要となります。

特に戸建ての場合には、これらの書類があると、買主がリフォームを検討する際に役立ちます。

施工の前後に必ずもらっているはずですが、紛失した場合は、ハウスメーカーや工務店に問い合わせてみましょう。

必須ではありませんが、速やかに売却したい方は提供しておくと良いはずです。

マンションの管理規約

マンションの管理規約」は、「マンション」の売却に必須な書類です。

購入希望者にマンションのルールを事前に知っておいてもらうために必要となります。

ペットの可否や共有スペースの使用方法、維持管理費の詳細などをきちんと理解しておかないと、買主が後々トラブルに巻き込まれることにもなりかねません。

遅くとも売買契約時に買主に渡すべき書類ですが、購入を検討している段階で確認できるように、早めに提供しておくと親切です。

管理規約が手元にない方は、マンションの管理会社に問い合わせて入手しておきましょう。

耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書

耐震診断報告書」や「アスベスト使用調査報告書」は、「マンション」「戸建て」の不動産売却には、あるとベターです。

耐震基準を満たしていることやアスベスト使用の有無を知らせるために必要となります。

特に古い物件を売却したい場合には、これらの報告書があると購入希望者の安心材料になるでしょう。

新しい耐震基準(1981年)が導入される以前に建てられた物件を売却する際には、耐震診断報告書を要求されるケースもあります。

一言メモ

これらの書類は必須ではありませんが、提供しておいたほうが買主が早く見つかるはずです。

引き渡し時に必要な書類

引き渡し時に必要な書類

続いては「買主に不動産を引き渡すとき」の必要書類を見ていきましょう。

買主と売買契約を締結する際には「不動産会社に依頼するとき」に準備した書類のうち、登記済権利書や土地測量図・境界確認書といった書類が必要になるケースがあります。

さらに、司法書士に登記を依頼する際には委任状なども準備しておかなければなりません。

どの書類がどのタイミングで必要となるかは、売却を依頼した不動産会社によっても若干異なります。

媒介契約を結ぶ際には、必要書類についてしっかりと確認しておきましょう。

上記のような書類以外で、引き渡しの際に新たに準備するものは以下の通りです。

  • 本人確認書類
  • 実印・印鑑証明
  • 住民票
  • 銀行口座通帳
  • ローン残高証明書
  • 物件のパンフレット

それぞれ詳しく見ていきましょう。

本人確認書類

本人確認書類」は、「マンション」「戸建て」「土地」全ての不動産売却に必須です。

不動産を引き渡すときに、買主に売主本人であることを証明するために必要となります。

司法書士に登記移転の手続きを依頼する際にも本人確認書類の提示が必要です。

運転免許証やパスポート、保険証、マイナンバーカードなどが本人確認書類に該当します。

注意ポイント

不動産を共同名義で所有している場合は、全員分の本人確認書類を用意しなければならないので注意しましょう。

実印・印鑑証明

実印」と「印鑑証明」は「マンション」「戸建て」「土地」全ての不動産売却に必須です。

登記書類や契約書などに押印する際に必要となります。

印鑑証明書は、実印が本物であることを証明する書類です。

市役所で取得しますが、最近は一部のコンビニでもプリントアウトできるようになっています。

ただし、印鑑証明は「発行から3か月以内」という有効期限があるので、入手するタイミングに気をつけてください。

共同名義の場合は、全員分の実印と印鑑証明を準備しておきましょう。

住民票

住民票(写し)」は、全ての不動産売却において、売却する不動産の登記書類に記載されている住所と現住所が違う場合に必要となります。

尚、登記書類上の住所から2回以上転居している方は、住民票ではなく、全ての転居歴が記載された戸籍附票を用意する必要があります。

住民票(写し)は、市役所や一部のコンビニで入手できますが、戸籍附票(写し)は本籍地の市区町村に申請して取得しなければなりません。

現住所と本籍地が異なる場合は、早めに用意しておきましょう。

銀行口座通帳

銀行口座通帳」は、現金決済の場合を除いて、全ての不動産売却に必須です。

買主に振込先の口座を教えるために必要となります。

ただし、通帳そのものではなく、振込先となる口座情報の控えを提示すれば問題ありません。

控えを準備する際には、口座番号はもちろん、銀行名や支店名、口座の種類まで間違えないように入念にチェックしておきましょう。

ローン残高証明書

ローン残高証明書」は、ローン返済中の「マンション」「戸建て」「土地」を売却する際にあるとベターです。

不動産会社や買主にローンの残高を説明するために必要となります。

ローン残高証明書は必須ではありませんが、ローンの残高が売却予定額を上回る場合などに、不動産会社から提示を要求されることがあります。

住宅ローンの償還表が手元にない場合は、金融機関に問い合わせて準備しておきましょう。

物件のパンフレット

物件のパンフレット」は、「マンション」「戸建て」の不動産売却にあるとベターです。

購入希望者に積極的に情報提供するために必要となります。

マンションや戸建てを購入した当時のパンフレットやチラシが手元にあれば、不動産会社に提出しておくと良いでしょう。

不動産に関する情報が予め揃っていたほうが、希望者は購入を決断しやすくなります。

引き渡しの際には、買主に渡しておくと親切です。

現在は、不動産の無料査定サイトや売買の媒介サービスが色々ありますが、物件の詳細情報はネットで調べても入手できないケースが多々あります。

一言メモ

パンフレットやチラシは貴重な情報源なので、積極的に提供しておきましょう。

不動産売却の必要書類まとめ

不動産売却の必要書類まとめ

転居や不動産投資、相続税対策……不動産売却の理由は人それぞれですが、いざ売るとなるとたくさんの必要書類を準備しなければなりません。

再発行できないもの、取得に時間がかかるもの、有効期限があるものなど書類の種類も様々です。

また、不動産売却の必要書類についてわからないことがあれば、大阪での不動産売却実績が豊富なアデプトマネジメントにご相談ください。

アデプトマネジメントでは、弁護士・司法書士・土地家屋調査士・ファイナンシャルプランナーと連携し、お客様のご要望にあったご提案をさせていただきます。

「必要書類が集められない…」「不動産を今売却するべきか迷っている…」など、些細なご質問でも構いません。

不動産売却についてお困りごとがありましたら、お気軽にアデプトマネジメントへご相談ください。

このコラムを書いた人

アデプトマネジメントのロゴ

アデプトマネジメント編集部

【宅地建物取引業】大阪府知事(2)第59728号
【賃貸住宅管理業】国土交通大臣(1)第002807号

アデプトマネジメントではお客様のお悩み解決の為に不動産に関わる有益な情報を発信しております。弊社代表の髙橋は約20年に渡り売買・賃貸仲介・管理・投資等の不動産業務に携わってきました。その経験を活かし、不動産業務全般のご相談に対応可能です。投資用マンションの売却査定もお任せください。

このコラムを監修した人

大平(宅建士)
大平(宅建士)
宅建士

大学卒業後、大手建築会社で店舗開発の営業をしておりました。
現在の私の主な業務は、賃貸管理部門において契約書の作成等の事務の仕事を担当しております。また、ご入居者様が安心して暮らしていけるようサポートをさせていただいております。

好きな食べ物:シュークリーム
幼いころからシュークリームが好きで学生時代アルバイトでシュークリーム屋で5年勤務していたことがあります。趣味はシュークリーム屋巡りです。

メッセージ: お客様やチームと協力しながら、最良の結果を出せるよう努めています。ご不明点やご質問があれば、ぜひお気軽にご連絡ください。