不動産投資の管理費とは|失敗しないための管理費の相場と使い方

不動産投資の管理費とは|失敗しないための管理費の相場と使い方

不動産投資を行っている方の中で、実は管理費についてよく理解されていない方が多いです。この記事では、管理費の概要や相場、契約方法などを解説します。

不動産投資を成功させるために、よく考えておきたいことの一つが管理費です。不動産を魅力的かつ安全な状態で維持し、入居者の快適な居住を確保するため、管理費をどのように設定するかは重要なポイントといえます。

この記事では、不動産投資の管理費について網羅的な内容を解説するとともに、管理費の相場や使い方などをご紹介します。

不動産投資でかかる管理費

不動産投資でかかる管理費

不動産投資では、物件を維持管理するための管理費が必要不可欠です。管理費の内訳は主に2種類であり、それぞれ用途が異なります。

  • 管理委託手数料
  • 管理修繕積立金

まずは、各費用に関する概要を見ていきましょう。

管理委託手数料

管理委託手数料とは、不動産の管理を外部業者に委託するために使う手数料です。投資する物件の管理はオーナーが自身で行うことも可能ですが、物件管理にはさまざまな種類の事務や雑務が発生し、手間も時間もかかります。そのため、今まで物件管理を経験したことがないという人の場合は、余計に手間がかかってしまうかもしれません。

また、ほかに仕事を持っている人の場合も、本業のかたわら物件の管理まで行うというのは困難です。その際、外部業者に手数料を支払うことで管理業務をすべて任せることができるため、その分の労力を省けるでしょう。

管理修繕積立金

管理修繕積立金とは、物件の共用部分の維持管理をするべく、入居者から集める共益費のことです。物件は部屋のみで構成されているというわけではなく、入居者が共用で使うスペースが存在します。物件の質を保つためには、この共用スペースも管理が必要です。

管理修繕積立金は、物件の共用スペースを管理するための実費のようなものであり、維持管理に実際にかかる諸々の費用を入居者に負担してもらう仕組みです。基本的には毎月家賃とともに支払うことが多く、内訳は管理費が家賃と別になっているケースもあれば、家賃に管理費まで含まれているケースがあるなどさまざまです。

一言メモ

区分マンションなどの場合、管理修繕積立金をどのように使用するかは、物件オーナーや入居者の代表で構成される管理組合によって決められます。

不動産投資でかかる管理費の相場

不動産投資でかかる管理費の相場

不動産投資でかかる管理費はどのように決めれば良いのでしょうか。ここでは、管理費の相場を費用の種類ごとに解説します。

不動産管理会社に支払う管理委託手数料の相場

入居者1人あたりの管理費の相場は、家賃のおおよそ5~10%ほどです。たとえば、家賃が10万円の場合、管理費の相場は大体5,000~10,000円となります。

後述でも解説しますが、もう一つの管理費である修繕費用は、実費ベースで見込まれることが多いため、管理委託手数料の目安は管理費の相場から修繕積立金を引いた残りの金額ということになります。

管理組合に支払う管理修繕積立金の相場

管理組合に支払う管理修繕積立金の平均は、マンションで入居者1人あたり約13,000円ほどといわれています。ただし、管理修繕積立金は物件の規模や構造によってかかる費用が異なり、一概に相場と同じ費用が必要とはいえません。たとえば、どのような共用スペースがあるかによって修繕積立金が変わり、共用スペースが多い物件や広い物件は費用が高くなる傾向にあります。

一言メモ

どこまで管理の手を入れるかという考え方も物件によって異なるため、あらかじめ理解しておきましょう。

管理委託契約の種類

管理委託契約の種類

管理委託の方法は一つではなく、主に3種類あります。それぞれの方法に特徴やメリット・デメリットがあるため、それらを把握したうえで自分の投資に最もマッチする方法を選択しましょう。

  1. 集金代行契約
  2. サブリース契約
  3. 自主管理

①集金代行契約

集金代行契約は、集金に特化した代行業者に家賃の集金を委託するものです。オーナーが投資物件に居住している場合、入居者に毎月家賃を直接届けてもらうという形を取っているところもあります。

しかし、規模の大きな物件ほど難しいスタイルであり、集金漏れなどが発生してしまうことも少なくありません。また、未払いの場合の対応なども含めるとより煩雑になってきます。そのような状況に対し、集金代行契約を利用すれば費用がかかるものの、家賃集金にかかる事務や雑務の手間は一気に省くことができます。また、代行業者によっては未払いへの督促なども代行してくれるところもあります。

②サブリース契約

サブリース契約とは、物件をサブリース会社に丸ごと貸し、リース料を受け取る契約のことです。リース料の相場は家賃収入の8~9割ほどであり、家賃収入からサブリース会社に料金を支払う代わりに物件の管理もすべてサブリース会社に任せることができます。

また、入居状況によらず一定のリース料を受け取れるため、空室リスクを避けられるというメリットもあります。ただし、サブリース契約を結ぶと、「正当な事由がない限り解約が難しくなる」「サブリース契約を維持したままの売却は価格が相場より低くなりやすい」などのデメリットもあるため、注意が必要です。

③自主管理

業者を使わず、オーナー自ら物件の管理を行う方法自主管理です。オーナー自身で行うことで管理費を大きく抑えられるというメリットがありますが、物件の規模によってはオーナーだけでの自主管理には限界があります。

注意ポイント

不動産投資のほかに本業を持っているオーナーは、本業と両立させることが難しいでしょう。

管理費は必要経費として捉える

管理費は必要経費として捉える

不動産投資で利益を大きく得るためには、経費をいかにコンパクトにするかが重要です。しかし、ある程度の経費が必要だと考えていなければ、物件の状態や入居者の満足度に悪影響を及ぼし、投資の成否に関わってきます。

管理費も必要経費として捉え、無理なコストカットは試みないほうが無難でしょう。ここでは、管理費の考え方について解説します。

管理費はリスクヘッジの一つ

管理費はリスクヘッジの一つだと考えれば、その必要性がはっきり見えてくるのではないでしょうか。物件の管理は、その物件が常に良い状態で保たれるために欠かせないものであり、その管理が行き届かなければ物件の劣化や質の低下を招きやすくなります。

このような管理不十分の物件は、入居者も離れやすくなるため、家賃収入が確保できず、結果的に投資の失敗へと発展する可能性があります。投資のリスクを回避する目的で管理費を投入すると考えれば、不用意にカットすべきでないことが分かるでしょう。

必要経費は税金対策にもなる

必要経費は税金対策として有効になるケースも多くあります。不動産投資で得た収入は、毎年確定申告が必要ですが、投資にかかった必要経費を収入から差し引くことができるため、経費は多ければ多いほど税金額が小さくなる傾向にあります。

サブリース契約での手取り減少分も管理費と捉える

上述したサブリースも、メリットもデメリットも両方把握したうえで収支をしっかり見込めるのであれば、適切な管理を行うために有効な手段でもあります。サブリース契約で家賃収入の手取り分は減少してしまいますが、規模の大きな物件の場合は管理をすべて自分で負担しなければなりません。

それらの負担を軽減できると考えれば、料金を払って任せたほうがお得な場合もあります。手取り減少分を管理費だと捉えれば、物件を維持するために必要な費用だと受け止められるでしょう。

管理委託手数料は何に使われる?

管理委託手数料が具体的にどのようなことに使われるのか知りたいという方は多いのではないでしょうか。主に以下で紹介する5つに使用されています。

  1. 家賃の集金代行
  2. 未払いの場合の督促
  3. 更新契約業務
  4. クレーム対応
  5. 入居者の募集

家賃の集金代行

用途としてよく挙げられるのが、家賃の集金代行です。入居者が入ったあとは家賃は何もしなくても口座に入ってくるというわけではありません。入居者の口座を金融機関に登録し、そこから毎月家賃が引き落とされるように手続きを行う必要があります。このような集金業務を代わりに行うのが代行業務であり、そのために手数料が必要です。

未払いの場合の督促

未払い家賃の督促にも管理委託手数料が使用されます。口座引き落としにしていた場合でも、入居者の口座の残高不足などで引き落とし不能になることはあり得ます。そうした未払い状態になった家賃に関しては督促が必要です。その際、電話をかけたり、手紙を送ったりなど、このような督促業務を行うためにも費用がかかります。

更新契約業務

賃貸物件の場合、一般的には入居してから2年程度を目安に更新のタイミングが設定されます。この更新契約にかかる業務も新たな契約書の作成や契約内容の説明、更新料の集金など、さまざまな業務が発生するため、管理委託手数料が使用されています。

クレーム対応

入居者たちから管理会社に対し、物件に関するさまざまなクレームが寄せられる可能性がありますが、そういったクレーム対応などにも管理委託料が使用されます。具体例として、「居室の○○が壊れたからなんとかしてほしい」「物件のなかでよく騒音を出す部屋があり迷惑している」といったことが挙げられます。

こういった入居者からのクレームの事実確認を行ったり、適切な対応を行うのも管理者の業務です。物件全体に関わる内容であれば、入居者全員にチラシや手紙で注意喚起を行う場合もあり、労力がかかる傾向にあるといえます。

入居者の募集

入居者がいない部屋が発生していると家賃収入に大きく影響し、物件の維持にも関わってきます。入居者の募集に関する事務や雑務も管理委託の対象です。オーナーが自分で入居者募集を行うということは実質的に難しく、管理会社にすべて任せるのが一般的でしょう。

管理修繕積立金は何に使われる?

先述した通り、物件の規模や管理組合の方針によって積立金が何に使われるかは異なります。主に以下で挙げるような費用は一般的に発生しやすく、それらに充てられる場合が多いです。

  1. 電気代
  2. 清掃費用
  3. ゴミ処理費用
  4. 植栽の整備費用
  5. 消防設備やエレベーターの保守点検費用

電気代

管理費修繕積立金は、マンションの共用部などの電気代に使用します。エントランスやロビー、各部屋までの通路のほか、物件によっては共用の会議室などが設けられている場合もあります。そのような共用スペースで照明や電源として使うための電気代は、管理修繕積立金から捻出されます。

清掃費用

清掃費用も管理修繕積立金の主な用途の一つです。また、物件の共用スペースの清掃などを外部に依頼するための費用として使用されることもあります。ただし、清掃費用は物件によって考え方が分かれやすい部分でもあります。

たとえば共用部分すべてに清掃業者を入れる物件もあれば、エントランスといった特定の共用部分のみで通路は各入居者が任意で清掃することにしている物件もあります。
また、物件が小規模であればオーナーが清掃業務を担当していることも珍しくありません。

ゴミ処理費用

ゴミ処理費用も管理修繕積立金のなかで欠かせない用途として挙げられます。マンションなどは、建物内や敷地内にゴミの集積場を設けているパターンが多く、この集積場に集められた入居者のゴミ処理のため、使われる費用が必要です。

また、ゴミ集積場が建物のなかにある場合は、自治体が指定する集積場にゴミを出しておく必要があり、その日に回収可能な種類のゴミを選別して出すことも必要です。そのほかにも、マンション内のゴミ集積場がいつも衛生的であるように清掃や片付けなども行う場合があります。

植栽の整備費用

物件の周りには物件の景観を美化するため、植栽が行われている場合があります。この植栽の整備費用も管理修繕積立金から出されます。

植栽はそのまま放置しておくと枝木が伸びたり、葉が落ちて道を汚したりなど、景観を崩してしまうことが少なくありません。物件の外観をいつも美しく、そして周辺の迷惑とならないよう維持するためには、定期的に整備が必要です。

一言メモ

オーナーが直接行う場合がないというわけではありませんが、規模の大きな植栽になると専門業者の手を入れるのが一般的です。

消防設備やエレベーターの保守点検費用

物件にある設備の保守点検費用も管理修繕積立金の用途の一つです。消防設備はどの物件にも必ずあり、消防法によって定期的な保守点検が義務付けられています。

エレベーターは物件によって有無が分かれますが、エレベーターが設置されているなら消防設備と同じく定期的な法定点検が必要です。そのほかにも、共用部分に空調設備がある場合なども空調の種類によって法定点検が発生します。

一言メモ

法律で定められていなくても、物件の設備を常に快適に使用するためには一定期間ごとの保守点検が望まれます。

不動産投資オーナーと入居者の管理費に対する視点の違い

管理費は物件を維持するために重要なものです。しかし、不動産投資オーナーと入居者、それぞれの立場で管理費の捉え方は異なります。

ここでは、管理費に対する各立場からの視点の違いについて解説します。

不動産投資オーナー視点

不動産投資オーナー視点で見れば、管理費は投資の必要経費です。上記でも触れた通り、管理費をかけることで物件の状態を維持することができ、入居者の満足度にもつなげることができます。そのため、物件を維持していくためには必要不可欠な要素といえるでしょう。

入居者視点

入居者視点で見ると、管理費は家賃と一緒に支払うものと考える人が多いのではないでしょうか。物件での全体的な管理に使用されているとイメージしている方もいるかもしれませんが、用途はそれほど詳しく知らず、家賃の一部のような感覚で捉える方は少なくありません。

視点の違いを理解して中長期的に維持、管理しよう

物件の管理費は不動産投資オーナーと入居者、それぞれで捉え方が全く異なることは仕方のないことですが、この視点の違いをお互いに理解することが大切です。一方の視点に偏ってしまうと、もう一方の視点から見て不足の部分が出てきます。

必要経費だと考えてあれもこれも管理費に増やせば、入居者の管理費負担が増してしまいかねません。オーナーは経営を重視する傾向にあるため、ついオーナー視点ばかり意識しがちです。管理費が高くなれば入居者は家賃が高い物件と捉え、物件から離れていってしまう可能性もあります。

不動産投資では、「得られた家賃-諸経費=実質利回り」と考えることが重要なため、オーナー側の視点だけでなく、入居者側の視点も取り入れながら考えてください。

不動産管理やマンション投資はアデプトにご相談ください

アデプトマネジメントにお任せ

不動産投資の管理費や管理の仕方などについて、知識が少なく不安を感じる人もいるかもしれません。管理関係も含め、マンション投資のことならアデプトマネジメントへの相談がおすすめです。アデプトマネジメントは大阪に本社を置く不動産会社であり、不動産の買取や売却、仲介、賃貸管理など、幅広い業務を行っており、全国各地で事業を展開しています。

また、豊富な実績のノウハウを持っているため、お客様に寄り添った対応をすることが可能です。マンション投資に関することで疑問点などがあれば、ぜひ一度ご相談ください。

不動産投資において、「管理費用をどのくらい用意するか」「どのような管理方法を選ぶか検討する」ということはとても重要です。管理の仕方が不動産投資の成否にも大きく影響する可能性は少なくありません。そのため、管理費用の種類や管理方法について知識を深め、自分が投資する不動産との相性も考えながら、的確な管理をしていくことが投資成功のポイントといえるでしょう。

不動産投資についてのご相談は、お気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。

この記事の編集者

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アデプトマネジメント編集部

【宅地建物取引業】大阪府知事(2)第59728号
【賃貸住宅管理業】国土交通大臣(1)第002807号

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