マイナス金利解除で住宅ローンや生活に受ける影響や注意点を徹底解説

マイナス金利解除で住宅ローンや生活に受ける影響や注意点を徹底解説

マイナス金利解除とは、日本銀行が長年続けてきたマイナス金利政策を撤廃し、金利を引き上げることを指します。マイナス金利が解除された場合、住宅ローンや生活に影響が出ます。金利が上がれば返済額も増えるため、借り手は十分な対策が必要です。

今回は、マイナス金利解除による影響や金利変動の救済措置・変動金利の注意点を解説します。

マイナス金利解除で影響を受けるのは変動型

日銀がマイナス金利解除に踏み込んだことで、住宅ローンが注目されています。住宅ローンには固定型と変動型の2種類があります。
固定型とは、借入時に金利が固定される一方、変動型は借入時の金利が変動金利となり金融情勢によって上下する可能性があります。マイナス金利解除で影響を受けるのは後者の変動型になります。

変動金利の上がり幅については、「変動金利の上がり幅とは?ルールのポイントやリスクを抑える方法」の記事でも紹介していますので、本記事とあわせてご覧ください。

住宅ローンには固定型と変動型がある

住宅ローンには固定型と変動型がある

住宅ローンには固定型と変動型があります。

固定型の住宅ローンは、ローン期間中の金利の変動がありません。一方、変動型の住宅ローンは、金融情勢に応じて金利が上下するため、将来的に支払い金額が変動します。固定型と変動型の特徴を以下で詳しく見てみましょう。

変動金利・固定金利の違いについては、「不動産投資ローンの金利相場は?金融機関ごとの特徴や変動金利・固定金利の違いを解説」の記事でも紹介していますので、本記事とあわせてご覧ください。

固定型とは

固定型のローンとは、借入時に金利が固定されるタイプです。例えば、35年の返済期間で金利が2%に設定されていれば、35年間金利は変わりません。将来の金利変動による返済額の変化を心配する必要がない一方で、金利が下がった場合でも固定金利は変わらないデメリットもあります。

また、金利変動リスクを金融機関が負うため、一般的に固定型ローンの金利は変動型よりも高めに設定されています。固定型には、「全期間固定タイプ」「固定期間選択タイプ」の2種類があります。下記表で比較しましょう。

固定型の種類
種類 特徴 メリット デメリット
全期間固定
タイプ
期間全体を通して金利が固定されており、将来の金利変動による影響を受けない。 月々の支払い金額が一定なので、家計の見通しがたてやすい。 金利水準が低い時に借り入れた場合、金利が固定されているため恩恵を受けられない。
固定期間選択
タイプ
3年固定・5年固定など一定期間は金利が固定され、期間終了後は、変動金利か新たな固定金利を選択する必要がある。 固定期間中は金利が変動しないため、毎月の返済額が一定となり、家計管理がしやすい。 固定期間終了後は変動金利に切り替わるため、金利が上昇すると、毎月の返済額が増加する可能性がある。

変動型とは

変動型のローンは金利が市場金利に連動して変動する仕組みです。 基準金利は一般的に年2回(4月・10月)見直され、市場金利の動向に応じて上下します。 従って、変動型住宅ローンの金利は基準金利の動きに連動して上がったり下がったりします。

変動型ローンのメリットは借入時の金利が低めに設定されており、市場金利が低下した際に金利が下がり、ローン返済額も減少する点にあります。 デメリットは、市場金利が上昇すれば金利も上がり、ローン返済額が増えるリスクがあることです。

変動金利の2種類の救済措置

変動金利の2種類の救済措置

変動金利型住宅ローンには、金利変動への対策として「5年ルール」「125%ルール」の2つの救済措置があります。変動金利の多くで適用されますが、一部の銀行では設けられていないところも存在します。2種類の救済措置の違いは以下の通りです。

2種類の救済措置の違い
5年ルール 125%ルール
特徴 借入時の金利が一定期間
(通常5年間)据え置かれる
借入時の金利の125%を上限として金利変動を抑える
金利の上限 据え置き金利 借入時金利の125%
適用期間 5年間

変動金利には金利上昇を抑える仕組みがありますが、長期的に見れば金利上昇リスクは避けられません。そのため、金利が上がれば月々の返済額が増えてしまう可能性があることに注意が必要です。以下で各ルールを詳しく解説します。

5年ルール

5年ルールは、ローン契約時から5年間は金利が上がっても月々の返済額が5年間一定になります。5年ルールにより一定期間は金利の影響を受けずに済みますが、6年目以降から金利が適用される仕組みです。5年ルールは一時的な金利上昇に対する救済策となっています。

注意ポイント

長期的な金利上昇には対応できないため、状況に応じて固定金利への切り替えを検討する必要があるでしょう。

125%ルール

125%ルールは金利が見直されたときでも、前回の毎月返済額から125%までしか返済を増額しません。125%を超える支払いはないですが、ルールは永久には適用されません。 金利上昇がさらに進んだ場合、最終的には変動後の実際の支払額に合わせる必要があります。

一言メモ

125%ルールは、住宅ローンの変動金利型を選択した人の負担軽減を図る狙いがあります。

変動型から固定型に変えたほうがよい?

変動金利型の住宅ローンは金利変動リスクがあり、今後の金利上昇によっては支払額が増える恐れがあります。

一方、固定金利型なら将来の金利変動を気にする必要がありません。変動型から固定型への切り替えは可能ですが、基準金利上昇期に切り替えると、以前の低金利は活かせません。

変動型には5年ルール・125%ルールがあり、金利がすぐに上昇するとは考えにくいため、すぐに固定型に変えなくて良いと考えられます。金利の動向を見極めながら、適切なタイミングで判断するのが賢明でしょう。

マイナス金利解除が生活に与える影響

マイナス金利解除が生活に与える影響

マイナス金利解除は、私たちの生活にさまざまな影響を与えます。マイナス金利が解除されると良くも悪くも以下のような影響が考えられます。

  • 住宅ローンの変動金利上昇の可能性
  • 賃貸物件の家賃が上がる可能性
  • 預貯金につく利息が増える可能性
  • マイホームを取得しやすくなる可能性

住宅ローンの変動金利上昇などのデメリットだけではなく、一方で、預貯金につく利息が増える可能性があり、資産運用面やマイホーム取得がしやすくなるメリットがあります。住宅ローン金利が低下すれば、月々の返済額が減るためです。

以下で各影響を詳しく見てみましょう。

住宅ローンの変動金利上昇の可能性

マイナス金利解除の影響で、変動金利型の住宅ローンの金利が上昇する可能性があります。すると金利が上昇した分だけ、毎月の返済額が増えることになります。

例えば、35年の借入期間で3000万円借り入れた場合、金利が1%から1.5%に上がるだけで、月々の返済額が約5000円も増えてしまいます。長期的に見れば、大きな負担増となるでしょう。

注意ポイント

金利上昇による影響は借入額や残りの返済期間によっても変わるので、自身の条件でしっかりシミュレーションを行う必要があります。

賃貸物件の家賃が上がる可能性

マイナス金利解除に伴う金利上昇は、国民の資産運用に影響を与えます。預貯金よりも不動産投資のメリットが高まれば、賃貸物件への需要増加も予想され、結果として家賃が上昇する可能性もあります。

具体的には、賃貸物件経営者は物件購入の際に借入れを行うケースが多いのですが、借入金利が上昇すると返済負担が増えます。そのため、経営者は増えた経費分を家賃に転嫁させる可能性が高くなる傾向です。

また、賃貸物件の新規建設における建設資金の調達コストも上がり、新築賃貸物件の家賃値上げの圧力にもなると考えられます。マイナス金利解除は賃貸物件の家賃上昇に多方面から影響を与える可能性があるので、賃借人は家賃の動向に注意を払う必要があるでしょう。

預貯金につく利息が増える可能性

マイナス金利解除により、預貯金への付利金利が上がる可能性があります。金利が上昇すれば、預貯金の運用益が増えることが期待できるでしょう。

注意ポイント

預金金利が上昇する幅は極めて小さいと予想されています。つまり、マイナス金利解除後も預貯金だけでは、十分な運用益を得ることは難しいでしょう。より高い運用益を求める場合は、投資信託などのリスク性の高い金融商品を選ぶ必要がありますが、リスクが高まることに留意が必要です。

マイホームを取得しやすくなる可能性

住宅ローン金利の上昇で借入金額の上限が抑えられ、住宅市場が落ち着くかもしれません。住宅の価格高騰は低金利に支えられている面が大きいため、金利が上昇すれば住宅の価格が下落し、マイホームを取得しやすくなることも考えられます。

一言メモ

マイホーム取得を検討する際は、金利の推移を確認し最新の金利情勢を踏まえた上で、適切な判断を行ってください。

変動金利を選んだ際の注意点

変動金利を選んだ際の注意点

変動金利型のローンを選択した場合、金利の変動によって毎月の返済額が変わる可能性があるため、以下の点に十分注意する必要があります。

  • シミュレーションで事前に確認する
  • 4月と10月の基準金利の見直しを確認する
  • 繰り上げ返済のタイミングに注意する
  • 経済・物価見通しの動向を確認する

金利変動によるリスクを常に意識し、状況に応じて適切な対応をとることが重要です。以下で各項目を具体的に解説します。

シミュレーションで事前に確認する

金利がどの程度変動すれば返済額がどう変わるのか、Webサイトなどでシミュレーションを行い、将来の金利変動による影響額をあらかじめ確認しておきましょう。金利が上昇した場合、毎月の返済額がどの程度増えるのか、家計がどこまでの金利上昇に耐えられるのか把握しておくことが重要です。

具体的には、金融機関が提供しているWebサイトやアプリ上の金利シミュレーション機能を活用します。借入金額や返済期間・金利の変動幅などを入力すると、毎月の返済額がどう変わるかを試算できます。

4月と10月の基準金利の見直しを確認する

住宅ローン金利は年2回(4月と10月)見直されます。金利基準が変更するたびに、新しい返済額を確認する習慣をつけましょう。

例えば、4月に基準金利が見直された場合、最短で7月分の返済から新たな金利が適用されます。 中には毎月金利を見直す金融機関もあるので、注意してください。

注意ポイント

基準金利が上がれば、住宅ローンの金利も上がり、月々の返済額が増えてしまいます。基準金利の上昇に伴い、返済額が大きく変動する可能性があるため、ローン返済の計画を立てる際には十分な注意が必要です。

繰り上げ返済のタイミングに注意する

変動金利型のローンでは、その時点の金利で毎月返済額が再計算されるため、タイミングによっては毎月の返済額が増えてしまいます。金利上昇前に繰り上げ返済を行うことで、ローン残高を減らしておくことが賢明です。

住宅ローンの金利改定日の直前に、一時的に資金を投入して繰り上げ返済を行いましょう。金利改定日の直前のタイミングを逃さず、適切な繰り上げ返済額で賢く返済を進めることが大切です。あらかじめ、金融機関の規定を確認しておいてください。

経済・物価見通しの動向を確認する

変動金利型の住宅ローンを選択した場合、今後の経済動向や物価動向によっては金利が上昇する可能性があるため、定期的に経済・物価の見通しの確認が重要です。

具体的には、日本銀行が年4回(1、4、7、10月)公表している展望レポート(経済・物価情勢の展望)の内容を確認しましょう。レポートには、日本銀行が見込む今後の経済成長率や物価上昇率の見通しなどが記載されています。

一言メモ

今後、国内物価が落ち着けば、これ以上の短期的な金利上昇はありませんが、物価上昇が止まらないようなら、さらに金利を上げることになるでしょう。変動金利を選んでいる人は、定期的に経済・物価動向を注視する必要があります。

マイナス金利解除の影響は弊社にご相談ください

アデプトマネジメントにご相談ください

今回は、マイナス金利解除による影響や金利変動の救済措置・変動金利の注意点を解説しました。マイナス金利解除により、変動金利型の住宅ローンの金利が上昇する可能性があります。変動金利型のローンを組んでいる方は、金利の上昇に備え、以下のポイントに注意しましょう。

  • シミュレーションで将来の支払い金額を確認する
  • 基準金利の改定時期に注目する
  • 収入が増えた際は繰り上げ返済で将来の負担を軽減する
  • 経済や物価の動向を注視する
  • 固定金利への切り替え時期を見極める

一方でマイナス金利解除は、預金金利の上昇やマイホーム購入がやや容易になる環境になるでしょう。マイナス金利解除の影響は一様ではありません。ご自身の契約内容や生活設計に合わせた賢明な対応が求められます。金融機関との金利交渉を有利に進めて、できるだけ良い条件でローンを組むことが重要です。アデプトマネジメントは、不動産投資物件の取扱実績が豊富で金融機関からの信頼も厚いため、的確なアドバイスも可能です。ぜひ、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

この記事の編集者

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アデプトマネジメント編集部

【宅地建物取引業】大阪府知事(2)第59728号
【賃貸住宅管理業】国土交通大臣(1)第002807号

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