不動産売却した場合の確定申告のやり方は?必要書類まで徹底解説

不動産売却した場合の確定申告のやり方は?必要書類まで徹底解説

不動産売却した場合、確定申告は必要なのでしょうか。不動産所得が発生しても、どうやって確定申告行えばよいかわからない方や、いつまでにどうやってどこに申告すればよいかわからない方もいるでしょう。

そこで、この記事では不動産売却した場合の確定申告のやり方について、必要書類や方法などを徹底解説します。

不動産売却をした場合に確定申告は必要?

不動産売却をした場合に確定申告は必要?

不動産売却をした場合、確定申告が必須ではありません。以下では、確定申告が必要なケースと不要なケースに分けて解説します。

マンション投資の確定申告に関しては、「マンション投資の確定申告の手順は?必要書類や申告方法について紹介」で詳しく解説しています。

確定申告が必要な場合

確定申告が必要な場合は、「譲渡所得が発生したとき」と「特別控除の適用を受けるとき」の2つのケースです。

譲渡所得が発生したとき

譲渡所得とは、不動産を売却して得た利益です。不動産の売却金額から不動産を入手した時の取得費用と、譲渡費用を差し引いた金額が譲渡所得となります。たとえば、3,000万円で取得した不動産を5,000万円で売却し、譲渡時に必要となった費用を1,000万円とした場合、下記のような計算式となります。

5,000万円−(3,000万円+1,000万円)=1,000万円(譲渡所得)

1,000万円が譲渡所得となり、1,000万円の譲渡所得から譲渡所得税が算出されます。なお、譲渡所得には所得税と住民税がかかります。

特別控除の適用を受けるとき

また、不動産売却時に適用要件を満たせば利用できる特別控除は、下記の2つです。

  • マイホームを譲渡した場合の3,000万円の特別控除
  • 特例10年超所有の軽減税率の特例
マイホームを譲渡した場合の3,000万円の特別控除

マイホームを譲渡した場合の3,000万円の特別控除」は、下記の条件を満たすことで譲渡所得が発生しても最高3,000万円までは非課税になる特例制度です。

適用条件
  • 売主にとってマイホームとして居住用していた不動産であること、またはマイホームとして居住しなくなって3年以内であること
  • 売り先が配偶者、直系血族、同族会社ではないこと
  • 前年や前々年にこの控除を使っていないこと
特例10年超所有の軽減税率の特例

特例10年超所有の軽減税率の特例」は、上記特例を適用してもまだ利益がある場合に適用できます。売却した不動産の所有期間が10年を超えていれば、譲渡所得にかかる税率を、通常の長期譲渡所得の税率よりも低くできます。適用条件は、下記のとおりです。

適用条件
  • 売却した年の1月1日時点の所有期間が10年を超えていること
  • マイホームとして居住しなくなって3年以内の売却であること
  • 前年や前々年にこの特例を受けていないこと
  • 親子や夫婦間など生計を一つにする相手への売買ではないこと
譲渡所得(3,000万円の特別控除適用後) 税率
6,000万円以下の部分 14.21%(所得税10.21%、住民税4%)
6,000万円超の部分 20.315%(所得税15.315%、住民税5%)

これらの特例は、自己判断で適用できると思っていても、条件を満たしていなかったため適用外になる場合も考えられます。そのため、不動産を売却する前に不動産会社の担当者に確認をするか、税務署で相談してから動くようにしましょう。詳しくは、マイホームを売ったときの特例(国税庁)を参考にしてください。

確定申告が不要な場合

確定申告が不要な場合は、譲渡損失が発生した場合です。譲渡損失とは、不動産を売却したときに損失が出てしまうことです。たとえば、5,000万円で購入した不動産を4,000万円で売却した場合、1,000万円の損失が発生しています。不動産を売却したにもかかわらず利益が出ていないため、確定申告は原則不要です。

ただし、不動産をマイホームとして持っている場合は、確定申告したほうが得をするケースがあります。得をするケースは、下記の特例が利用できる場合です。

確定申告したほうが得をするケース
  • マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
    (マイホームの買い換えを伴った場合)
  • 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
    (マイホームの買い換えを伴わない場合)

損益通算とは、同一年度内で発生した利益と損失の合算を指します。繰越控除とは、その年に控除しきれなかった損失分を3年以内に繰り越して控除できる仕組みです。損益通算や繰越控除は、損失が発生した場合の有効な節税対策となります。利用する場合は確定申告を行いましょう。

不動産売却の確定申告はいつどこでする?

不動産売却の確定申告はいつどこでする?

不動産売却の確定申告は、資産を譲渡した日の属する年の翌年の2月16日~3月15日の間に行います。特定のマイホームの譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例の適用を受けることなどにより所得税の還付申告となる場合は、2月15日以前でも申告可能です。

確定申告を個人で行う場合は、インターネットまたは税務署、市区町村の庁舎に設置される臨時会場で手続きします。税理士への依頼も可能ですが、依頼費用がかかります。

不動産投資の場合の確定申告の方法は、「不動産投資の確定申告のやり方は?必要書類や手続きの流れを紹介」で詳しく解説しています。

不動産売却で確定申告する場合の必要書類

不動産売却で確定申告する場合の必要書類は、下記のとおりです。

  • 確定申告書(第一表)
  • 確定申告書(第二表)
  • 確定申告書第三表(分離課税用)
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
  • 不動産売却時の書類
  • 不動産取得時の書類
  • 建物・土地の登記事項証明書
  • 全部事項証明書
  • 戸籍の附票

申告書は確定申告書等の様式・手引き等(国税庁)からダウンロード可能です。また、税務署や確定申告会場のほか、市区町村の担当窓口や指導相談会場でも受け取れます。以下で一つずつ詳しく解説します。

確定申告書(第一表)

確定申告書 (第一表)は、収入や所得、控除の額などをまとめた書類です。確定申告する場合は、全員が提出しなければいけません。用紙の上部には、提出先の税務署名や提出日、申告する年度、「確定」の文字を入れます。

確定申告書(第二表)

確定申告書(第二表)は、第一表で記入する金額の内訳や詳細の記入のために必要な書類です。所得や控除の詳細、住民税や個人事業税などを記入します。確定申告する場合は全員が提出しなければいけません。

確定申告書第三表(分離課税用)

確定申告書第三表は(分離課税用)は、申告分離課税を申告する人のみ提出する書類です。申告分離課税は、所得に課税する方法の1つです。不動産の譲渡所得は分離課税に区分されるため、給与所得や事業所得などほかの所得と分けて計算しなければいけません。そのため、不動産を売却したときは、確定申告書第三表(分離課税用)が必要です。

譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)

譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)とは、不動産売却の譲渡所得の具体的な金額を記載する書類です。売却額だけでなく、購入額や経費、不動産の所在地や面積など正確な記入が必要です。

一言メモ

譲渡所得の内訳書は、不動産を売却後に国税局から郵送されます。また、税務署や役所で入手できるほか、確定申告書等の様式・手引き等(国税庁)からダウンロードも可能です。

不動産売却時の書類

不動産売却時の書類は、不動産の売却価格を証明するために必要です。具体的には、下記のような書類のコピーを用意しましょう。

  • 売却したときの売買契約書コピー
  • 売買代金受領書コピー
  • 固定資産税精算書コピー
  • 仲介手数料の領収書コピー

不動産取得時の書類

譲渡所得では、購入にかかった費用を取得費として控除可能です。取得費として確認するための書類として、下記のような書類のコピーを用意しましょう。

  • 取得したときの売買契約書コピー
  • 固定資産税精算書コピー
  • 登記費用の領収書コピー
  • 司法書士費用の領収書コピー
  • 仲介手数料の領収書コピー

建物・土地の登記事項証明書

建物・土地の登記事項証明書とは、不動産の所在地や面積、所有者や抵当権などの具体的な情報が記載されている書類です。所有する不動産を売却した証明や所有期間の証明などに必要です。

登記事項証明書は、不動産を管轄している最寄りの法務局で取得できます。また、オンライン申請でも取得可能です。法務局に行く時間がなかなか取れない人は、オンライン申請がおすすめです。

全部事項証明書

全部事項証明書とは、不動産の所在や登記されている権利関係を証明する書類です。確定申告の際には、所有していた不動産を売却したことを示すために全部事項証明書が必要です。コピーでも問題ありません。全部事項証明書は、売却した土地や建物を管轄する法務局で発行できます。

戸籍の附票

戸籍の附票とは、本籍を定めた時以降の住民票の移り変わりを記録したものです。戸籍簿とセットで本籍地の市区町村で管理しているため、入手する場合は本籍地の市区町村の役所にいく必要があります。

一言メモ

戸籍の附票は、特別控除(マイホームを譲渡した場合の3,000万円の特別控除、特例10年超所有の軽減税率の特例)を利用する場合に居住していたことの証明で必要となります。

不動産売却した場合に確定申告するやり方

不動産売却した場合に確定申告するやり方

不動産売却の確定申告は、シンプルな不動産売却であれば税理士に依頼せず自分でもできます。以下では、不動産を売却したときの確定申告の大まかな流れを解説します。

  1. 必要書類を準備
  2. 譲渡所得を計算
  3. 確定申告書を作成
  4. 税務署に申告する

順番に見ていきましょう。

不動産売却の際の確定申告については、「不動産売却後の大きな壁は確定申告。確定申告の方法や書類の書き方を詳しく解説」でも詳しく解説しています。

①必要書類を準備

不動産売却の確定申告には、多くの書類が必要となります。国税庁のWebページでダウンロード可能なものもあれば、売買契約書のコピーなど自分で保管しないといけないものもあります。直前で慌てて準備を始めると期限に間に合わない可能性があるため、余裕をもって準備しましょう。

②譲渡所得を計算

必要書類の準備を終えたら、次は確定申告書に記入する譲渡所得を計算します。譲渡所得税には特別控除や特例などが設けられているため、算出する際には適用できる控除を調べてできるかぎり節税できるようにしましょう。

③確定申告書を作成

不動産売却の確定申告では「確定申告書(第一表)」「確定申告書(第二表)」「確定申告書第三表(分離課税用)」「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)」の作成が必要です。申告書は国税庁のWebページからダウンロード可能です。また、税務署や確定申告会場のほか、市区町村の担当窓口や指導相談会場でも受け取れます。

④税務署に申告する

作成した確定申告書と添付書類を添えて、期間中に管轄の税務署に申告しましょう。申告する方法は、下記の3つから選べます。

  • 税務署に持っていく
  • 税務署に郵送する
  • 納税システム「e-tax」で申告する

不動産売却で必要な確定申告をしなかったら?

不動産売却で必要な確定申告をしなかったら?

もし、不動産売却で確定申告が必要な場合に確定申告をしなかった場合は、ペナルティが課されます。どのようなペナルティが課されるのか、以下で解説します。

延滞税を支払う必要がある

申告期日内に確定申告しなければ、役所から「警告通知書」が届き、無申告加算税や延滞税を支払わなければいけません。

無申告加算税の税率は、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%です。延滞税の税率は、次の割合と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合となります。

  • 納付期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで:年7.3%
  • 上記の翌日以後:年14.6%

令和5年は「延滞税特例基準割合+1%」の割合のほうが低いため、延滞2ヶ月までの延滞税は2.4%、それ以降は8.7%となります。

犯罪になる可能性がある

故意に確定申告しなかったり、不正に納税を免れようとしたりすると、逋脱犯(ほだつはん)として刑罰の対象となる可能性があります。逋脱犯になると、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこの両方が課せられます。故意に確定申告しないことは犯罪になる可能性があるため、絶対に避けましょう。

不動産売却はアデプトマネジメントにご相談ください

不動産売却はアデプトマネジメントにご相談ください

不動産を売却した場合、「譲渡所得が発生したとき」と「特別控除の適用を受けるとき」の2つのケースでは確定申告が必要です。

そして、不動産売却の確定申告は、資産を譲渡した日の属する年の翌年の2月16日~3月15日の間に行う必要があります。必要書類が多いため、余裕を持って準備しましょう。譲渡所得の計算や確定申告書の作成は自分でも行えますが、難しい場合は税理士に依頼することも検討しましょう。

確定申告書が作成できたら、添付書類を添えて管轄の税務署に期限までに申告しましょう。指定の期限内に確定申告しないと、延滞税を支払う必要があります。

不動産売却で初めて確定申告する場合は、わからないことが多いでしょう。アデプトマネジメントには、不動産投資や不動産売却の豊富な実績や経験に加え、税理士や公認会計士などとの心強いネットワークがあります。不動産売却について疑問点・ご不明な点がございましたら、ぜひお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

このコラムを書いた人

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アデプトマネジメント編集部

【宅地建物取引業】大阪府知事(2)第59728号
【賃貸住宅管理業】国土交通大臣(1)第002807号

アデプトマネジメントではお客様のお悩み解決の為に不動産に関わる有益な情報を発信しております。弊社代表の髙橋は約20年に渡り売買・賃貸仲介・管理・投資等の不動産業務に携わってきました。その経験を活かし、不動産業務全般のご相談に対応可能です。投資用マンションの売却査定もお任せください。