不動産投資を行っていく中で、「現在契約している金融機関のローンの金利が高いのが不満」「他の金融機関のローンに借り換えたい」と思っている方もいるでしょう。不動産投資は大きな金額が動くので、1%の金利でも最終的には大きな差が生まれます。
この記事では、ローンを借り換えるメリットデメリットや借り換えるタイミング、不動産投資ローンを選ぶポイントなどを解説していきます。キャッシュフローの改善などの理由から不動産投資ローンの借り換えを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
不動産投資ローンの借り換えはできる?
不動産投資ローンの借り換えは可能です。そもそも不動産投資ローンの借り換えとは、現在融資を受けているローンを解約して、別の金融機関で新たにローンを組み直すことです。金融機関によって不動産ローンの金利などが異なるので、キャッシュフローの改善などの目的から借り換えを検討する人は少なくありません。
借り換えを行う際には、現在のローン先から借りていた金額を一括返済する必要があります。返済費用は、新たな金融機関からのローンでまかなって支払うケースが多い傾向です。
不動産投資ローンを借り換えるメリット
不動産投資ローンを借り換えるメリットとして、キャッシュフローの改善が見込めると解説しましたが、実際にはそれ以外にも多くの利点があります。ここでは、不動産投資ローンを借り換える主なメリットを紹介していきます。
- 金利の減少が見込める
- 金利タイプを変更できる
- 金利交渉ができる可能性がある
- 大手金融機関への変更が見込める
それぞれ詳しく見ていきましょう。
金利の減少が見込める
ローンを返済中の方にとって特に大きなメリットといえるのが、金利の減少が見込めることです。現在融資を受けている金融機関よりも低金利で条件の良い金融機関に借り換えをすれば、大きく出費を抑えられるでしょう。
不動産投資は建物や土地を扱うので、借入期間が非常に長くなる傾向にあります。金利が減少すれば月々のキャッシュフローの改善ができますし、最終的に支払う合計金額を減らして利益を生み出すことも可能です。
ローンの借り換えをする際には、借り換えることでどのくらいの利益につながるのかを事前にしっかり調査しましょう。
金利タイプを変更できる
不動産投資ローンの借り換えは、金利タイプを変更したい方にも向いています。そもそも不動産投資ローンには、変動金利と固定金利があります。
金利タイプ | 内容 |
---|---|
変動金利 | 市場の変化に伴って金利や返済額が変わる金利方式 |
固定金利 | 市場の変化に関係なく一定額で支払いが続く方式 |
「市場の金利が上昇してしまったので固定金利に変更したい」「下落しているので変動金利に変更して利益を増やしたい」など、状況に応じて金利を変更することで負担を減らせます。金利タイプは契約後に見直すことができないので、借り換えのタイミングで変更するのがおすすめです。
それぞれの金利タイプについては、「不動産投資ローンの金利相場は?金融機関ごとの特徴や変動金利・固定金利の違いを解説」の記事で詳しく紹介しています。
金利交渉ができる可能性がある
不動産投資ローンの借入は、状況によっては金利交渉をして有利な取引ができるチャンスです。金融機関は、運用実績が高い投資家を高く評価し、投資家にとって有利な条件での取引を持ちかけるケースもあります。そのため、これまでの不動産投資の実績によっては、現在の金利よりも有利な条件での取引を交渉することも可能です。
金融機関から投資家として信頼されるようになれば、今後新たに投資を拡大していく際に有利な取引ができる可能性が高くなるでしょう。
大手金融機関への変更が見込める
不動産投資の収益が順調、または十分な実績が積み上げられたのであれば、大手金融機関への変更も見込めます。大手金融機関との取引は審査が厳しいですが、審査に通れば低い金利で条件の良い取引ができるでしょう。
「大手金融機関との取引実績がある」という事実は、その他の金融機関からも評価されやすくなります。新しい不動産を購入する際のローン契約でも有利に働くので、審査の通過が見込めるのであれば、借り換えを検討することで将来的な可能性が広がるかもしれません。
不動産投資ローンを借り換えるデメリット
これまでに解説した通り、不動産投資ローンの借り換えで得られるメリットはとても多いですが、同時に見落とせないデメリットも存在します。ここでは、不動産投資ローンを借り換えるデメリットについて見ていきましょう。
- 借り換えの際に費用がかかる
- 手間や時間がかかる
- 現在の金融機関からの印象が悪くなる恐れがある
3つのデメリットをそれぞれ解説していきます。
借り換えの際に費用がかかる
不動産投資ローンの借り換えでは、現在契約している金融機関と新しい金融機関の両方で手続きをする必要がありますが、その際には次のような費用が発生します。これらの費用は、金融機関、融資の額、借入期間などによっても異なるので、事前に確認しておきましょう。
借り換えの際にかかる費用
相手先 | 費用 |
---|---|
借り換え元 | ●繰り上げ返済手数料 ●抵当権抹消登記費用(登録免許税、登記報酬料) |
借り換え先 | ●融資手数料 ●保証料 ●抵当権設定登記費用(登録免許税、登記報酬料) ●団体信用生命保険料 |
手間や時間がかかる
不動産投資の借り換えは、実際に取り組むと非常に手間と時間がかかるので、その点は頭に入れておきましょう。まずは金利や条件の良い金融機関を探して、自身で借り換えのシミュレーションを行い、長期的に見て利益になるのかを検討します。
金融機関にさまざまな書類を提出し、審査を依頼するという流れになります。審査が通れば両金融機関との手続き、通らなければまた金融機関探しに戻ります。当たり前のことですが、必ず審査に通るわけではないので注意してください。
現在の金融機関からの印象が悪くなる恐れがある
不動産ローンを途中で解約すると、現在融資を受けている金融機関からの印象が悪くなってしまう恐れもあるでしょう。金融機関の主な収益はローンなどで得られる金利なので、高額の不動産ローンを解約されると大きな損失となってしまいます。
悪い印象を持たれてしまうと、別件で融資を依頼したいと思った際に取引をしてもらえないなどのトラブルも起きかねません。借り換えを行う際は、慎重に検討していきましょう。
不動産投資ローンを借り換えるタイミング
不動産投資ローンの借り換えのタイミングは、いつでも良いというわけではありません。タイミングを間違えて踏み切ってしまうと、損失につながってしまう可能性もあります。ここでは、不動産投資ローンを借り換えるタイミングを見極めるポイントについて解説していきます。
- 「借り換え効果」を算出して見極める
- 借入から10年以内はメリットが大きい
- 金利の固定期間が終了する前に借り換える
- マイナス収支が続いている場合に検討する
それぞれ見ていきましょう。
「借り換え効果」を算出して見極める
借り換えのタイミングは、借り換えによる効果を計算して、具体的な金額で把握してから見極めると良いでしょう。借り換えによって利益となる金額の計算方法は下記の通りです。
借り換えによる利益 = 借り換えによる軽減額 – 借り換えにかかる諸費用
借り換えによる軽減額の計算方法は下記の通りになります。
借り換えによる軽減額 =(現在のローン残高 × 金利の差 × 残りの借入期間)÷ 2
金利上で得られる利益が多くても、借り換えにかかる費用が高くなってしまうと結果的にマイナスになります。具体的に計算して、借り換えのタイミングを見極めるようにしましょう。
借入から10年以内はメリットが大きい
借入(物件の購入)から10年以内の方は、借り換えによって得られるメリットが大きくなる傾向です。先ほども解説した通り、借り換えによる利益は金利の差とローンの残りの借入期間によって変わるので、残りの借入期間が長ければ長いほど利益の差は大きくなります。
「返済期間・ローン残高が少ない」方は、借り換えにかかる諸費用などによって利益がマイナスになる可能性もあるので注意してください。
借り換えは一般的に、借入から10年以内、もしくはローン残高がまだ1,000万円以上ある方に向いているとされています。このとき、新しい金融機関との金利の差が1%以上あるかどうかを目安に借り換えを検討すると、利益につながりやすくなるでしょう。
金利の固定期間が終了する前に借り換える
不動産投資ローンを固定金利にしている方は、金利の固定期間が終了する前に借り換えを検討するのも一つの手です。固定金利には「全期間固定金利」と「当初固定金利」の2つの種類があります。
固定金利の種類 | 内容 |
---|---|
全期間固定金利 | 借入時の金利が返済終了時まで固定されている |
当初固定金利 | 決まった期間の金利が固定で、期間が過ぎたら変動金利になる |
当初固定金利で契約されている方は、固定金利期間が終了して変動金利に切り替わるタイミングで、金利が上がってしまう可能性があります。
固定金利期間は3年、5年、10年などさまざまです。自分が契約している条件を確認して、借り換えが必要かどうかを早めに検討しておきましょう。
マイナス収支が続いている場合に検討する
収入よりも支出が多い、いわゆるマイナス収支が続いている場合も、不動産投資ローンの借り換えを検討するタイミングです。マイナス収支を改善するためには、家賃などの収入を増やす、もしくは支出を減らすなどの施策を講じなければいけません。
借り換えをして月々のローン返済の支出を減らすことができれば、収支の改善につながるでしょう。低金利で返済期間を長く設定できる金融機関を検討すれば、さらに負担を軽減できます。
不動産投資ローンを選ぶポイント
不動産投資ローンの借り換えを検討しているものの、どの金融機関が良いのか分からない、何を基準に選んだら良いのか分からないという方もいるでしょう。ここでは、不動産投資ローン選びのポイントを3つ紹介します。
- 金融機関の種類
- 金利タイプ
- 金利・手数料
それぞれ解説していきます。
金融機関の種類
不動産投資ローンを提供している金融機関には、下記のような種類があります。それぞれの特徴を把握して、自分に適した金融機関の種類を検討しましょう。
金融機関の種類 | メリット/デメリット | 特徴 |
---|---|---|
都市銀行・メガバンク | メリット | ・低金利で期間などの条件も良い ・取引ができれば信用につながる |
デメリット | ・審査が厳しい ・ある程度の運用実績が必要になる |
|
地方銀行・信用金庫 | メリット | ・審査が通りやすい ・地域密着型で相談もしやすい |
デメリット | ・融資が利用できるエリアが限られる | |
ノンバンク・ネット銀行 | メリット | ・オンラインで気軽に利用できる ・審査のスピードが速い |
デメリット | ・金利が比較的高めに設定されている ・審査の融通が利きにくい(対面で説明ができない) |
金利タイプ
これまでに解説した通り、金利には「変動金利」と「固定金利」の2つのタイプがあり、それぞれでメリットデメリットが異なります。自身の返済計画に合わせて、無理のないタイプを選びましょう。
変動金利 | 固定金利 | |
---|---|---|
特徴 | メリット一定期間ごとに金利が変動 | 返済期間中の金利が一定 |
メリット | 市場をうまく読めば最終的な支払金額を抑えられる | 計画が立てやすくリスクも少ない |
デメリット | 金利が上昇すると支払いが増える | 金利はやや高めになる傾向がある |
金利・手数料
不動産投資ローンを選ぶ上で大きな基準となるのが、金利や手数料です。金利が低くなればなるほど、借り換えで得られる利益が大きくなります。金融機関の種類ごとの大体の金利相場は下記の通りです。
金利や手続きにかかる手数料は、金融機関やローン金額などによって変わるので、事前に確認してシミュレーションをしてから選ぶようにしましょう。
金融機関 | 金利 |
---|---|
都市銀行 | 1.0%~2.0% |
地方銀行 | 1.5%~4.5% |
信用金庫・信用組合 | 2.5%前後 |
日本政策金融公庫 | 1.2%~2.0% |
ノンバンク | 3.0%~6.0% |
不動産投資ローンの金利相場については、「不動産投資ローンの金利相場を紹介|低金利で融資を受けるには?」の記事で詳しく解説しています。
不動産投資ローンの借り換え時の手続きの流れ
不動産投資ローンの借り換えをする際の大まかな手続きの流れは下記の通りです。
- 借り換え先の金融機関を検討
- 「借り換えによる利益」を算出
- 金融機関へ申請
- 書類を用意して融資の申請
- 審査に通過
- 現在の金融機関で「残金一括返済」の手続き
- 新しい金融機関へ返済
不動産投資ローンは申し込めば必ず審査が通るわけではありません。特に、審査が厳しい都市銀行やメガバンク、顔を見て直接説明することができないノンバンクやネット銀行に融資の申請をしている場合は、審査が通らない可能性も見据えながら計画を立てるようにしましょう。
「マンション投資でローンを組むならどこがいい?不動産投資ローンを詳しく解説」の記事で詳しく解説しています。
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不動産投資ローンの借り換えとは、現在融資を受けているローンを解約して、別の金融機関で新たにローンを組み直すことです。金利の減少が見込める、金利タイプが変更できるなど、借り換えによってさまざまなメリットが得られます。
しかし、不動産投資ローンを借り換えるタイミングをしっかりと検討しないと、損失につながってしまう恐れもあるので注意してください。
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