確定申告で計上できる雑費の上限は?計上できる項目と合わせて紹介

確定申告で計上できる雑費の上限は?

雑費とは、他の勘定科目に当てはまらない事業の費用を処理するための勘定科目を指します。しかし、どのような費用を雑費に含めたら良いのか分からない、雑費が多くなってしまったけど計上できる上限はあるのか、などの不安や疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか。

この記事では、そもそも雑費とは何か、雑費として計上される主な項目、雑費の上限などを解説していきます。確定申告で雑費として計上する際の注意点なども合わせて説明していくので、確定申告でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

雑費とは

雑費は勘定科目の1つで、事業に必要な経費のうち、他の勘定科目に当てはまらないものをいいます。勘定科目は企業が自由に設定できるので、雑費とする費用も企業によって異なります。

雑費は適切な勘定科目がない場合に計上する勘定科目ですが、当てはまるものがないからといって、何でも雑費にすれば良いというわけではありません。雑費の金額が大きくなるようであれば、新しい勘定科目の設定も検討してみましょう。

消耗品費との違い

消耗品費は、短期間で使い切ってしまう物品にかかる費用のことです。例えば、文房具やコピー用紙、ガソリン代などは使用するとなくなる消耗品なので、消耗品費に該当します。また、使用期間が1年未満か取得額が10万円未満の備品も消耗品費に含むことが可能です。

雑費と消耗品費の違い

雑費と消耗品費の違いには、物品かサービスかが挙げられます。サービスは消耗するものではないので、消耗品費ではなく雑費に計上されるのです。さらに、使用頻度にも違いがあり、使用頻度が低く滅多に使わないものは雑費になります。

雑損失との違い

雑損失とは、本業以外で発生した費用で少額の損失を指します。例えば、事業で車を運転する人が、スピード違反をして罰金を支払わなければいけなくなったとしましょう。その場合の罰金は、雑損失に該当します。違約金の支払いや損害賠償金の支払いなども雑損失として計上しましょう。

雑費と雑損失の違い

雑費と雑損失の違いは、本業の売上に関係するものなのかどうかです。雑損失は本業の売上には関係ありませんが、雑費は本業の売上を上げるためにかかった経費の1つになります。

確定申告で雑費として計上される主な項目

確定申告で雑費として計上される主な項目

雑費として計上される項目は企業によって異なりますが、一般的には使用頻度が低く少額な費用が該当します。

例えば、運営している店舗で臨時に清掃を依頼した場合には、雑費として計上することが多いです。同じ清掃でも、毎月定期的に業者に依頼している場合には、雑費ではなく清掃費という勘定科目で計上します。その他にも、引っ越し代やキャンセル料、レンタル料なども雑費として計上されることが多い項目です。また、各種手数料や粗大ゴミの処分費なども雑費に含まれます。

  • 清掃費
  • 引っ越し代
  • キャンセル料
  • レンタル料
  • 各種手数料
  • 粗大ゴミの処分費

ここでは、店舗やオフィスを例に解説しましたが、投資の確定申告についてお悩みの方もいるでしょう。下記の記事で不動産投資の確定申告について解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

雑費の上限はいくら?

消耗品費の場合には10万円以下という決まりがあります。それに対して、雑費はいくらまでという上限がありません。そのため、事業に必要な費用であればいくらであっても雑費にしても問題はないのですが、だからといって何でもかんでも雑費として計上するのは問題です。

企業の会計は元々、収入と支出の内訳を把握することを目的に行うものです。何でも雑費として計上してしまうと、何に使ったのかよく分からないという事態が起こってしまいます。

一言メモ

雑費の一般的な目安として、経費のうち5%から10%程度にとどめるのが良いとされているため、雑費が多くなってしまっている人は、会計を見直してみてください。

確定申告で雑費が多いとデメリットも

確定申告で雑費を多く計上しすぎると、デメリットを被る場合があるので注意が必要です。雑費が多いことによるデメリットとしては、主に下記の2つが挙げられます。

  • 税務署から調査が入る可能性がある
  • 支出を分析しにくい

デメリットとしては、税務調査が入る可能性が高まること支出を分析しにくいこと等が挙げられます。勘定科目を選ぶのに困ってしまったらつい雑費としてしまいがちですが、できるだけ適切な勘定科目に振り分けることが必要になります。

税務署から調査が入る可能性がある

確定申告で計上した雑費が多いと、不正をしているのではないかと疑われて、税務調査を受ける場合があります。勿論、雑費の金額が大きいからという理由だけで、不正をしていると決めつけられるわけではありません。

しかし、さまざまな経費が雑費に含まれていると、会計が不透明で内訳が分かりにくいという印象を持たれてしまうのです。その不透明な部分を調査するために、税務調査が入ることになります。税務調査で勘定科目が適切ではないと指摘されることもあるため、雑費の計上をする際は注意しましょう。

支出を分析しにくい

雑費が多いデメリットとしては、何にどれだけお金を使ったのかという支出を分析しにくいことも挙げられます。支出の内訳がハッキリしていれば、無駄に使っている費用なども発見しやすいですし、値上がりなどの状況も一目瞭然です。

しかし、何でも雑費として計上していると、無駄にかかっているコストや必要なコストも一緒になってしまいます。無駄なコストを発見しづらくなり、事業を行う上で改善点が見えにくくなるというのは、企業にとって大きなデメリットといえるでしょう。

雑費を確定申告で計上する際の注意点

雑費を確定申告で計上する際の注意点

確定申告で事業上の経費を雑費として計上する際は、気を付けたいポイントがいくつかあります。まず、計上する雑費が課税対象になるかどうかを確認するという点を頭に入れておきましょう。確定申告をする前に、自分でチェックしておく必要があります。

また、不動産投資を行っている場合の確定申告では、不動産投資に関するものだけを雑費とするというのも気を付けたいポイントです。不動産投資を行っている人は、特に注意してください。

雑費が課税対象かどうかを確認する

雑費は他の勘定科目に該当しないものなので、さまざまな費用が混ざっています。その中には課税の対象になるものもあれば、課税の対象ではないものもあります。

課税の対象となっているものは税金を支払う必要があるのでそのままでも良いですが、課税対象ではないものが混じっている場合には、摘要欄などにメモを残しておくのがおすすめです。課税対象にならない雑費の例としては、違反金などが挙げられます。また、商売繁盛などを目的に購入するお守りなども課税の対象にはなりません。

雑費は不動産投資に関係する費用だけにする

不動産投資を行っている場合にも確定申告を行う必要がありますが、雑費として計上できるのは不動産投資に関係した費用だけです。個人的に使用した費用に関しては、雑費として計上できません。

しかし、費用の中には個人で使ったものと、不動産投資に使ったものと分けづらい場合もあります。例えば通信費などは、個人のスマートフォンを業務用として使う場合もあり、明確に分類するのは難しいです。そういった場合、あらかじめ業務用と個人用を分けておくのが望ましいです。

不動産投資を行っている人は、下記記事で不動産投資における雑費について解説しているので、参考にしてみてください。

確定申告で雑費が多くなる場合の対処法

確定申告で雑費が多くなる場合の対処法

確定申告で雑費が多くなる場合には、できるだけ減らせるように取り組む必要があります。ここでは、雑費が多くなる場合の対処法について見ていきましょう。

  • 多くなってしまった雑費を消耗品費に含める
  • 他の勘定科目に当てはまらないかを確認する
  • 新しい勘定科目を作る

それぞれの方法を、詳しく解説していきます。雑費が多くなってしまっているので減らしたいという方は、ぜひご覧ください。

多くなってしまった雑費を消耗品費に含める

雑費と消耗品費はよく似た勘定科目で、使用頻度などによって区別されることが多いです。明確に区別されているわけではないので、どちらにするか迷う費用は、消耗品費に含めると雑費を減らせます。

消耗品費は上限が10万円と定められていますが、かかった費用が10万円を下回るようであれば、消耗品費に含めて良いでしょう。

◎補助科目や摘要欄を活用するのがおすすめ

雑費を消耗品費に含める場合には、補助科目や適用欄を活用すると帳簿が見やすくなります。補助科目は勘定科目をさらに細かく設定するもので、帳簿を見返したときに目的のものをすぐに見つけられるようになります。摘要欄はメモ書きのようなもので、勘定科目や補助科目の内容をより具体的に記載します。

補助科目や適用欄を書く際は、どんな費用なのか分かりやすいように、簡潔にまとめるのがポイントです。仕訳の元になる請求書などを見返さなくても良いように記載しましょう。

他の勘定科目に当てはまらないかを確認する

雑費が多くなってしまった場合には、他の勘定科目に該当するものがないかも確認してみてください。

例えば、事業上の取引がある相手に渡したお礼や手土産などは雑費として処理するところも多いですが、交際費に含める場合もあります。また、臨時で発生した清掃費なども雑費として処理しがちですが、元々定期的に清掃を行っている場合の清掃費に含めることも可能です。他の勘定科目に該当するものがあれば、そちらに含めるようにすると雑費を減らせるでしょう。

下記記事で、不動産投資における経費について解説しているので、不動産投資を行っている方は、参考にしてみてください。

新しい勘定科目を作る

雑費を既存の勘定科目に当てはめたいと思っていても、該当する勘定科目が見つからないという場合もありますよね。そういった場合には、新しい勘定科目を作るという方法を検討してみてください。

勘定科目は企業が自由に設定できるため、該当するものがなければ新しい勘定科目を作ることもできるのです。支払った費用に最適な勘定科目が作れるので、雑費の額が多い場合におすすめです。

新しい勘定科目を作るときの注意点

新しい勘定科目を作る際には、過去に同じような勘定科目がなかったかをまず調べる必要があります。勘定科目を細かく設定すれば経費を正確に把握できるような気がしますが、あまり多すぎると逆に分かりにくくなってしまうので注意が必要です。

新しい勘定科目が本当に必要なのかを吟味し、似たような勘定科目がないかをきちんと調べておきましょう。既存の勘定科目で対応できるのであれば、そのほうがスッキリ仕訳をすることができます。

雑費の確定申告に関してもご相談ください

アデプトマネジメントにおまかせ
この記事では、確定申告の雑費について解説しました。雑費は勘定科目の1つで、事業に必要な経費のうち、他の勘定科目に当てはまらないものを指します。雑費として計上できる費用に上限はありませんが、あまり費用が大きくなると、税務署から調査が入る可能性があるので注意してください。

雑費として計上される主な項目としては、臨時の清掃代、引っ越し代、キャンセル料、レンタル料などが挙げられます。雑費が大きくなってしまう場合は、他の勘定科目に当てはまらないかチェックしてみたり、新しい勘定科目を作ってみたりなどの対策をしてみてください。

また、不動産投資を行っている方は、不動産投資に関係する費用だけを計上するといった点に注意しましょう。しかし、不動産投資に使ったものと個人で使ったものとを分けるのが難しいなど、お悩みの方も多いですよね。

不動産投資に関する疑問やお悩みがある方は、ぜひアデプトマネジメントにご相談ください。アデプトマネジメントでは、不動産の売買だけでなく、コンサルタントも行っております。不動産投資について気になる点がある方は、ぜひお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

この記事の編集者

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