マンションの売却を検討する際にまず行うのが「査定」です。査定はインターネットから一括査定をすることも可能ですが、大まかな情報しか入力しない一括査定は実際の売却価格との誤差も大きいです。売却を検討しているなら、不動産会社の担当者に現地調査をしてもらってから、物件の詳細な情報を基に査定額を提示してもらう「訪問査定」を依頼する必要があります。
この記事では、マンションの訪問査定を依頼する前に気をつけておくべき点や、査定時・査定後に気をつけるべき点について解説していきます。査定のポイントなども合わせて紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそもマンションの査定とは
マンションの査定は、マンションを売却する際に、その物件がどのくらいの金額で売れるのかを不動産会社に算出してもらうものです。査定方法は大まかに一括査定、机上査定、訪問査定の3種類に分けられます。
査定方法の種類と方法
種類 | 依頼先 | 査定方法 |
---|---|---|
一括査定 | 不動産一括査定サイトなど | 複数の不動産会社にまとめて査定を依頼する方法(AIが査定しているサイトも多い) |
机上査定 | 不動産会社 | 不動産会社が机上で確認できる情報のみで行う査定 |
訪問査定 | 不動産会社 | 不動産会社が実際に訪問して物件を直接確認しながら行う査定 |
正確な価格の査定なら訪問査定
インターネットから依頼できる「一括査定」や書類の提出などだけで依頼できる「机上査定」は簡単に査定をしてもらえる方法としては便利ですが、実際の物件の状況などを確認していないため、売却価格との差が生まれやすいというデメリットがあります。
一方で訪問査定は、担当者に実際に訪れてもらわなければいけないという手間はありますが、より正確な価格の査定をしてもらうことが可能です。マンションの売却を想定している場合は、訪問査定を依頼するようにしましょう。
AIによる査定と訪問査定の特徴を比較したい方は、「不動産のAI査定の精度は高い?メリットデメリットを解説」の記事をご参照ください。
マンションの査定を依頼する前に気をつけること
売却を想定している場合は訪問査定を依頼するのがおすすめと解説しましたが、実際に依頼をすることに不安を感じている方もいるでしょう。ここではまず、マンションの査定を依頼する前に気をつけるべきポイントを紹介していきます。
- 掃除をして綺麗にしておく
- 自分でもある程度の相場を把握しておく
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
- 故障・劣化部分を把握しておく
- 素人判断でリフォームをしない
順番に解説していきます。
掃除をして綺麗にしておく
マンションの査定をしてもらうときに、物件が劣化していて汚れが溜まっている状態だと、査定額に悪影響を及ぼす可能性があります。国土交通省の定めている「価格査定マニュアルによる中古戸建住宅の査定」でも、部屋の維持管理状態に関する項目があるほどです。維持管理状況が良ければ最大10点のプラス評価、悪ければ10点のマイナス評価となってしまうため、清掃はとても重要といえます。
引用:国土交通省 価格査定マニュアルによる中古戸建住宅の査定
掃除が重要とはいえ、ハウスクリーニングをしなければならないというほどではないので、自分で行える範囲で掃除を行うようにしましょう。特に、汚れているとマイナスポイントになりやすい水まわりは注意してください。
自分でもある程度の相場を把握しておく
マンションの査定を受ける際には、自分でもある程度の相場を把握しておくようにしましょう。査定額の相場は、周辺マンションの売却価格や自分の物件に条件が似ているものの売却価格などから大まかに把握できます。過去の不動産取引のデータを確認できる「レインズ」というサービスを活用するのもおすすめです。
事前にある程度の相場を把握しておくと、不動産会社から提示された査定額が妥当な金額かどうかを判断できます。妥当ではないと感じた場合は、不動産会社に納得ができるまで質問をしてみましょう。
大阪の不動産売却の相場について知りたい方は、「大阪の不動産投資・マンション売却をする際の6つのポイント。売却相場もまとめて解説」の記事を参考にしてみてください。
複数の不動産会社に査定を依頼する
マンションの査定は一社だけでなく、複数社に依頼をするようにしましょう。マンションの査定額は不動産会社によって異なり、100万円以上の差が出ることもあります。面倒だからと一社のみで満足してしまう方もいるかと思いますが、損をしないためには、最低3社に依頼して比較しましょう。
不動産会社ごとに担当者の対応なども異なるため、査定額や担当者の態度などのさまざまな観点から比較して、信頼できる不動産会社を選ぶと安心です。
大阪で不動産買取の査定業者を選ぶ方法については大阪で不動産買取の査定をしてもらうには?会社の選び方や流れを紹介をご覧ください。
故障・劣化部分を把握しておく
査定に出す前にしておきたいのが、故障・破損している箇所や設備の不調がある部分、劣化している部分を把握しておくことです。査定を依頼する前に確認して、不具合についてのヒアリングをされた際に答えられるように、メモにまとめておきましょう。
複数社に依頼をする場合、毎回確認をするのは大変ですし、会社ごとに伝える内容が変わってしまうと査定金額の比較をする際にも影響が出ます。同じ内容を伝えられるように文章としてまとめておくと良いです。
場合によっては修繕の検討も必要ですが、自己判断で修繕を行うよりも、不動産会社に相談してから行う方が安心です。
素人判断でリフォームをしない
査定を依頼する前に、できるだけ売却額を高くしようとしてリフォームしてしまう人もいますが、自己判断でリフォームをするのはあまりおすすめできません。価格に影響しない部分をリフォームしてしまった場合、リフォーム費用だけが発生して損をすることになります。プロに相談してリフォームが必要となった場合に検討するようにしましょう。
マンションの査定時に気をつけること
マンションの査定をする前のチェックポイントを確認したところで、マンションの査定時に注意しておきたいポイントについても見ていきましょう。
- 担当者に情報を共有する
- その場ですぐに契約を決めない
- 担当が信頼できるかを判断する
それぞれ解説していきます。
担当者に情報を共有する
マンションの査定時には、担当者に詳細な情報を共有するようにしてください。売却時に不利益になりそうだからと隠し事をすると、後々トラブルにつながる可能性があります。
特に、「瑕疵(かし)」は必ず伝えておきましょう。瑕疵とは、取引を行う家の不具合のことです。売買を行ったあとに瑕疵が見つかると、売主側に責任として契約解除をされてしまったり高額賠償を負わされてしまったりするリスクもあります。
その場ですぐに契約を決めない
査定額を提示してもらったあとに、すぐに契約を決めないようにしましょう。他に依頼した会社の査定額と合わせてよく確認をしてから、納得できない部分や疑問点があれば質問をするようにしてください。査定額を比較して納得ができる不動産会社が決まったら、その会社と契約を進めると良いです。
査定時に積極的に提案してくる、押しが強い不動産会社は要注意です。
担当が信頼できるかを判断する
マンション査定は、査定額が高ければ高いほど魅力的に感じるかもしれません。しかし、重要なのは信憑性です。相場と大幅に金額が異なっている場合、実際に売りに出してから売却活動がうまくいかず、売れ残ってしまうリスクもあるので注意しましょう。査定を依頼した会社の実績や口コミなどを確認し、査定時に担当者が本当に信頼できる人なのかという点についても注目して見極めるようにしてください。
マンションの査定後に気をつけること
マンションの査定が完了したら、次に査定後に気をつけるべきポイントについても知っておく必要があります。
- 査定金額の根拠を聞いておく
- ローン残債と合わせて確認する
- 査定額をそのまま売出価格にしない
それぞれのポイントについて見ていきましょう。
査定金額の根拠を聞いておく
先ほども解説した通り、査定額が高すぎると買い手が見つかりません。査定額が相場と大幅にズレている場合は、査定額の根拠も確認するようにしてください。相場より安いと感じた場合にも、その根拠を確認しておきましょう。高い理由・安い理由を丁寧に答えてくれて、内容が納得ができるものであれば、信頼できる不動産会社といえるでしょう。
ローン残債と合わせて確認する
マンション購入時にローンを組んでいる場合は、売却前にローンを完済するか、売却した代金でローンを完済しなければいけません。査定前にローンの完済ができない場合は、査定額とローンの残債の差額を比較して、ローンが完済できるかを把握しておきましょう。ローンの残債が査定額を上回るようであれば、貯金や毎月の生活費からローンを返済していかなければいけなくなります。場合によっては、売却を見送る判断も必要になるでしょう。
査定額をそのまま売出価格にしない
査定額はあくまでも不動産会社が「売却ができるであろう金額」を設定したものです。もちろんプロによる査定なので精度は高いですが、実際に売却をする際には市場の動向や自身の売却希望条件なども加味した上で価格を設定する必要があるでしょう。
一般的に、査定額と実際の売却価格の誤差は約5~10%程度です。査定額から5~8%ほど上乗せした金額で売却価格を設定する人も少なくありません。あまり高く設定しすぎると売却活動に影響が出るリスクがあるため、査定額を参考に誤差の範囲内で売却価格を検討すると良いでしょう。
マンションの査定のポイント
マンションの査定に関して気をつけるべき点について解説してきました。ここでは、マンションの査定のポイントについて見ていきましょう。
各箇所 | チェックポイント |
---|---|
室内の状態 | 建物内の位置、間取り、設備、室内の管理状態など |
建物の状態 | 築年数、耐震性能、設備、共用部分の管理状態など |
周辺の環境 | アクセス、立地条件、周辺の治安など |
下記にて、それぞれの詳細な内容について解説していきます。
室内の状態
査定で室内の状態を見る際には、下記のような点に注目されます。
- 階数
- 部屋面積
- 間取り
- 日当たりや眺望
- 収納の有無
- 騒音の有無
- インターネット環境
- 管理状態
マンションを探している人は、これらの要素を見て住むかどうかを決めるため、不動産会社もこれらの要素を元に査定を行います。特に、間取りは一般的な生活スタイルに合わない特殊なものだと需要が低いため、査定額が低くなりやすいです。
建物の状態
査定で建物の状態を見る際には、下記のような点に注目されます。
- 築年数
- 耐震性能
- 共用設備
- 管理状態
- セキュリティ
- 修繕状態
- 清掃状況
特に共用設備は、エレベーターの有無、駐車場・駐輪場の有無などのさまざまな観点から査定が行われます。近年では、宅配ボックスがあるマンションの人気が高まっているため、こういった設備が整っていると査定に影響しやすいでしょう。
マンションの査定で気をつけるべき点や査定のポイントを理解した上で、査定の流れなども知っておきたいという方は、「投資用不動産の査定方法や手順は?売却時のポイントと合わせて解説」の記事も参考にしてみてください。
周辺の環境
マンション査定では、周辺環境も重要なポイントです。査定で周辺の環境を見る際には、下記のような点に注目されます。
- 交通アクセス
- 立地条件
- 周辺の治安
例えば、駅から近い場合と駅から離れている場合では、駅から近いほうが査定額は上がります。また、周辺に買い物できる場所があるかどうかも重要です。ファミリー向けのマンションであれば、病院や学校、公園などがあるかなどもポイントになるでしょう。
マンションの査定依頼をご検討なら弊社にご相談ください
マンションの査定を依頼する際に気をつけるべき点について解説しました。査定は一社にのみ依頼をして満足してしまうと、実は相場と大幅にズレていたという事態になりかねません。売却活動で失敗しないためにも、あらかじめ自分でもある程度の相場を把握した上で、複数の不動産会社に査定を依頼することが大切です。
自分のマンションの査定依頼を検討している方は、ぜひアデプトマネジメントをご利用ください。豊富な取引実績から得た経験やノウハウを活かした丁寧な査定を行っております。マンションの査定や売却についてよく分からないと不安を抱いている人でも、親身に対応いたしますので、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。